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45 愛し合ったその朝に




 私がリグに告白して、リグに受け入れてもらえた夜を、私とリグは二人寄り添い過ごしました。


 そして――次の日の朝。

 もぞもぞ、と私は身じろぎしてから、身体を起こします。


 隣には、リグが寝ています。

 こうして一緒のベッドで眠ること自体は珍しくありません。

 けれど――リグは一切なにも着ていない、すっかり裸の状態でそこに居ました。

 下着姿で添い寝することはあっても、裸で寄り添うことはありませんでした。


 そして当然――愛する者同士、裸で寄り添えば、やることがあるわけで。

 私は、昨夜のリグとの行為を思い返し、勝手に顔を赤くします。


『ファーリ、貴女って意外と大胆なのね』


 リグに言われた言葉が蘇ってきます。


 またベッドの中に潜り込みたい気持ちに駆られます。

 が、そうもいきません。

 今日から学校に復帰です。

 そろそろ起きて、準備をしなければなりません。


「リグ、起きて下さい。朝ですよ」


 私は眠るリグの肩を揺らします。


「ん……もう少しだけですわ……」


 リグは言って、もぞもぞを寝苦しそうにもがきます。


「だめです。学校に遅刻しちゃうのです」

「んん、もう少しだけ……」


 言いながら、リグは私の方に手を伸ばしてきます。

 されるがままにしていると、私はそのままリグに引き寄せられ、再びベッドの中へと連れ込まれてしまいます。


「……リグ? もしかして、起きてます?」

「んふふ。もう少しだけ、こうしていたいですわ」


 どうやら、リグはとっくに目覚めていたようです。

 私は、リグに抱きしめられた状態でため息を吐きます。


「はぁ……そうですね。もう少しだけ、こうしていましょう」

「大好きよ、ファーリ」


 そして、リグの唇がチュッと私の頬に触れました。

 私もリグへ応えるように、キスをして返します。


 そのまま二人で……長い時間を、ベッドの中で過ごすこととなるのでした。




 結局、遅刻する時間までベッドで過ごしてしまいました。

 私とリグは慌てて身支度を整え、既に授業の始まっている教室へと向かいます。


 教室の扉を開くと……クラス全員の視線と、呆れたようなリリーナ先生の表情がそこにありました。


「……帰ってきて早々に遅刻とはね。もう授業なんて不要だ、という意思表示かな?」

「い、いえ! そういうわけじゃないのです!」

「だったら遅刻しないこと。ほら、席に付きなさい」


 リリーナ先生に言われ、私とリグは席につきます。

 いつもどおり、アンネちゃんとお姉さまの隣です。


「あはは、遅刻しちゃいました」


 私は、苦笑いしながらお姉さまとアンネちゃんに言います。


 すると……急にアンネちゃんが、スンスンと鼻を鳴らして匂いを嗅ぎはじめます。


「……ふたりとも、ちょっと臭くないかにゃ?」


 そして、衝撃的なことを言われました。


「く、くさいですか?」


 私はドキリと緊張して、聞き返します。


「明らかに……これはすることしたあとの臭いだにゃ」


 なんと、臭いの原因まで言い当てられてしまいました。


「な、なぜ分かるんですの!? シャワーは浴びてきましたのに……」


 リグが顔を真赤にして慌てています。

 私も恥ずかしさでほっぺが赤くなっている気がするのです。


「獣人の鼻は、ちょっと水浴びしたぐらいじゃごまかせないにゃ」

「くっ……なんたる不覚。まさかこんなに早くバレるとは思わなかったのです」


 私はわざとらしく悔しがってみせます。

 そうやって、行為に及んだことがバレた恥ずかしさをごまかしていきます。


「ちなみに……私の方にも臭ってきているよ」

「お姉さまにまで!?」


 私は驚いてのけぞります。


「まあ、私も吸血鬼の端くれだからね。その、特徴的な血の臭いが二人分ほど……」

「あ、あぁ……なんということかしら」


 私とリグだけの秘密がさっそく漏れているからなのか、リグは頭を抱えて嘆きます。


「あはは、リグちゃん面白いにゃ!」

「笑いどころではありませんわ!」

「まあまあ。ひとまず、お二人の関係が収まるところに収まったようで、自分は安心しましたよ」

「それについては、お姉さまのお陰もあるのです。ありがとうございます。それに、アンネちゃんも」

「どうってことないにゃ!」

「おいこら! お前ら、授業中に何の無駄話をしている!」


 リリーナ先生からのお叱りの声が飛んできて、ついに私たち四人は静かになります。



 こうして私は、望んだ通りリグの身も心も手に入れました。

 紆余曲折ありましたが、今はこうしていつもどおり授業を受け、元の日常に戻ってきました。

 私はリリーナ先生に怒られることでそれを実感して、じんわりと幸せな気分に浸ります。


 できるなら、この日常を失いたくない。

 ごく普通の、幸せな時間。

 それを大切に――私自身の力で守っていこう、と心に誓うのでした。

ざんねん! 夜のイチャイチャシーンは書きません!

えっちなのはいけませんからね!

ノクターンには行きません!!


さて、ここで4章は完結です。

次の章からは……いよいよ、タグにもある『百合ハーレム』の形成が始まっちゃいます!

リグレット様だいすきなファーリが、いかにしてハーレムしちゃうのか!?

どうぞご期待ください!


先が読みてえ……っ! って方はぜひブックマーク登録や評価の方をいただけるとうれしいです!

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