43 想い合う二人
私の告白を、リグは受け入れてくれました。
そして、私の差し出す宝石の花を受け取ります。
すると、途端に宝石の花が光り輝き――そのまま、光となってリグの手元に集まります。
「えっ!? これは何ですのっ!?」
リグが驚いている合間に、光は収まり、1つの形をつくります。
それは指輪の形になって、リグの左手の薬指に嵌まりました。
白真龍さんから聞いていたとおり、指輪の形に変化したようです。
「素敵……この指輪は?」
「私の気持ちの証なのです。愛を証明する、誓いの指輪です」
「まあ、嬉しいですわ」
リグはそう言って、指輪を顔の前にかざし、まじまじと見つめます。
けれど、不意に表情を曇らせます。
「……ですがこの指輪、簡単には受け取れませんわ」
そして、私に目を向けます。
「ファーリは分かっていないかもしれませんが、わたくしが……愛を誓い、将来を約束するというのは、とても危険なことなのです。権力のある立場の人間が、納得の行く形で収めなければ……それは、争いの火種になります。わたくしが大公令嬢であり、元教皇の娘である以上、避けられないことですわ」
「……はい、分かっています。その上で、私は告白したのです」
私は、リグの言葉を正面から受け止めます。
「私とリグが恋人になって、もしも将来結婚するようなことがあったら――それについては、お姉さまから注意されて、分かっています。でも、それでも私はリグが欲しいのです。私のものにしたい。独り占めしたいのです。だから私は……どうにかしようって決めました」
「どうにかする、とは?」
「それは、まだ具体的には思い浮かんでいないのです。でも、きっといつか誰もが納得してくれるように、今から頑張ろうと思うのです。そのための力を、私は手に入れましたから」
大切な人との毎日を守るために、私はスーパーコードという力を手に入れました。
それはつまり、リグとの幸せな未来――恋人になって、いつか結婚するという将来を掴み取るためのものでもあります。
「だから、どうか受け取ってくれませんか? 信じてほしいのです。この指輪に誓って、私はきっとやり遂げます。だから……それまでは、秘密の恋人ということで」
私がそこまで言うと、リグはふふっと笑います。
「そうね、分かりましたわ。ファーリがそこまで言うのでしたら、信じます。そして待っていますから。貴女が私を、この窮屈な身分から解き放ってくれる日を」
そして、リグは指輪にちゅっとキスをしました。
「そして、いつか自由になるまでは……人目を忍んで、愛を育みましょうか」
リグは私の頬に手を当てます。
そして、ゆっくりと私に近づいてきます。
何をしようとしているのか、私にも分かりました。
私は少し背伸びをして、リグの顔に自分の顔を近づけます。
そして――先端だけ触れるような、甘く優しいキスを交わしました。




