35 ファーリ、ステータスを見せる
「……は? 人間じゃない?」
白真龍は、ぽかんと間抜けな顔で聞き返してきました。
「はい。どうやら私、このあいだ準亜神とかいう種族に進化したようなのです」
「準亜神!? 我ら亜神に次ぐ神格を持つ存在ではないか! それはまことか!?」
「ええ、まことなのです。ステータス見ます?」
私はスーパーサーチ……ではなく、単なる無属性魔法の『サーチ』を使いました。
スーパーサーチは何でも見れるチート技能ですが、実は唯一欠点があります。
それは、見れるのは私だけ、という点です。
なので、他人に自分のステータスやスーパーサーチで得た情報を直接見せることはできないのです。
ただ、ステータスを見せたいだけであれば、サーチの魔法なら問題なく可能です。
なので、今回はほぼ下位互換とも言えるサーチの魔法に頼らせてもらいました。
「なんと……これは……」
白真龍は、私のステータスを見て震えながらつぶやきます。
「この通り、種族は準亜神なのです」
「いや、それは分かったのだが……種族よりも他の数値がおかしいと我は思うのだが」
「はあ、そうですか?」
言われて、私も自分のステータスを確認します。
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ファーリ・フォン・ダズエル(Fali Fon Dazzuel)
種族:準亜神
ライフ:2147483647
パワー:0
攻撃力:1
防御力:0
魔法力:1
敏捷性:2147483647
技能:リグのこと好き好き大好き(SSS)
魔法適性:
魔法耐性:
―☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆―
……あー、そうでした。
おかしいとこしか無いステータスに変えたのでした。
「ライフや敏捷性が異様に高い一方で、パワーから魔法力まで0か1しか並んでおらぬではないか。正気の沙汰とは思えぬ」
「あはは……まあ、実はいろいろ理由があるのですが」
その辺の理由については、今は説明しなくてもいいでしょう。
「しかもなんだ、この技能『リグのこと好き好き大好き』とは。名前からして意味不明なのだが……この技能はいったい何なのだ?」
「えっと、それはなんと言いますか、要するにリグのことが大好きってことなのです」
「して、効果は?」
「リグのことが大好きだとステータスを見て分かる効果があります」
「……他に効果は?」
「無いのです」
「実質、何の技能も持っていないようなものではないか。これではお主の強さの説明がつかんぞ」
「あ、それは大丈夫です。技能は表記を隠しているだけなので。見ます?」
言いながら、私は白真龍の返事も待たずに表記を消して隠してある技能についてもステータスに表示してみました。
……地味にスーパーコードも駆使した高等テクニックだったりするのですが。
―☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆―
ファーリ・フォン・ダズエル(Fali Fon Dazzuel)
種族:準亜神
ライフ:2147483647
パワー:0
攻撃力:1
防御力:0
魔法力:1
敏捷性:2147483647
技能:リグのこと好き好き大好き(SSS)
隠し技能:剣術(S) 弓術(S) 槍術(S) ストレージ(S)
精密ダメージフロー(S) カウンターコード(S)
コード強制(S) 即死強制(S) 即死カウンター(S)
ゴーストピアス(S) マーキング(S) ストールダメージ(S)
ドラゴンピアス(S) 永続マーキング(S) 強制マーキング(S)
スーパーアライブ(S) スーパーフリーズ(S)
レリック(S) スーパーフロー(S) スーパーサーチ(S)
コード強制耐性(S) 食らい判定消失(S)
喰らい偽装(S) デリート耐性(S) アーマー(S)
魔法適性:
魔法耐性:
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「もう言葉も無いわ……」
白真龍は疲れたような声を漏らします。
「して……お主ほどの存在、自然にこの世界に発生したわけではあるまい。どこの神がお主を作ったのだ?」
「それはカミさまですね」
「いや、だからその神の中でも誰が、と聞いておるのだが?」
「いやだからカミさまだって……ああ、そういうことですか。そういえばカミさまの本名って何でしたっけ?」
「ちょっとユッキー!?」
私が冗談を言った途端、ポフンと音を立ててカミさまが姿を現しました。
「私の名前おぼえてないとか嘘だよね? いっつも一緒にいていろいろお世話してあげてるのに名前忘れちゃうとか嘘だよね? っていうかおかしいよね? あれ? リグレットお嬢さんとか、みんな私の名前呼んでくれてるんだけどな? あれ? ユッキーもそれいつも聞いてるし、忘れるはず無いんだけどな? どうして忘れたみたいな態度とっちゃうかな?」
「とまあ、コレが私を作ってくれたカミさまのカミーユなのです」
私は興奮している様子のカミさまを軽く無視して、白真龍に紹介します。
「なんと……お主を作ったのは、あの『全智の神カミーユ』様であったのか!!」
すると、思いのほか白真龍が驚いてくれました。




