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34 強制マーキングとドラゴンピアス




「ふむ、それは決まっておる。攻撃した相手のコードを記憶するのだろう」


 白真龍は、私の問いかけを当然のように即答します。


 けれど、残念です。


「いいえ、違います」


 私は白真龍の答えを否定します。


「考えても見て下さい。相手のコードを記憶って、むちゃくちゃなのです。生き物はみな、膨大なコードで構成された存在です。そんな存在のコードすべてを記憶するなど、あまりにも現実離れしています」

「ふむ。言われてみれば」

「そこに注目すれば、マーキングで何を記憶しているのかもすぐに答えが出ます。シンプルな話ですが、マーキングというのは『相手のコードが存在する領域』のことを記憶しているのです」


 私は、実はカミさまから貰っただけの知識を、あたかも自分で考えたかのように説明していきます。

 別に見栄を張っているわけではなく、そうしたほうが話がスムーズに進むからです。


「コードが存在する領域……つまりどれだけの広さをコードが占領しているかを覚えたら、その領域に存在するコードに対して、コード強制なりライフ変更なりをできるようになります。当然、マーキングで覚える情報の量も天と地ほどの差があります。また、どれだけ複雑なコードを持つ相手でも、一様に記憶してしまえるわけです」

「ほうほう、つまりコードの領域そのものを記憶しておけば、相手のコードに依存せず、状況にも左右されず確実にマーキング可能だということだな?」

「はい、今度は正解なのです」


 私が肯定すると、白真龍は満足げに頷いてみせます。


「さて、ここまでで永続マーキングと、マーキングする領域、そして2つのレリックについての話をしました。これら3つを駆使すれば、白真龍さんの耐性を突破してライフをゼロにし、撃破することも可能となります」

「なんと……我には、未だ想像もつかぬ」


 白真龍は首を横に振ります。


「ここからは、順を追って説明したほうがわかりやすいので、そうさせてもらうのです。……まず、私がマーキングした、私自身のレリックを消します。レリックというのは世界の空白領域に流し込んだコードに過ぎませんから、消せば単なる空白領域に戻るわけです」


 レリックの仕組みについては白真龍も把握しているのか、特に疑問をもった様子もなく頷いています。

 私は安心して、続きの話をします。


「すると、ここで私が永続マーキングをしているお蔭で不思議なことが起こります。なんと、私のレリックは世界の空白領域そのものをマーキングし続けるのです。これには、マーキングというのがコードの存在する領域そのものを記憶していることに原因があります」


 ここまでの説明も、白真龍はちゃんと理解している様子でした。

 なので、最後の仕組みについても話してしまいます。


「後は、私は白真龍さんがレリック魔法を使うのを待つだけです。やがてレリック魔法が私のマーキングしている領域を使うことになります。すると、そのレリック魔法は攻撃を受けてもいないのにマーキングされている、という不思議な状態になります」

「……っ!!」


 私の説明に、白真龍は目を見開いて驚きました。


「後は単純です。マーキングされている空白領域で発生したレリックを使い、ゴーストピアスと同じ要領で、白真龍さん自身にコード強制します。あなたが持っている耐性は自分自身のコードを強制された場合は意味を成しませんから、ブレスに使っていた即死のコードを強制して、耐性を突破すれば終了です。――とまあ、これが私が白真龍さんのライフを突然ゼロにした技の全容なのです」


 私の説明を聞いて、白真龍は口をあんぐりと開けたまま驚いていました。

 そのまましばらく沈黙していましたが、やがて気を取り直した白真龍が話しだします。


「……そのような、抜け道のような方法で我を即死させていたとは。いやはや、全く恐ろしい話だ」

「いえいえ、それほどでも」


 褒められたので、前世の日本人的な感覚でつい謙遜してしまいます。


 ちなみに、空白領域をマーキングした技術は『強制マーキング』という名前で技能欄に出現しました。

 また、白真龍さんの即死コードを利用した即死強制は『ドラゴンピアス』という名前がついていたようです。

 どちらも、既にステータス上の技能欄からは消去し、見えなくしてあります。



 ――ふと、白真龍の方を見ます。

 なにか不思議なものでも見るみたいに、私を見つめています。


「しかし、お主は人間だというのに、どこでそのような力を得たというのだ?」

「あ、その話ですか」


 私は、一瞬だけ迷います。

 自分が実は人間じゃなくて、準亜神という種族だと話してしまうかどうか。


 少し悩んで、けれどすぐに決めます。

 白真龍も亜神らしいですし、神に作られたことを自覚しています。

 だったら、話しても問題ないでしょう。


「実は、私って人間じゃないのです」

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