24 ファーリ、最後の覚醒
ひとしきりおしおきも終わったところで、さっそく私は最後の力――スーパーコードの封印を解除してもらうことになります。
「それじゃあ、ユッキーは目を閉じててくれるかな?」
「はい、わかったのです」
カミさまに言われるがまま、私は目を閉じます。
すると、カミさまは私が閉じた瞼の上に、手のひらを重ねてきます。
「――これから、封印を解除すると同時に、スーパーコードに関しての知識も一緒に送り込む。人から準亜神になった時に近い感覚に陥ると思うけど……覚悟はできてる?」
覚悟は、もちろん出来ています。
「当然なのです。それに、すでに一度経験した感覚なのですから。特に何の問題も無いのです」
私が頷きつつ言うと、カミさまは安堵したように息を漏らします。
「それなら、良かったよ。じゃあ早速……いくよ?」
カミさまが最後の確認をします。私は当然頷きます。
そして――次の瞬間、瞼越しでも分かるぐらいのまばゆい光が生まれると同時に、最後の封印が解除されました。
途端に、私の脳に膨大な情報が流れ込んできます。
それらは全て、コード……ではなく、スーパーコードに関する知識です。
知識と言っても、そう難しいものではありません。
スーパーコードで使われている言葉の意味や構文のルールなど、基本的な知識ばかりです。
しかし、いくら簡単ではないと言っても、情報量は膨大でした。
すぐに私の身体は限界を越えて痛みだし、気づけば頭からすごい熱が発生していました。
けれど、今さらやめるわけにもいきません。
私は痛みに耐えながら、送り込まれてくる情報を脳内で整理していきます。
無数の単語は、それぞれが様々な性質を持ちます。
そして、実際のコードやスーパーコードというものは、これらの単語を組み合わせ、現実に存在するような複雑な現象、物質、魂といったあらゆる存在を作り上げます。
不思議なことに、与えられる知識の中には、単語同士を組み合わせて作る現象については、説明がされていませんでした。
けれど、これは考えてみれば当然のことです。
私はスーパーコードをいう力を手に入れて、様々な現象を自在に操ることが出来るようになります。
けれど、実際に自由自在である為には、単語同士を自分自身で組み上げ、自分で思い通りの現象を作り上げなければならないのです。
その上で必要なのは、単語の知識のみ。
むしろ単語同士の組み合わせの知識を知ったところで、その組み合わせで起こる現象を私が必要としているとは限りません。
さらに言えば、単語同士の組み合わせまで知識として流し込まれたら……。
今でさえ頭痛と発熱でとても苦しいのです。
正直言って、耐えられる気がしません。
やがて、どれほどの時間が経ったでしょうか。
私は、気づくと倒れていました。
背中を地面につけたまま、恐る恐る瞼を開きます。
見ると、空は少しずつ明るみだしていました。
封印の解除を始めたのは夜だったので、私は意識を失い、それからずっと眠っていたのでしょう。
「――起きた?」
ふと、不意をつくように声がかかります。
よくよく見てみれば、私を覗き込むような格好でカミさまが居ました。
今も、心配そうな微笑みを浮かべたまま、私を見つめています。
頭に柔らかい感触があることも含めて考えると、どうやら私は朝までずっとカミさまに膝枕をしてもらっていたことになります。
「……起きたのです」
私は言って、立ち上がろうとします。
すると、カミさまが私の額に手を置き、身動きがとれなくなります。
「まあまあ、もうちょっと横になってなよ、ユッキー。休んでおかないと、これから山で戦う時に大変だよ?」
言いながら、カミさまは額を撫でてくれます。
前髪をいくらかか弄んで、指でくるくると巻いたりして遊びます。
そして最後には私の頭を――髪の毛をクシャッとしいないよう気遣いながら撫でてくれます。
ふと、私は急に懐かしい気持ちになりました。
前世の、それもずっと子供の頃に、こういう感覚を味わった覚えがあります。
まるで母親が我が子を慈しむような、優しい撫で方。
私のことを、どれだけ大切に思ってくれているのか、気持ちが伝わってきそうなほどに感じました。
「……うみゅ。今は、カミさまの言う通りにするのです」
私は、カミさまの手のひらを受け入れます。
不思議な安らぎを感じる手のひらに頭を撫でてもらいながら、私は日が登って明るくなる時間まで休むことにしたのです。
ところで、この作品はハーレムものです。
つまりファーリちゃんは……女の子を全員攻略していきます!
誰一人逃しません!
ハーレム最高! ひゃっほう! って方はブックマークや評価の方をいただけるとめっちゃ嬉しいです! 喜びます!
今後ともこの作品をよろしくおねがいします!




