39 即死カウンターにチャレンジ!
文句を言っても始まりません。
とにかく、自分で即死カウンターを発動させるしかありません。
ですが、どうやって?
そもそも自分のライフを0にするコードを作るとか言われても、何をどうやればいいのかさっぱりなのです。
カウンターコードとやらも使い方がさっぱりです
『だいじょぶ、だいじょぶ! ユッキーの技能、スーパーサーチは今やSランクの技能だからね。世界を構成するコードそのものを見抜くことだって可能なわけだよ!』
つまり、どういうことなのです?
『つまり自分でコードを読み取って、それっぽくコードを用意すればオッケー! ってわけ!』
そんな適当でうまくいくのでしょうか……。
『大丈夫だって! 私を信じて、ユッキー!』
まあ、とりあえずやってみるしか無いのです。
カミさまに言われたとおり、私はスーパーサーチを発動し、意識を集中します。
世界から得られる情報が、どんどん高度化し、細かく深い情報となり、複雑になっていきます。
「――いッ!」
その情報量の多さに、ズキリと頭痛がします。
……いやいや、これさすがに大丈夫じゃないんじゃないですか?
『いけるって!』
むう……カミさまがそこまで太鼓判を押すなら、とりあえずまだチャレンジしてみます。
「何をしておるのだね、少女よ。吾輩は退屈であるぞ?」
ずっと正面で立ち尽くしたままのライゼンさんが挑発してきます。
「ふふふ、今準備しているところなのです。じきにあっと驚く攻撃をしてみせるのです!」
「ほう……吾輩の無敵に対抗する策を思いついたのかね? これは楽しみであるな」
くっくっく、とライゼンさんは笑います。
でも、じきにそんな余裕の態度を崩してやるのです!
私はさらに集中して、スーパーサーチを発動させます。
情報量は増える一方でしたが、ある程度を超えるとほとんどの情報が意味を持たないほど細かいものになっていき、私の頭にかかる負担自体は減っていきます。
そして――さらにその情報を深く読み取ると『視えて』きました。
それは、不思議な文字のようなものでした。
あるいは記号のようなものかもしれません。
日本語でも、英語でも、この世界の言葉でもありません。きっと、神の世界の文字なのでしょう。
そんな文字の羅列が、あらゆる場所に存在しています。
そして、どこかの文字を読み取ろうと思えば、その文字の情報が流れ込んできます。
私はなぜか、その文字で何が書かれているのかを理解することが出来ました。
きっと、これもスーパーサーチの力なのでしょう。
続けて、私は自分自身のコードを読み取ります。
特に、カウンターコードとコード強制の技能についてです。
案の定、どのような仕組みで、どのように発動するのか。どうやって使う技能なのかが理解できました。
コード強制は攻撃やカウンターに付属する、属性のようなものなのです。
だから私がカウンターや攻撃にコード強制を付与すれば、自動で発動します。
そして、カウンターとは空間を支配するようなイメージです。
一定の空間を、カウンターの領域として支配します。
攻撃のコードもまた、相手にダメージを与える領域のようなものを持っています。
その2つの領域が重なった時、カウンターは発動するようです。
あとは、自分のライフを0にするようなコードですが……そうです!
ライフを直接操作するコードなら、今日敵対したアイツを参考にできるはずです!
「いでよ、濃縮オリハルコンゴーレム! の死体!」
私は、ストレージに保管してあった濃縮オリハルコンゴーレムの死体を取り出しました。
そして、ゴーレムの持つ技能『復元』をスーパーサーチします。
すると、やはりありました。
現在のライフをライフの最大値に設定するコードです。
このコードをアレンジして、現在のライフをゼロに設定するコードを作ってみます。
試しにゴーレムに触れて、即死強制してみます。
すると、ゴーレムのライフが触れた瞬間ゼロになります。そして、手を離すと最大まで回復しました。
手で触れている間、しっかり私の作ったコードは働いているようです。
「よし、これで準備は出来たのです」
「ほう、何やらよく分からんことをしておったようだが……はたして、吾輩に通用するかな?」
「それは、やってみないとわからないのです!」
私はようやく、ライゼンさんに対抗する手段を手に入れました。
さて、勝負はここからなのです!




