25 あっさり撃破
さて、いよいよゴーレム撃破の時間です。
「あの、ファーリ君。君はそこのカミーユ殿と何を話していたのだね?」
私とカミさまの話が終わったのを見て、リリーナ先生が問いかけてきます。
「えっと、カミさまと秘密の話し合いをカミさまの言語で交わしていたのです。そのおかげで、もしかしたらあのゴーレムを倒せるかもしれないのです!」
「なに!? 本当か!?」
「はい! とりあえずやってみるのです!」
私は言って、みんなよりも前に出て先頭に立ちます。
「さて、まずはファーリは封印を解除してね」
「もうやってるのです。というか、リリーナ先生を追いかけ始めた時点から本気を出しているのです」
「おっ、準備がいいねぇ~。それじゃあ、次は高い破壊力の攻撃を生み出そうか。ファーリは全属性の魔法適正があるから、合成魔法が一番手っ取り早いね」
「合成魔法ですか?」
「そうそう~、8つの属性と無属性を混ぜ合わせて、一つにしちゃう感じでイメージしてね」
「ぬぬぬ……出来たのです!」
私の手の平に、虹色の魔力の光が宿っていました。
「全属性の合成魔法だと……? 伝承に残る大賢者様ですら扱えなかったというのに……」
リリーナ先生が何やら驚いていますが、今は合成魔法に集中しているので話を聞いている余裕はありません。後回しです。
「後はスーパーサーチでゴーレムの防御力と、自分の魔法力、そして放つ魔法の威力を確認しながら、ダメージを微調整していく。攻撃には、今回はブリッツを使うのが一番ラクかもね。単純だし、全属性の合成魔法ならダメージフローを起こすなら十分すぎる威力が出るはずだよ」
「分かったのです! ところで、ダメージフローを起こすダメージとはどれぐらいなのです?」
「ズバリ、2147483647だね」
カミさまに言われたダメージ量をぴったり出すため、私は注ぐ魔力を微調整しながらブリッツを形作ります。
不思議なことに、スーパーサーチの効果なのか、ゴーレムの防御力と私の攻撃力、そしてブリッツの威力からダメージ量まで自動で計算されている様子で、ブリッツそのものが与えるダメージが感覚だけで分かってしまいます。
そして、私のもつパワーの三分の一より少し少ないくらいを注いだところで、ダメージ量がぴったり2147483647に到達しました。
「よしユッキー、やっちゃえ~!」
「了解なのです!」
私はカミさまのゴーサインに従い、ブリッツをゴーレムに放ちました。
ゴーレムはじっとしたまま、避けようともしません。
ガキンッ! と甲高い金属音を立てて、私の合成魔法――その名もプリズムブリッツ(私の命名なのです)が、見事にヒットしました。
見るからに何の負傷も無いゴーレムですが、次の瞬間、パタリ、と倒れて地に伏せてしまいました。
「……倒したのかにゃ?」
あまりにもあっさりした最期だったため、アンネちゃんが疑いの声を上げます。
私はおそるおそる、そろりそろりとゴーレムに近づきながら、ステータスをスーパーサーチで確認しました。
―☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆―
濃縮オリハルコンゴーレム
状態:戦闘不能
生存フラグ:ON
残りライフ:92876534276321
残りパワー:1892
ライフ:92876534276321
パワー:1892
攻撃力:674
防御力:4258
魔法力:439
敏捷性:341
技能:復元(S)
―☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆―
普段のサーチよりも、詳しくチェックしてみました。
どうやらしっかり戦闘不能のようです。
ただ、ライフがしっかり最大まで回復しちゃってるのはなんだかキモいのですが……。
「ちゃんと倒せているのです。スーパーサーチで確認したのです」
私がそれを伝えると、みんな安心したような表情を浮かべます。ただ、カミさまはドヤ顔で「私も役に立つでしょ? でしょ?」とうるさく話しかけてきますし、リリーナ先生は唖然とした表情でこちらをじっと見たまんまです。
「ファーリ君が規格外の人物だというのは知っていたが……ここまでとは。正直、現実に起こったことが信じられないよ」
そして、リリーナ先生は呆れたような声色で私をそう評価しました。
あ、そういえばリリーナ先生に私の実力を見せてしまいました。
あまり目立ちたくなかったのですが……。
まあ、今回は非常事態ですし、仕方ないのです。
後で、私の実力については他言無用だとしっかり口止めのお願いをしておくことにしましょう。
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