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17 そして採取の始まり




 今日は授業というのもあるので、私はスーパーサーチを使わずの採取、狩りをすることにしました。

 今までも何度かやってみたことはあるのですが、練習がてら1時間ほど、というパターンばかりでした。

 そこで、今日の採取と狩りではずっと通してスーパーサーチを使わない方針でいきます。

 もちろん、危険が迫った場合は例外ですけど。


「――というわけでリグ、獲物競争しましょう!」

「望むところですわ、ファーリ!」


 スーパーサーチを封印することを説明した上で、リグと競争をすることにしました。

 より多くの獲物を狩った方の勝利。いつもどおりのシンプルなルール。


 ただし、今日は一日ずっとスーパーサーチ禁止です。

 勝てるかどうかわかりません。むしろ、今まで自力で獲物を狩ってきたリグの方が有利でしょう。


 でも、私だって負けないのです!

 力を封印していても、ブリッツのコントロール精度と数なら負けません。

 リグの技に、私は手数で押していきます!




 ……と、意気込んだは良いものの。

 ハント開始から二時間、お昼時を迎えた時点で既にダブルスコアの差がついています。

 もちろん、リグが二倍です。


「ふふ、今回はわたくしの勝ちですわね!」

「しょ、勝負はまだ終わってないのです!」


 自信満々のリグに、私はどうにか言葉だけでも歯向かってみせました。

 でも、既に自分でも理解しつつあります。


 私は……ステータスだけは高いのですが、肝心の技術が大したことありません。


 いえ、対人戦闘というのであれば、ダズエル家の娘として今まで訓練を受けてきました。なので、引けを取るつもりはありません。

 ですが、ハンターとしては最低限のサバイバル知識をパパに教えてもらっただけなのです。

 まだまだ未熟もいいところ。

 私が獲物を補足した頃には、既にリグがブリッツを放った後、なんてことも多々あります。


 正直言って、まるで勝ち目がありません。


「ふむ……ファーリはやはり、そのスーパーサーチというスキルに頼りすぎているみたいだね。無論、本気で戦う時は存分に使えばいいけれど。こういう時には、基本的な技術を身に着ける訓練をした方がいいのかもしれないね」


 お姉さまが、焚き火の用意をしながら言いました。ちなみに、焚き火はお昼ご飯に獲物のお肉を焼くために起こしたものです。


「まあ、それでもファーリちゃんは十分すごいにゃ。初心者なら、普通はリグちゃんの十分の一も獲物を捕まえることは出来ないにゃ」


 アンネちゃんは、獲物のウサギの肉を処理しながら私のフォローをしてくれます。


「そうですわよ、ファーリ。決して貴女が弱いわけではありませんわ。わたくしがすごすぎるだけですもの」

「むう……でも、リグがすごいのは本当なので、ボロ負けしても納得するのです」

「うふふ、ファーリったら。悔しがるところもかわいいですわ♪」


 リグが私の頭をよしよしと撫でてくれます。

 うう、バカにされているような気もするのですが、撫でてもらえると、それだけで嬉しくなって、どうでもよくなってしまいます。

 ほんと、私はリグに対してちょろいのです。


「ともかく、今日は頑張ってリグに追いつけるよう努力するのです! 技を盗んで、もっともっと上手になるのです!」


 そうすれば、きっと私はもっと強くなれます。

 強くなれば、みんなを守れます。幸せになれます。お金もたくさん稼げます。

 いいことばかりなのです。

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