表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
母がいない間だけ、幼馴染が俺の料理を食べに来る  作者: bonta
第二章 努力の程度は人それぞれ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/44

無駄を減らすという選択

「はい!それじゃあ文化祭の出し物を決めたいと思います!」

 実行委員長の声で、ガヤガヤと騒がしかった声が少しだけ静まる。

 文化祭までの期間も踏まえた場合、そろそろクラスの出し物も決めないといけない。


「お化け屋敷とかどうよ!」

「いやいやここはメイドカフェですぞ!」

 やる気のありそうな奴もいれば。


「面倒くさい……やる気ある奴だけがやれば良くね?」

 こういうタイプの人間もいるのが、多人数での社会という物だ。ちなみに俺はどちらかといえば後者。準備まではちゃんとやるけど、文化祭当日は楽をしたい。


 第一、今回に限ってはクラスの出し物の事を考える余裕がない。部活動で何をするのかが目下一番の課題なのだ。


「ワッキーは何かやりてー事あんの?」

 前の席のほぼ毎日宿題をサボる馬鹿一号、上原が声をかけてくる。


「どうだろうな。今は料理部の方を考えるので忙しいし、他の奴に合わせるよ」

 黒板にはクラスから出された提案が書き出されている。お化け屋敷、屋台、コンセプトカフェ、演劇等だ。


「そっちこそ何かやりたい事ないのか?」

「そうだな、俺演劇部だから、劇ってのは勘弁願いたいな」

「なんだ、ちゃんと役もらえてんのか」

 などと話す、どうやら上原の方も部活動の方で時間を取るのは難しいらしい。


「大した役回りじゃないけどな。観に来てくれるよな?友達だろ?」

「え?俺とお前友達だったの?」

「ひっでぇ!こんなに仲良くしてやってんのに!」

 いや、本当に意外だったんだが……そうか、友人って知らない内に増えてる物なんだな。


「悪い悪い、じゃあこれから友達な、よろしく」

「お、おう、よろしく。言ってるけど、結構傷ついたからね?劇見に来てくれるよな?」

「行けたら行く」

 まぁ善処はするし、暇なら行ってみよう。数少ない友人の頼みだからな。


「それ来ないやつだろ⋯⋯前田さんは何かやりたい事あるの?」

 上原は俺との話を切り上げ、今度は隣の席の夏希に声をかけた。

「私?」


 夏希の席は俺の席の斜め前、近いといえば近いが、クラスでは特に用事がなければ声をかける事もない。そのレベルで話をしないからこそ、俺達が幼馴染という事を知っている人間はいないのだが。


「えっと⋯⋯あの中だと、コンセプトカフェとかかな?」

 夏希は黒板に書かれた提示案から、俺が想像するより意外な物を選んだ。


「へー!結構意外だな!なんで?コスプレに興味あんの?」

 コイツ空気読まないな。女子にコスプレに興味あるのか聞くのってどうなんだ?


「そこはあんまり、でも」

 夏希の視線が、ほんの一瞬だけこちらに向いた気がした。


「美味しい料理作ってくれそうな人、いるから」

 ……いや、気のせいだ。夏希は今の俺の問題を知っているのだから、ここで無茶な要求をするとは思えない。


「あ、もしかしてさっきの話聞こえてた?そうなんだよワッキーって料理部作ってボッチで料理してるんだよ」

「へぇ、そうなんだ」

 夏希は知ってる、とは言わず、あくまでも初めて聞いたように話す。ここで「何言ってんだ?毎日食ってるじゃん」とか言い出したらどうなるんだろうな。


「それ良いじゃん!一回食わしてもらった事あるんだけど、ワッキーが作るもんって無駄に手が込んでて美味いんだよ」

 無駄は余計だろ貴様。だが、段々と悪くない案だとも思えてきた。

 


「じゃあ今出た案の中で選びたいと思います!紙にやりたい事書いてー」

 ある程度の案が出終わり、小さい紙が全員に配られる。


「じゃあ俺もコンセプトカフェって書くわ。言っとくけど、本当に決まったら手伝ってはもらうからな」

「お、結構やる気じゃん。否定もせずに前田さんの案に乗るって……まさか!」

 まさか、じゃない。どうして学生ってのはなんでも恋愛に結びつけようとする。


「俺が料理作る事になったら、料理部監修って言葉を入れてもらう」

「ああそういうの……相変わらずで感心するよ」


 クラスで料理を出す事になった時、何か作ればそれをそのまま「料理部」の出し物としても使える。

 ――無駄な手間が減る。それは、俺にとって重要な判断基準だった。


「支持するだけで仕事をしている事になるなんて、夢のような事じゃないか?」

「多分、脇阪くんには支持だけするのは無理だと思うけど」

 夏希は少し呆れていそうだが、どういう意味だそれは、俺だって支持厨くらい出来るわ。


「ま、そんなわけだから、助けてくれるよな友人さん?」

 「おう、任せとけ」と上原は言うが、今までの行い的に全く信用出来ない。


「脇阪くんは逆に、一人で無茶しないでね?」

 何言ってんだ?無茶なんてするわけないだろ。そう思いながら用紙に希望を書いて提出した。


「じゃあ集計とりまーす!」


 集計の後、僅差でクラスの出し物はコンセプトカフェに決まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ