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第75話 ◇サー・ポーロ士爵 SIDE◇ 最大の悪意

 それから数時間後。


 屋敷の執務室で昼間から、怒りに任せて大量にワインをあおっていたサー・ポーロ士爵の所に、ドラ息子のシグマがやってきた。


「おう親父、入るぜ」

「シグマか。何の用じゃ」


「おいおい、昼間からアルコールかよ。顔が真っ赤だぞ?」

「ふん、父親であるワシに嫌味でも言いに来たのか?」


「ははっ、ちげぇっての」

「ならばなんの用じゃ」


「いい話を持ってきたのさ」

「いい話じゃと?」


「例の件さ」


 言いながら、ドラ息子のシグマはニヤニヤ顔で、自分の首を親指でかき切るようなジェスチャーを見せた。


「……暗殺の件か」


「ああ。すげぇヤツらを用意したぜ。これであのすかしたギルマスは間違いなくあの世行きさ」


 ククッ、とドラ息子のシグマが(いびつ)に笑う。


「本当に上手く行くのじゃろうな? 既に何人もの暗殺者が、返り討ちにあっているようじゃが?」


 実はフィブレを殺すための暗殺者が数名、既に送り込まれていた。

 しかしその全員が変わり果てた姿で見つかっていたのだ。


「どうも妙な護衛がついているらしくてな。並のヤツじゃろくに近づくこともできないようだ」


 妙な護衛とはつまりシノビのことである。

 シノビがこっそりと、暗殺者からフィブレを守っていたのだ。


「ではなにゆえ、次は上手く行くと思うのじゃ? 楽観的な考えではまた失敗するぞ?」


 楽観的に見ない振りをしてこの状況を招いた自分のことはすっかり棚に上げて、ドラ息子のシグマに苦言を呈すサー・ポーロ士爵である。


 この面の皮の厚さはさすがというか、なんというか。


 そんなサー・ポーロ士爵に対し、ドラ息子のシグマはニタニタと笑いながら言った。


「今度のヤツらは、ちょっと腕の立つ程度の、ゴロツキと変わらねぇカスどもとは大違いさ。なにせ東方の島国から流れてきた、汚れ仕事専門の集団らしいからな。いわゆる殺しのプロフェッショナルだ」


「ほぅ……それはそれは、頼もしいではないか」


 サー・ポーロ士爵の目が、驚きを表すように大きく見開かれた。


「だろ? 俺も目の前でちょっとした『シゴト』を見せてもらったんだがな。そりゃあもう手慣れたもんだったぜ。あれは人をボロ雑巾か何かと思っていやがるな。くわばら、くわばら」


「なるほどのぅ。それでお主がワシに会いに来たのはなんのためじゃ? まさかそれを報告するためではあるまいて?」


「そいつらを動かすのにかなりの大金が要る。悪いが用立ててくれ」


「いいじゃろう。いくらじゃ?」

 サー・ポーロ士爵が、金額も聞かずに即答した。


 ケチでケチでケチでケチなサー・ポーロ士爵にしてはとても珍しいことだ。


 が、それだけフィブレに対して怒りを覚えているということの証左でもある(言うまでもなく逆恨みなのだが)。


「前金で5000万。成功報酬でさらに5000万。合わせて1億だ」

「人を一人殺すのに1億とは、またふっかけられたものじゃのぅ」


「これでもだいぶん値切ったんだぜ。とはいえ、向こうも俺らの状況は調べ尽くしてるみたいでな。かなり足下を見られちまった」


「なるほどのぅ。うむ、それを聞いて安心したわい。頭も切れるようじゃの」


「ああ。金に目をつむりさえすれば、かなり使える奴らだ」


「いいじゃろう、払ってやれ。金はすぐに用意させよう」

「さすが親父、話がわかるぜ!」


「ただし失敗は許さんぞ。高い金を払うのじゃからな。絶対に成功させるのじゃ」


「安心しろって親父。見届け役はこのオレが直々にやってやるからよ。あのすかした野郎が哀れに絶命する瞬間を、この目でしかと見届けて来てやるさ」


「成果を期待しておるぞ」


 今、フィブレに最大の危機が迫ろうとしていた。


◇サー・ポーロ士爵 SIDE END◇

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