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第74話◇サー・ポーロ士爵 SIDE◇ 四面楚歌

「会談っていうか、向こうのお屋敷でご飯を一緒に食べるだけだよ」


「わたしも一緒にですか? エスコルヌ女子爵と?」


 リーリアが困惑したように、わずかに眉をひそめた。


「エスコルヌ女子爵がリーリアと話をしたいんだと」


「ええっと。わたし、領地経営とか難しい話はできないですよ? フィブレさんみたいに、貴族の方が楽しめるような面白い冒険エピソードとかもありませんし」


「そんな気張らなくても大丈夫だよ。俺とするような世間話を普通にしてくれたらいいだけだから」


「はぁ……」

 腑に落ちないといった様子で頷くリーリア。


「なんかさ、リーリアがどんな子か知りたいんだって。だから普通に、ちょい丁寧めに接してくれればなんの問題もないから」


「そういうことでしたら、はい。わかりました。あ、でも」


「どうした?」


「それならドレスとか着ていった方がいいんでしょうか? でしたら持っていないのでレンタルしないとです。今から予約とれるかな……?」


「もうほんと、そういうのはいらないから。そこまで堅苦しい会じゃないからさ。持ってる服でいい感じので大丈夫」


「フィブレさんはそうは言いますけど、大丈夫かなぁ……」


「大丈夫、大丈夫。俺なんて作業の終わりに声をかけられて、作業着のまま食事したことだってあるんだから」


「ふへぇ。噂には聞いていましたが、エスコルヌ女子爵は本当に庶民目線の優しい方なんですね」


「ああ。それは俺が保証するよ。じゃあ2日後、よろしくな」

「わかりました」


 この件に関して、俺は特に心配することなくのほほんと構えていたんだが。


 まさかの大事件が起こってしまうことを、俺は2日後知ることになる。



◇サー・ポーロ士爵 SIDE◇


「なぜじゃ! なぜどれだけ噂を流しても民衆を扇動できんのじゃ!」


 サー・ポーロ士爵は屋敷の執務室で、憎々しげにそう吐き捨てた。


 ニュースペーパーギルドに圧力をかけてフィブレや冒険者ギルドの悪評を書かせた。


 衛兵たちや出入りの業者に、街のいたるところで噂を立てさせたりもした。


 ドラ息子のシグマに頼んで、チンピラ共に金を掴ませ酒場などで散々悪評をばらまかせた。


 だというのに、民意はまったくもってサー・ポーロ士爵の意図したとおりには動いてくれないのだ。


「浅はかな愚民どもめが、ワシをバカにしおってからに……! 物事の正邪もわからぬ馬鹿どもには、増税という名の対価を支払わせてやるわ……!」


 サー・ポーロ士爵は怒りに身を任せて、いくつかの税金を増やすことを決め、即日公布した。


 そのことによって、ただでさえそっぽを向いていた民意が完全に離れてしまったのは言うまでもない。


 ポロムドーサからノースランドに移住を考える人々が加速度的に増え始めた。


 既に農村からの出稼ぎ労働者が他の街へと働き口を求め始めたり、街道の付け替え工事に従事したりと、街の人手不足が深刻になるなか。


 この後ポロムドーサの人口はどんどんと目減りし、経済が大きく下振れてゆくのは誰の目にも明らかだった。


 が、サー・ポーロ士爵はその現実から目を背けた。

 まだなんとかなると思い込んでいた。


 こうして哀れサー・ポーロ士爵は、まずフィブレからざまぁされ。

 街のギルドマスターたちからもざまぁされ。

 王都の冒険者ギルド本部からもざまぁされ。

 ドラ息子のシグマからも馬鹿にされ。

 エスコルヌ女子爵と貴族たちからも冷笑され。

 そして今、民衆からの支持も完全に失ってしまったのだった。


 まさに四面楚歌。


 こと事あるごとに税金を取り、労役を課し。

 挙げ句の果てにはカエル税などといったふざけた税金まで取っていたのだから、民意がそっぽを向くのは当然のことではあるのだが。


「許さんぞフィブレ・ビレージ。絶対の絶対に許さんぞ……! その罪、万死に、いや一億死に値する……! 今に見ておれ。くっ、ククク……!」


 サー・ポーロ士爵はどこまでも他責思考で、フィブレへの憎しみをさらにさらに募らせるのだった。

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