二天と二凶
申し訳ありません!
自分でも気づかず、完結にしていました。それを、今の今まで気づかずにいたという……。
まだまだ、続きますのでよろしくお願いします!
「まったく、好き勝手書いてくれて……」
とある休日。遊は、もはや見飽きてきたネットの掲示板を見詰めていた。これまで、何度もネットでの自分の噂を見てきたが、言いたい放題、書きたい放題である。
「すっかりエゴサーチが板についてきたであるな」
「いや、エゴサーチって……まあでも、中傷的なことはちらほらと見受けられるけどさ」
当然のように、遊のベッドの上で寝転がっている火美乃を、もはや突っ込む気にもならない。まるで、当たり前のようにそこに居たかのように。
そして、家族も彼女のことを当たり前のように入れる始末。
「お、お邪魔します」
「うん、いらっしゃい水華」
「これ、お母さんが持っていけって」
水華は、普通だ。ちゃんと行く時は連絡入れて、約束の時間ちょっと前にやってきて、菓子まで持ってきてくれる。
「わーい! ケーキだ、ケーキ!!」
「君は、図々しすぎる」
「それが国枝火美乃!!」
「ショートケーキだけど、大丈夫かな?」
「むしろショートケーキがいいです!! あっ、飲み物は私が持ってくるねー」
そう言って、ベッドから飛び上がり、部屋から出て行く。水華と二人きりになった遊は、クッションを用意してそこへ座らせた後、パソコンを再び見る。
後は、最近のニュースを少し見るだけ。友達が遊びに来たのだから、いつまでもネットなどしていられない。
「……やっぱり二凶は強いな」
「どうしたの?」
クッションに座っていた水華が、気になったのか遊の顔の横に現れ、パソコンを見詰める。
「最近、二凶の悪崎玖絶さんが、凶悪な犯罪者達を次々に捕まえているみたいなんだ。誰も彼もが、強力な能力者なんだけど」
「玖絶さん、か」
「そういえば、水華は玖絶さんと知り合いなんだよね?」
水華は、二天候補に選ばれ、一度は集められた。その時、玖絶とも会っているのだ。写真や、ネットなどの噂では、根っからの戦闘狂ということしかわからない。二凶は、二天とは違い一歩間違えればまた敵側になる可能性があるほどの危険人物達。そのほとんどの情報は、ネットや世間にも知られていない。
「知り合い、てほどじゃないんだけど。……なんていうか、戦い以外興味がないみたいな感じだったかな。挨拶をしたんだけど、無視されちゃって……」
「つまり」
「うん。全然知らないっていうことかな。ごめんね、遊くん」
「いや、謝ることじゃないよ」
「そうだよー!! ぶっちゃけ、その人ただ怖いだけだよ!!」
「いきなりだね、火美乃。しかも、それ見た感じの感想じゃん」
ネットや世間で広まっている彼の顔写真は、まるで人を寄せ付けない野獣の眼光を持ちし顔。戦闘狂というのは、間違いではない。
「えー? 見た目の印象は大事だよ?」
「そうだね」
「遊は見た感じヘタレだよね!」
「ヘタレ!?」
「そして、水華は幼馴染!!」
「そ、それってどんな見た目なの?」
「そして、火美乃さんは!」
「うるさい友達?」
「直撃!?」
仕返しとばかりに遊が発言した言葉に、火美乃は飲み物を零しそうになるが、水華がそれをキャッチし事なきを得た。
「ぐぬぬ……! 遊! 言うようになったね!!」
「い、いやごめん。まさか、そこまでショックを受けるとは思ってなくて」
「うざいよりはマシだけどね!!」
それでいいのか? と思いつつ遊はパソコンを閉じて、床に座り込む。
「ところでさ、二凶ってことで、その逆の二天についてなんだけど」
「どうなんですか! 二天候補だった水華さん!!」
「わ、私?」
本来、水華は二天の一角を勤めることになっていたようだ。しかし、水華は自ら自体したという。その理由は、世間には広まっていないが、よほどのことだろうと噂されている。
「そうそう! 二天確実だと言われていたあなたが、自主辞退したわけとは! さあ! さあ!!」
「なんで記者風?」
どこから取り出したのか、漫画のような早着替えで記者風な格好になっていた。
「えっと……遊くんを守らなくちゃならなかったから」
「……うん、納得です」
とメモ帳とペンを仕舞って元の格好に戻る。
「ぼ、僕のためだったの?」
「だって、約束したから! 遊くんは、私が守るって! 二天の仕事は確かに、素晴らしくて光栄なことだよ? でもほら、私はまだ学生だし」
「でも、今の二天の一角は学生だって噂だよ?」
火美乃は、自分の携帯電話を取り出し、立体画面を中央に表示させる。そこには、二天の一角の情報があり、顔写真はなぜか仮面を被ったものだった。
「この子が?」
紅色の長いツインテールに、真っ白な軍服を纏っており、ものすごくキラキラなポーズを取っている。まるで、アイドルみたいな写真の写りだ。しかし、顔の仮面のせいで可愛いのかどうかがわからない。雰囲気からは、可愛い子だというのはわかるのだが、どうなのだろうか?
「仮面アイドルだってさー。真のアイドルで正義の味方は、正体を簡単には明かさないミステリアスなのがいいんだってー」
「なるほどな……名前は、仮面エンジェルって」
「この子にも会ったことあるけど、すごく明るい子だったよ? 私が、二天を辞退した時も、代わりに正義の味方をやり遂げる! って張り切ってたの」
彼女仮面エンジェルの任務遂行率は百パーセント。どんな相手でも、正義の名の下、絶対執行される。二天は、独断で執行する二凶とは違い、多くの部下を従えている。その中でも、仮面エンジェルは女性ばかりの部下を従えている。噂では、美少女好きだという情報が多い。
「ちなみに、この子はどこの学校に通ってるんだ?」
「謎ですたい」
「年齢は?」
「それも謎なぞ」
「じゃあ」
「全てが謎です!! というか、二凶も謎が多いですが。二天も大概だよね!!」
言われて見ればそうだ。この仮面エンジェルもそうだが、もう一人の二天と二凶を開示するも……データ開示不可となっている。
「まったくもー! 世の中を守ってくる側なら、人々を安心させるために顔出しぐらいすればいいのにー! その点、この二人はまだマシって感じだよねー」
「水華は、他の二人については?」
「うーん……それが、会ったことないの。私が集まった時には、もう二人は決められてて、任務を開始してたみたいだから」
つまり、水華が集められたのは、残りの二人を決めるものだったようだ。噂では、そろそろ新たな能力者部隊を作ろうとしているらしい。だが、あくまで確証がない噂に過ぎないうえに、二天と二凶を超えられる能力者などそう簡単には現れないだろうと言われている。
「二天に二凶か……会って見たいけど、簡単じゃないよね。世界中飛び回って、犯罪者達を制圧しているみたいだし」
「案外、ばったり会っちゃったりして!」
「どうだろうね……私達学生と違って忙しい人達だから」
それもそうか、と遊は一息入れるために火美乃が持ってきたコーヒーを一口。
「あまっ!? ちょっと、火美乃! これ、甘すぎない!?」
「え? そうなの? 遊のお母さんが入れてくれたんだけど」
「母さんか……」
それならば納得とばかりに頭を抱える。陽子は、かなりの甘党で、コーヒーを飲みにしても砂糖やミルクを何杯入れるんだ? というほど入れるのだ。甘いケーキを苦いコーヒーで、緩和しようと思ったのだが……これでは、甘いに甘いで激甘になってしまう。
「相変わらず、陽子さんはすごい甘党なんだね。……あ、甘い」
「無理に飲まないほうがいいよ。まったく、ちょっと僕が別の飲み物を持ってくるよ」
「でも、せっかく用意したのにもったいないよ」
「……仕方ない」
陽子に責任を持って飲ませるという選択肢も考えた遊だったが、自分達のためにせっかく用意したものだ。無下にはできない。
覚悟を決めて、遊は一気に三杯もの甘い甘いコーヒーを飲み干したのだった。
「うぅ……母親の愛が重い」
「重いというか甘いだけどねー」
「ゆ、遊くんは休んでて。飲み物は私が持ってくるから」
「お、お願い水華……」
だがしかし、今の状態他の飲み物を飲めるだろうか? そもそも、ケーキすらまともに食べられないかもしれない。陽子は、よくこんな甘いものを飲んで糖尿病にならないなと不思議がりながら、遊は床に倒れた。
最近は、スマホで投稿しているのですが。スマホのタッチミスで、この話で完結にするを押してしまい、そのまま気づかず投稿したんだと思います。
読者の皆さんには大変ご迷惑をおかけしました……。




