生徒指導
教師に「俺が無実であると必死で訴える下等生たち」。半分は一般生への反発であるが、半分は勇気のなせる技だ。少数派で立場が弱い彼らがあのように上位者に反発するのは、勇気のいる行為だった。
俺は彼らに報いるため、教師の前に出て、事情を説明する。
教師たちは入学初日からトラブルを起こした俺に好意的ではなかった。
生徒指導室にくるように厳命される。
しかし、そこに行くと、意外にも寛大な処置が待っていた。
「お咎めなし」
と言われたのだ。
下等生たちの嘆願が効いたのだろうか。生徒指導の教師に尋ねてみる。
彼はゆっくりと首を横に振る。
ならばなぜ? と問うと、彼は窓の外から景色を見ながらこんな邂逅を述べた。
「アイスヒルクか。いい街だな。私が幼き頃に暮らしていた街だ」
と続ける。
なんでも彼は北の街アイスヒルク出身らしい。しかもそこの貧民街出身のようで……。苦学して王立学院の教師にまでなったそうだが、幼き頃、アイスヒルクの聖教会の教区長に世話になったのだそうな。
「君のお姫様がしたことはすべて知っている」
と間接的に俺に感謝を伝えてくれた。
ただ、苦学して立身したものらしく、依怙贔屓をするような人でもないらしい。
「今回はヴォルクが全面的に悪いが、だからといって常に君の味方ではない」
と注意を喚起してくる。
「それと登校は明日からにしてくれ」
とも言った。
公明正大で信頼できる人物に見えた。彼のような人間に返すべき言葉は限られる。
「主の名を辱めないように生きて参ります」
その言葉に、生活指導の教師は満足したようだ。
寡黙な表情を崩し、にこりと微笑んだ。
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