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Lv666の褐色美少女を愛でたい  作者: 石化
第三章 ギリシャ

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第九十五話 トルコへ

 

『ところで姉さん今なんて言いました?』

『いやだから中国にいるよって。』

『やっぱり意味がわからないので最初から報告をお願いします。』


『えーとね。日本のダンジョンに潜ってたら、へんな儀式に巻き込まれて中国に来てた。』

『姉さんは説明する努力をしてください!』


『事実なんだけどなあ⋯⋯ 。』


『全くもう。』


 仕方がないなあと電話の向こうでリンはため息をついた。


『それで、どうでした、トライヘキサは。何か動きはありましたか?』


『普通にいい子だよ?』


『いやそういうことではなくて。』


『大丈夫だって。気にすることはないよ。』


『それで済んだら苦労はしないんですよ。とりあえず一旦こっちに帰ってきてください。』


『え?いやだ。』


『いやいやいや。定期的に報告しないと怒られますよ?』


『リンがやっといてよ。今は、この二人といるのがとっても楽しいんだ。軍を抜けてもいいくらい。』


『⋯⋯ 勝手な姉さん。』


『でもやってくれるんでしょ?』


『まあ⋯⋯ 。』


『ありがとリン、愛してる!』


『へ?いやあの姉妹同士でそういうのはまだ早いというかなんというか。』


『じゃあ、よろしく!』」



 ⋯⋯ 。⋯⋯ 。⋯⋯ 。


『切れてる⋯⋯ 。』


 リンは、仕方なく、姉の分の報告を肩代わりして行った。


『まったく姉さんは私がいないとダメなんだから。』


 そう文句を言う割には、その口元は緩んでいた。



 ●



 レンさんが電話していたから、ここで別れるのかなと思っていたけど普通についてくるつもりのようだった。

 まあ、レンさんの戦力は魅力的だし良いか。


 大企業敷島の自社用機でイスタンブールまで飛ぶ。

 愛さんもついてくるようだ。


 謎のハーレム女所帯になってる気がする。


 いや、愛さんはおっかないので、絶対にそう言う感情を向けたりしないようにしよう。

 それにあの色気は確実に既婚者だ。


 考えように寄らずとも超絶失礼なことを考えてしまっている。

 余計なことを考えてしまっているな⋯⋯ 。

 社用機が大きすぎるのが悪い。なんでジャンボジェットの少し小さいサイズなんだよ。普通のジェットの1.5倍はあるぞ。


 そこに四人とキャビンアテンダントさんだけが居る。


 冷静に広すぎる。


 なんで全員ファーストクラス級の設備でくつろげているんですかね。


 敷島が大企業なのは知っていたが、こうしてはっきりとわかる形で示されると少し引いてしまう。



「ところでなんでトルコに行くんですか?」


「ギリシャ本土は、静止空間になっていて、入ると問答無用で止まります。周辺から探るしかありません。」


 今更ながらの疑問を投げかけると、響くように答えが返ってきた。


 ギリシャはヨーロッパの玄関口として、中近東からヨーロッパを目指す人々が最初に通過する国だ。


 地理のことはよくわかっていなかったが、ギリシャの東側にトルコが海を面して接しているらしい。


 なるほど。


 さらに、一昔前は難民のEUへの通り道として使われ、問題になっていたと言うニュースを見た。


 ヨーロッパは一番ダンジョンが少ない地域であり、裏返せば、ダンジョンの産出する利益を享受できない地域でもある。良くも悪くも、ダンジョンが生じる前の世界が残っていると言えるだろう。


 そのため、荒事の苦手な人々がヨーロッパに難民として押し寄せることになった。


 もともとギリシャへの渡し守をしていた人々は、その活動域を北に変え、細々と生き残っているらしい。


 愛さん博識だけども、もう少し知識を絞って教えてくれないかな。


 今まで縁がないと思っていた地域の話だから、ついていくのに精一杯だ。


 と、フカフカの椅子と、よくわからない話のせいで、眠気が来てしまった。


 今日もずっと戦いづめだったからな。



 ゆっくり休んで英気を養おう。


 俺は思いっきり椅子を後ろに倒して、睡眠を取った。


 椅子のくせにめちゃくちゃ柔らかいな⋯⋯ 。


 ●


「イスタンブールだ!」


 オスマン帝国の首都にして、現在のトルコの中でも最大級の都市。

 1000万人の人間が住む街であるイスタンブールは、当然のように賑わっていた。


 アナトリア半島内部の多くのダンジョンを目当てにヨーロッパからわざわざ出張ってきている人も多い。

 オスマン朝時代のモスクが丘の上に立ち、尖塔が歴史ある街並みを作り出している。


 モスクと高層ビル群の融合したスカイラインは、この都市ならではの外観を表していて、優美だ。


 観光したほうがいいのだろうか。

 観光は冷静にしたい。日本人的には一生に一度くるかこないかくらいの場所だろう。


 ただ、愛さんが許してくれるかと言うと別問題だ。


 今回の仕事は、彼女の依頼を受けたものだ。すでに、学費免除に、アメリカ軍との折衝と随分借りを作っている。ここで自分から観光したいというのは流石に図々しいがすぎる。


 彼女の方にものっぴきならぬ事情があるようだし、そちらを優先することにしよう。



「あっ、疲れたでしょうし、一日自由に行動していいですよ。こちらも準備があるので。」


 あれ?

 これ観光していいと言うことでは?


 あなたが神か?


「いいんですか?!」


「ええ。五時までにこのホテルに戻ってきてくださいね。」



 愛さんのお許しが出た。

 ようし。サトラと思い出を作ろう!




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