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Lv666の褐色美少女を愛でたい  作者: 石化
第二章 西へ

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第九十一話 決着だと思った?

 

 ただひたすらに油断していたというか、慢心があったというか。

 相打ちだったとはいえ、ほとんど武器の力によるものだ。忸怩じくじたる思いを抱いてしまう。


 傷つけたら勝ちの圧倒的有利な状況で、引き分けか。

 自分の能力に溺れてしまった感が否めない。

 もう少し、自分の現在の力を把握する必要がある。

 レベルが上がる度に、2倍の力を持つことになるのだから、その度に感覚にズレが出る。

 今まではステータスゴリ押しでもなんとでもなったのだが、同格以上の相手だと、悪いところが出てしまう。


 どんなLvでも乗りこなせるような実力を身に付けたいところだ。

 これ俺以外には必要のない技能では?

 いやいや、レンさんの英雄とかもステータスに影響をもたらしてたし、この技能がなくて苦労している人は絶対にいるはずだ。

 俺はまだ見ぬ同士と苦労を分かち合う幻想を見た。



 ちょっと意識が浮上してきた。

 俺が操られなくなったのなら、龍鳳に苦戦することはないだろう。⋯⋯ レンさんが操られる可能性はあるか。

 そこらへんうまくやってくれてるといいんだけど。ゴリラは、まあ、サトラなら一発でしょう。


 終わっていることを祈ろう。

 この痛みでもう一戦やるのは苦行すぎる。


「超回復」のおかげで急速に回復してきてはいるけど、それとこれとは話が別だ。


 戦闘が終わっていますように。



 目を開けた。


 心配そうに覗き込む社歌が目の前にいた。


「あっ、おきた!」


 目の端に涙を浮かべて彼女は叫ぶ。


「⋯⋯ 心配かけたみたいだな。」


 体を起こして、辺りを見渡す。


 ゴリラは胸に風穴を開けられており、龍鳳も魔獣化した姿で地に倒れている。


 行火は、悔しそうな表情で床に横たわって動かない。


『あっ、直方!起きたんだ。良かった。』


 近くにいたレンさん、ついでに龍鳳の体を収納しようと四苦八苦していたサトラが駆け寄ってくる。


「俺が気絶していた間、何があった?」



 とりあえずそこだ。この状況を見れば、勝ったんだろうとは予想できるが。




「えーと、こうだ。仁兄さんが倒れた後、サトラさんが爆速でゴリラを倒して、返す刀で向こうの二人に突撃して押しまくって、龍化させてからも隙を見せずに押し切ってたよ。サトラさん、やばいね。」


 阿弥那がプルプル震えている。


 薄々気づいていたであろうサトラの実力を、彼女は完全に理解してしまったらしい。

 理解できたらできたで、その強さに震えが止まらなくなったということだろう。


 彼女のダンジョンもほとんどサトラに攻略されかかっていたわけだしな。


『そこからは私が。サトラの攻撃の後、あの龍は倒れたんだけど、あの女が何やら薬をふりかけたら復活してね。しょうがないから、サトラがもう一度倒すのと同時にあの子は私が殺したよ。』


 レンさんはどこかズレた笑顔でそう言った。


 三人娘はドン引きしている。

 自分と同じ立場であるダンジョンマスターを、しょうがないからでなんの感慨もなしに殺してしまうレンさんを見てしまったらそうなるな。⋯⋯ 多分、レンさんは前にも何度かダンジョンマスターを殺していそうだ。

 思えば、この子たちと会った時もそこまで驚いた様子を見せなかった。ダンジョンの奥底には人間によく似たダンジョンマスターがいることをあらかじめ知ってたと考えれば辻褄が合う。



 それはそうと、行火はやっぱりなかなか侮れない相手だったようだ。自分の眷属限定なのかもしれないけど、復活の薬を生成していたとは。死んだやつを生き返らせるんでしょ?

 一つの到達点じゃん。


「操心」にかかりやすすぎる割に謎に実力が高い俺が興盛の相手をして気絶したことが確実にプラスに働いたな。


 やられた時には不甲斐ないと思っていたが、こうなると、結果オーライだったのかもしれない。


 とりあえず、無事なのでおっけーだ。

 さて、こいつらを倒したんだから、何かしら状況に変化があるはずだ。

 なければ何か見落としがある。前者であってほしい。どっかに正解のルートがあったとかいうオチはいやだよ。


 っと、ちょっと前に見たように空間が開いた。これは、あの女神の技か。



「さて、バトルロワイヤルモードの勝者はあなたたちね。じゃあ、単騎決戦モードの勝者との最終決戦に行きましょう。この中にいらっしゃい。」


 よし。阿弥那のおかげかわからないけど、三人で一組のダンジョンマスターだと思われているようだ。


 ここで殺し合わなくて済む。


 ⋯⋯ そしてそう言えば単騎決戦モードとかあったな。すっかり忘れてた。さっきの戦いが最終決戦だと思ってた。もしかしたら女神戦があるのかもしれないから、気を緩めるのは厳禁だな。



 俺たちは頷きあって、その中に歩を進めた。



 ●


 風が吹きすさぶ中、四角の祭壇が立っている。

 三方を絶壁に囲まれた山の頂上に築かれた祭壇だ。


 向こう側に、単騎決戦モードの勝者らしい人物とその眷属の姿が見える。


 ⋯⋯ ? 見覚えがある気がする。


「鑑定」を発動してみる。




 名前 天狸てんり

 Lv 431

 技能 「岩石魔術」「全魔術無効」「腹太鼓」「未来予知」「化け学」「危機回避」

 称号 「迷宮一」「ぽんぽこ狸」「天の理」



 名前 御門優馬

 Lv なし

 職業「ダンジョンマスター」

 技能「ダンジョン操作」「眷属作成」「罠設置」

 称号「樹の大ダンジョンマスター」



 あいつ杉のダンジョンマスターじゃね?!


 一応あそこも中華なのか⋯⋯ ?


 英彦山が中華なら東京も中華だな。多分。


 冷静に、あいつら面倒というか、杉ダンジョンにいるだけあって強いんだよなあ。


 できれば戦いたくはないところだ。


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