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Lv666の褐色美少女を愛でたい  作者: 石化
第二章 西へ

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第八十九話 巻きで行くぞ

 

  モンスター密度はとても高かったけれど、Lv666のサトラと、Lv400相当の俺と、一応Lv187になってるレンさん。俺たちが三人協力して戦うことで、迷宮内でレベルアップしてLv200~300程度になった相手たちも蹴散らせるようになっている。レンさんの「英雄」で俺たちの能力値が1.2倍になっているのも大きい。

 しかし職業「異世界主人公」のやばいところが徐々に出てくるようになったな。

 レベルが上がるにつれてどんどん強くなると思っていたけど、今でさえこのレベルか。


 中国を跋扈していた強モンスターたちを蹂躙して行くのは、どこか申し訳ないという気持ちを抱かせるに足る状況だった。ごめん。うちのサトラと職業がバグっててごめん。


 足手纏い三人娘もいたけど、後ろのサトラの高火力と、俺の前衛近接攻撃を乗り越えてもなお、中衛で自由に動けるレンさんがいるのだ。彼女たちに攻撃が届くことはなかった。



 快進撃は続いている。

 だが、この階層の出口がわからない。


 おそらく上層へ行く道があるはずだが、狭い通路でマッピングが進まず立ち往生だ。

 まだ全てを埋めたわけではないから、確かなことは言えないが、とりあえずこのまま時間が経てばマグマがまた上がってくるというのは間違いない。


 それはまずい。


「社歌、怪しいところはないか?」


 マップをみている社歌に尋ねてみる。


「わからない⋯⋯ 。」


 泣きそうな顔で首を振っている。


「阿弥那は?」


「ふむ。これは地図ではわからないところだが、微妙に傾斜が存在している。分岐で高い方へ向かえば上層にいけるはずだ。」


 さすが阿弥那。唯一漢字交じりで話しているだけのことはある。


「全然気づかなかった。」


「仁兄さんたちは戦闘していたんだから気づかなくて当たり前だよ。」


「わたしだけなにもできてないっちゃけど⋯⋯ 。」


 千樹が一人で気落ちしている。


 どうも彼女は地図に対する適性があまりないようだ。


『あなたたちは守られるのが仕事だから。』


 サトラが優しい表情で、彼女の頭を撫でた。


「⋯⋯ はい!」


 千樹の顔が明るくなる。


 二人で下層のモンスターを退けた経験のおかげだろう。二人の間に強い繋がりを感じる。


 まあ、俺も社歌と同じくらい仲良くなったよな。


 そう思いながら彼女の方を見ると、彼女も気落ちした表情をしていた。


「社歌もよくやってるからな。」


 とりあえずフォローしておく。



「ほんと?」


 これだけで嬉しそうな表情になるから不思議なものだ。

 彼女も懐いてくれているのかな。それは嬉しい。


 もともとダンジョンマスターと、攻略者という関係だったけど、彼女たちを殺すという選択肢はもう取れそうになかった。


 彼女たちの人となりを知って、ダンジョンマスターとなった経緯を知って。それでも倒そうとするのは、さすがに気持ちが悪くなる。


 第一、ダンジョン攻略だって、そこで手に入るお金や物資が必要だから潜っているだけで、ダンジョンが無くなったら困るのは俺たちの方だ。


 ダンジョンは攻略する。ただし、ダンジョンマスターを討伐するかは別問題。

 そういう風に考えることにしよう。その方が精神衛生上良い。



 ●


 阿弥那の言葉通り、上層への道は、わかりにくいだけで確かに存在していた。

 目視じゃわからないくらいの坂が緩やかに上層へ伸びている。



 そろそろ熱気が背中あたりまで迫っていたところだったので、本当に助かった。


 背後からは逃げ場を失ってマグマに焼かれるモンスターと、ダンジョンマスターの悲鳴が聞こえる。

 容赦がないな。それに酷い。

 あの女神様、だいぶいい性格をしているな。


 それとも、そんなにこの催しに充てる時間が取れなかったとかそういうことかな。

 仮にも女神様だ。そんな社畜みたいな理由のはずはないか。



 行き行きて、大広間のような場所に出た。


 ここが上層の行き止まりのようだ。他のモンスターたちの気配は後ろのみで、それも随分と弱々しい。おそらくマグマから逃げ惑っているのだろう。


 何故って、下層で俺たちと争った龍鳳とそのマスターの行火、そして、上層で一度見たあのゴリラの上位種らしき、Lv351のグレイトグリッドドラムゴリラとそのマスターらしき筋肉質の男が睨み合っているからだ。



 まさに一触即発といった様子だ。


 そこに紛れ込んだ俺たちに注目が集まるのも当然だ。


『君たちまた会ったね。私の龍鳳の強さを知ってもなお折れなかったのは賞賛するよ。』


『先ほどは不覚を取ったが、今度はそうはいかんぞ。』



『ほお。なかなか良い闘気を発している。なかなかの強者と見える。』


『ウホウホー!』


 喋れていないグレイトグリッドドラムゴリラくんの残念さが際立っているが、気にしないことにしよう。あんなんでも一応Lv351だ。そして、隣にいる筋肉質の男からは強者の風格を感じる。


 ダンジョンマスターが強いパターンには初めてお目にかかるな。


 警戒が必要なのかもしれない。



 とりあえず、一番気をつけるべきは龍鳳の「操心」だろう。この前はひどい目にあったからな。

 なんなら俺とレンさんはいない方が良いまである。











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