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Lv666の褐色美少女を愛でたい  作者: 石化
第二章 西へ

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第八十八話 蠍戦

 

 なんども水流に揉まれたおかげで、俺も地下水脈の中で自由に動けるようになった。

 もしかしたらサトラのおかげで再び上がったレベルのためかもしれない。


 なんでも良い。


 とりあえず社歌を担いで泳げると言う事実が重要だ。


 と言うかなんだかあったかいんだが、温泉か?


 まあ普通に考えてマグマが混ざっているからこう言う温度になっているんだろう。


 マグマって実質温泉なのでは?


 火山のそばでマグマに暖められた水。うん。温泉だな。



 徐々に熱くなってきている気がする。

 温泉に浸っている余裕はない。


 社歌の示す道の方へ俺は泳いでいく。


 もうただひたすら彼女を信じるだけだ。


 ちらりと見ると、俺のすぐ後ろにぴったりとサトラとレンさんが付いてきている。

 これは、俺の泳ぐ速度が遅いのかな⋯⋯ ?


 申し訳ない。これが俺の精一杯だ。


 心持ち、速度を早めた。



 ●


 ストーンさんが落ちているのを下に見て、この前レンさんが開けた穴から外に這い出る。


 話の通り、モンスターの気配はない。


 この階層からいなくなってしまったんだろう。


 その代わり、坂の上から、強そうなモンスターの気配がする。


 なんか、索敵能力が向上しているな。知らない間に気配察知でも覚えたんだろうか。

 戦力になる技能の追加はありがたい。


「やっぱり、上には敵がいるみたいだな。」


『うん。』


『このままいく?』


 サトラが頷き、レンさんが問いかける。



「とりあえず、二人とも先制で火魔法を頼む。怯んだところに突撃する。配置は昨日伝えた通りだ。」


 一旦俺が指示を出す。

 阿弥那に戦闘でもリーダー役をさせるのは酷だ。ここは俺が変わろう。



『ファイアッ!』


『んっ!』


 二人の火炎が坂の上を焼き焦がす。


 たじろぐ気配がする。あの爆発でその程度の効果だと?



 いや、逃げていく気配もあるから、強いモンスターが混じっているのだろう。



 十分に警戒して、俺を戦闘に坂道を上がる。


 蠍人

 Lv 287

 職業「戦士」

 技能「炎耐性」「毒耐性」「毒針」「怪力バサミ」「毒魔法」



 そこにいたのはいつぞやの、社歌の偵察人形を一瞬でぶっ壊した相手だった。

 つまりは、蠍の尻尾と蠍のハサミ。そして、人の体を持つ蠍の頭をした人間。それが、俺たちを待ち構えていた相手だった。

 サトラたちの火魔法を受けて引かないのも頷けるほどの高レベル。



 純粋に強そうだ。


 あの時見た蠍が、上層の生存競争を勝ち抜いて大幅レベルアップを果たした姿なのだろう。


 毒魔法が厄介そうだ。


 迂闊に近づきたくないな。近距離戦闘力も随分ある。


 でも、火耐性があるから、火魔法は効果が薄い⋯⋯ 。




 そういえば、サトラ、水魔法を覚えてなかったか?


 それを軸に戦おう。


「サトラ、炎魔法は効果が薄い。水魔法であいつを攻撃してくれ!」


『わかった。』


 途端に俺たちの頭上に水球が現れる。


 火魔法よりも威力が低いらしく、いつも飲み水を飲む用にしか用いてこなかったけど、こうして見るとこちらも圧巻の力が感じられる。


 蠍人間がたじろいだ。蠍と同様の頭は人語を話せはしない様だが、体があれば、その感情を読み取ることくらいはできる。


『いくよ。』


 サトラの号令とともに、大質量の水がそのまま発射された。


 蠍人は躱そうとするが、サトラの魔法の速度の方が早い。

 水流レーザーの極大版。そんな速度と威力がそのまま蠍人に襲いかかった。


 しばらく拮抗し、抗いきれずに吹っ飛ばされて壁に激突する。


 それでもよろよろと起き上がるのは、凄まじい耐久力だと言えるだろう。


「あとは俺が行く。」


 技能「加速」を使用し、蠍人が態勢を整える前に叩く。


 抜いた千鳥を帯電させ、「雷切」を発動。


 ところどころ甲殻で硬く覆われた蠍人の体は、斬撃だけでは届かなかったが、流石に雷撃には耐えきれなかった様で、ピシピシと音を立てて砕け散った。


『危ない!』


 倒せたと考えて気を抜いていた俺の横を、レンさんが蹴り上げた。

 気づけば、毒針が俺の死角から迫っていた。

 それをレンさんが迎撃してくれたらしい。


「ありがとう。」


『油断しすぎだよ。終わったと思った時が一番危ないんだから。』


 レンさんは眉を少し上げて忠告してくれた。


「わかったよ。ともかく助かった。」


 毒針のことを思考から追い出していたのは俺のミスだ。


 レンさんが遊撃としてカバーしてくれなかったら危うかった。


 もう少し視野を広く持たないといけないな。



 ●


 名前 直方仁

 Lv 160(*2.5)

 職業「異世界主人公(召喚予定なし)」

 技能「鑑定」「言語伝達」「威圧耐性」「超回復」「加速」「精神力」「料理」「西国無双」「一心同体」「気配察知」

 称号「異世界主人公」


 警戒しながらステータスを確認する。

 龍鳳との戦闘を経たのだからもう少しレベルが上がっていてもいいと思うんだけど。まあ、倒しきったわけじゃないから、そこまで入らなかったのだろう。

 そしてやっぱり気配察知が加わっている。うん、色々便利だ。


 そして、レベルにかかる称号倍率がおかしなことになってる。2.5倍ってなんだ。実質Lv400ってことか?

 確かに、さっきの蠍人もプレッシャーは感じたけど、絶対に勝てないというほどの威圧感ではなかった。


 自分の成長が早すぎて怖いが、あくまでサトラとレンさんがいるからこそと肝に銘じなくては。


 これを当たり前にするのは怖い。いつこの前みたいにサトラと離れ離れになるのかわからないわけだし。




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