表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Lv666の褐色美少女を愛でたい  作者: 石化
第二章 西へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

80/155

第七十九話  食べさせあいっこ

 

 ダンジョンマスターを殺されて、呆けたようになっていたリザードマンの軍勢を倒すのは容易かった。

 オーガとの混戦でも圧倒できていたから、いかに再編したところで、負ける道理はない。


 経験値ブーストも同じようにかかっているようで、今の俺のレベルは156。残念ながら技能は覚えなかったが、仕方ないところだろう。むしろついさっき覚えたばかりなのにもう一度覚えるのは流石にチートすぎる。


 戦闘の気配を感じてこちらに向かってくるモンスターがいないか警戒していたが、どうにもいないようだ。

 この辺りは思っていたよりもモンスターの密度が薄いのかもしれない。

 上の層の方がたくさんのダンジョンマスターがいた説。あると思います。

 よく無事に脱出できたな。戦力にならない社歌と一緒だったのに。よくやったよ。



 二連戦を終えて、思っていた以上に自分が消耗しているのを感じる。サトラがいれば、「収納」の食料をあてにできたのだが、この状況では無理だ。

 背負っていた背嚢にいれておいた固形食料を食べることにする。

 美味しいか美味しくないかで言えば、美味しくないが、これは仕方ない。


『食べる? 食べさせてあげるよ?』


 レンさんが自分の固形食料を手に尋ねた。


「それはレンさんのだろ。」


『いや、こうして食べたら美味しいってリンが言ってたから。』


 あの妹は何を教えているんだ。


『その代わり、直方がそれを食べさせてよ。交換交換っ!』


 ⋯⋯ 。まあ、不味いものが少しでも美味しくなるというのなら、問題ないか。


 もともとレンさんが持ってきたものだし、彼女が美味しい食べ方って言っているのなら、信用できるだろう。

 サトラに悪い気もするけど、おそらく、これくらいなら大丈夫だ。


 茶色の固体が、口の中に差し込まれる。バリッと噛み締める。


『ふふふっ。餌付けしてるみたい。』


 笑うところではない。


 ただ、近づいたレンさんのいたずらっぽい顔を意識すると、固形食料の味を意識することができなかった。

 レンさん、正統派の金髪ショート美女なんだけど、ところどころ面白くなるよな。この表現が正しいのかはわからないが。


 美味しいような気がする。視覚情報で味蕾みらいが判断しているのか?

 不思議なことだ。


「じゃあ、俺も食べさせるぞ。」


『わかった! ほら、いつでもどうぞっ!」


 口を開いて、彼女は待っている。

 その赤い口の中に婀娜あだっぽさを感じて、俺は慌てて首を振った。


 これはただの交換作業であってそれ以上でもそれ以下でもない。そのはずだ。


 中に突っ込むと、白い肌とか、動く喉元とかにも注目してしまって、気後れする。


 ヒロインとして見るのなら歓迎するべき事態なんだけど、それでも、俺の中の一番大きな部分を占めているのはサトラだから、彼女を裏切ったような気持ちがしてしまって、素直に喜べない。


 一途と言えばいいか不器用と言えばいいか。


 自分のことながら、呆れたものだ。


『少しはドキドキした?』


 でもこうしてからかってくるレンさんを嫌うことは、どうしてもできないのだった。

 いやだってレンさん可愛いんだもの仕方ないでしょ。


 ●


 一息ついたところで、社歌からの通信が入った。

 俺たちが戦闘している間に、索敵範囲がかなり広がったらしい。

 敵の少ない領域、ダンジョンマスターの本拠地。そして、どこかへ向けて移動するモンスターの群れ。そんなものたちが観測されたようだ。


 拙い言葉で伝えられたが、伝わったのでヨシ!


「どこから行こうか。」


『ダンジョンマスターの本拠地からでしょ! 大元を断てば、モンスターが増えることもないし。』


 レンさんは好戦的だ。


「でも、必ず勝てるとも限らない。見た限りでは、Lv250くらいまではいたように見えた。サトラなしじゃそんな相手には勝てない。」


 ちょっと話は盛ったが、グリッドドラムゴリラがあんなにレベルアップしていたところを見るに、そのくらいの相手がいてもおかしくない。死んだら終わりなんだ。慎重に行くべきだ。


『じゃあ、どうするの?』


「サトラと合流だ。」


『でも、場所はわからないでしょ?』


「いや。まず間違いなく、サトラはモンスターが集う先にいる。」


『なんでそう言い切れるの?』


「そりゃ、戦闘の気配がしたらモンスターは寄っていくだろう普通。そしてサトラが戦闘に負けるわけがない。どんどん引きつけてしまっているはずだ。」


『別の相手かもよ? 』


「その時はその時さ。」


『まあ、君がそんなに言うならいいか。モンスターが集まってるってことは、もっと戦えるってことだしね。』


 レンさんの戦闘欲が発散しきれていない。

 嘘だろ1日2戦したしもう俺はいっぱいいっぱいだから見つからないように移動しようと思ってたのに。


『よーし、じゃあ、行こうか!』


「ちょっと待って。社歌に方針を伝えとく。」


 消耗するので切っていた通信をつなぐ。


 ーばかなのしぬの?ー


「馬鹿でもないし死にもしない。」


 ーきめたのならとめないけど、しなないでね。ー


「もちろんだ。当然生きて千樹を連れ帰るさ。」


 ーさみしいから、はやくかえってきてー


「善処しよう。」


 ーやくそくだよー


 ⋯⋯ 。社歌のやつ。だいぶ弱ってるな。阿弥那のケアが上手くいっていないんだろうか。それとも、阿弥那にあのことを打ち明けられたのか。だとしたら、こちらに連絡を入れられているだけでも偉い。


 それでも、気が細くなるのは避けられないか。


 うん。早く終わらせて合流しよう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ