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Lv666の褐色美少女を愛でたい  作者: 石化
第二章 西へ

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第七十四話 砂浜合戦

 水流にもみくちゃにされて着いた先は、砂浜じみた海岸が広がっていた。


 階層の間の地下水脈であるこの水は、ある場所ではこうして地上に繋がっているのだ。


 小さな砂丘が盛り上がり、その先は水の中からは窺い知れないが、そこ以外にはモンスターはいないようだ。

 チャンスだろう。


 レンさんに続いて陸に上がる。


 ここからは、レベル上げの時間だ。腰に吊るした千鳥と紅葉刃を確認する。水流に流されてはいない。

 大丈夫だ。

 見敵必殺。多対一にならないように気をつけながらなるべく多くのモンスターを殺していく。

 それが俺のやるべきこと。集中力を高めるように目をつぶって、開く。



 青く塗られたダンジョンの天井が、皮肉げにありえない空を表していた。


「とりあえず、慎重に登ろう。」


『賛成。』


 レンさんと頷きあって砂丘をゆっくりと上がる。


 思ってた以上に歩きにくくて、体力を削られる。砂浜といえば体力づくりの定番か。そりゃ疲れる。ここで戦闘するとか言うのは考えたくない。



 頂上から、注意深く下を見る。


 砂。鈍く光る鱗。大軍。群れ群れ群れ。


 これは。リザードマンか?


 リザードマン

 Lv140

 職業「指揮官」

 技能「統率」「炎耐性」「槍術」

 リザードマン

 Lv130

 職業「軍曹」

 技能「指揮」

 リザードマン

 Lv125

 職業「歩兵」

 技能「剣技」

 ⋯⋯

 ⋯⋯

 ⋯⋯

 ⋯⋯

 ⋯⋯

 ざっと見たところ指揮官が三人、軍曹が十人、歩兵が、三百ってとこだ。

 百人将三人か。

 なかなかの物量だ。

 こちらの戦力が二人と考えると流石に正面から突破するのはきついか?


 炎耐性とかを持っているリザードマンもいるし、レンさんの魔法でも突破は難しそうだ。

 ここは見つからないようにやり過ごすのが一番だろう。


 レンさんも同じ意見のようで、顔を見合わせて頷くと一緒に後ろに下がった。



『これからオーガの群れと交戦する。準備を怠るな。』


 指揮官らしき男の声が響く。ここまで響くとはかなりの大声だ。

 やっぱりモンスターでも「言語伝達」は働いているらしい。「言語理解」から「言語伝達」になったから、こっちが迂闊に話せなくなったのか。良し悪しだな。


 やるとしたら漁夫の利狙いがいいかもしれない。これからオーガ軍と戦闘に入るんだろう。

 混戦になったところを狙えば多勢に無勢と言う状況にはならないはずだ。


 つまり、このまま付いて行って、戦闘が始まるのを待つのが最適解に違いない。


 小声でレンさんに伝える。


「私もそれでいいと思う。」


 彼女も声を潜めている。

 危機感は共有できているようだ。あとは、どれだけ向こうに気づかれないかの勝負か。


 潜伏とか忍び足とか、盗賊系の技能があればまた違うんだろうが、現状の手札ではかなり離れて追いかけないと見つかる可能性が高い。


 ゆっくり追いかけよう。



 あんまり声とかは出さないように。


 ⋯⋯ しかし、ここら一帯だけ広いな。青い空は偽物だが、どこまでも続く砂浜もなかなかのものだ。

 昨日までのオーソドックスな洞窟ダンジョンとは一味違う。

 まあ、草原型のダンジョンもあるらしいし、それくらい普通か。


 しばらくぼうっとしていたら、ようやく向こうが動き出した。


 軍隊らしいゆったりとした行軍だ。人が多すぎると、どうしても動きは鈍くなるものだからな。


 しかし、基本的に独立生物であるはずのモンスターを軍隊のようにまとめ上げる、か。

 そこまでレベルは高くないと言うことを考慮しても、警戒に値する相手かもしれない。

 少なくとも日本では軍隊的なモンスターの噂は聞かなかった。



 砂塵をあげながら行軍するリザードマンの群れを追いかける。

 これもう尾行の必要ないのではってくらいのわかりやすさだ。

 相手をするらしいオーガの方もあんなに目立ってちゃ簡単に見つけそうなものなんだけどな。


 ともかく圧倒的な数は力だと言う言葉を体現しようとしているのが伺える。


 これはあれだな。先回りして、オーガの様子を見てみたほうがいいかもしれない。


 戦力差によってはあっさりと負けてしまいそうだ。


 と言ってもなあ。ここら辺の情報は、阿弥那たちのマップにも載ってなかったし、オーガの居場所を探るのは不可能だ。まあ、そんなに時間がかかるわけでもないだろうから、このまま尾行しておこう。


 と、あんまり考える必要もなかったみたいだ。


 砂塵の下から喚声が聞こえ始めた。


 リザードマンのものと思しきこすれるような声と、オーガのものと思しき荒々しい声だ。


 そして剣戟の交わされる音。オーガの方も刃物を持っているようだな。



 俺とレンさんもそこへ向かう。


 ジャイアントオーガ

 Lv150

 職業「壊し屋」

 技能「筋力増大」「握力増大」「斧適正」


 オーガ

 Lv130

 職業「無職上がり」

 技能「怠ける」


 オーガ

 Lv140

 職業「兵卒」

 技能「剣技」「筋肉増大」


 オーガ

 Lv140

 職業「兵卒」

 技能「槍技」「筋力増大」


 ⋯⋯


 一匹の大きなオーガが、その膨れ上がった筋肉ででっかい斧を操っている。

 取り付こうとするリザードマンのほとんどが一振りで弾き飛ばされている。


 かなりの手練れだ。


 他のオーガたちも一人で三人以上のリザードマンを相手に奮戦している。

 一対一で戦えば、オーガの勝利で終わるだろう。それほど両者の差は圧倒的だった。


 ただ、オーガに一匹非常に場違いな奴がいるけど、作る奴をミスったのかな⋯⋯ ?


 多めに作ったらモンスターの方にバグが出るのかもしれない。頭の片隅においておこう。


 ただ、オーガの戦力が三分の一くらいなのは気になる。


 強いモンスターを作るのにはコストがかかるとは聞いているが、そんなに差はあるんだろうか。


 気をつけておいたほうが良さそうだ。


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