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Lv666の褐色美少女を愛でたい  作者: 石化
第二章 西へ

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第六十七話 グリッドドラムゴリラのじしん

 

 俺は追い詰められていた。

 目の前の蜂が毒針を飛ばしてくるし向こうの蠍も毒針を飛ばしてくるしゴリラがドラムを叩いてくる。


 どこに落ちてたんだそのドラム⋯⋯ 。


 おっと注意が逸れた。


 技能「加速」によってなんとか俺は躱していた。

 社歌は、自分で作り出したドールアグレの能力を持った人形の中にすっぽり入って自衛している。

 それ物理完全耐性だろ?ずるいぞ。俺も入れてくれ。


 あっ。ドラムの衝撃波が社歌のいるところに届いて、社歌と人形がころころ転がっていった。


「なんなのぉぉっ?! ひゃぁぁっ!」


 悲鳴が遠ざかっていく。⋯⋯見なかったことにしてもいいかな。ダメ?


 ダメか。それはそうだよな。

 仕方ない。


 蠍と蜂のヘイトがお互いに向くように仕向け、ゴリラのドラムの衝撃波を躱しながら、追いかける。


 そろそろバッタも到着するはず。こちらに構っている暇はなくなるだろう。



 そして社歌の転がる速度が速すぎる。

 おむすびころりんじゃないんだから、もっとこう減速とかしてくれよ。



 後ろでバッタの群れに巻き込まれた騒音が響いているのを聴きながら、俺は坂を駆け下りた。

 ⋯⋯坂があるな。これ、二層もあるパターンか?


 恐ろしいことはあんまり考えないようにしよう。


 幸い、ゴリラと蠍はバッタの群れを十分に迎え撃っているらしい。


 恐ろしい羽音は近づいてこない。


 逃げ切れたはずだ。


 坂が緩やかになったところでようやく社歌に追いついた。


「きゅうぅ。」


 人形の中から引っ張り出すと目を回して気絶した社歌が出てきた。


 自分だけ安全なところに引っ込んでいるからそういうことになるんだよ。


 いやまあ彼女が安全なのは良いことだからぐちぐち言うのはやめだ。


 とりあえず気つけさせてからあたりを見渡す。


 さっきの階層とはあまり変わらないようだが、基本的に下層の方が敵が強いって言うのは常識だ。さっきよりも気を引き締めて戦わなくてはならないだろう。とりあえずこの場からは離れた方が賢明だ。いつ何時バッタが降りてくるかわかったものじゃない。


 そろそろっと、社歌を連れて離脱する。



 ⋯⋯ 嫌な予感がする。



 その予感は正しかったようだ。


 ひときわ大きく、ドラムの音が鳴り響いた。


 これは、さっき衝撃波を出していた、あのドラムだよな⋯⋯ ?



 グリッドドラムゴリラ。強者だったか⋯⋯ 。


 あいつと戦わないといけないのかな。ドラミングしているだけだったりしないかな。


 壁が震えている。ドラムの衝撃波がダンジョンを揺らしているのだろう。


 バッタの群れを倒したことでレベルが上がったのかもしれない。


 正直まずい。



 だが、振動する床は俺たちに逃げることを許さない。


 三歩歩くとバランスを崩してしまう。


 それほどの振動はもはや地震とでも称すべきだろう。


 坂の上からゴリラが姿を表す。


 グリッドドラムゴリラ

 Lv200 

 職業「将軍」

 技能「ドラミング」「ドラムアタック」「ドラムアッパー」「地震」


 バッタも蜂も蠍も倒したんだろうな⋯⋯ 。

 Lv200になったからって技能を覚えこむなよ。やめてくれよ。まだ俺のレベルは133だぞ。

 サトラと合流しないと勝てない。


 ゴリラはむやみやたらと地震を連発してくる。覚えたばっかりの技を使いたいのかな。


 別のところでやってくれよ。もしくは振動周期を理解してくれ。初期微動と主要動で分けてくれるなら許す。



 今からでも俺の特性ふゆうにならないかな⋯⋯?

 叶わなぬ望みと理解しながら一縷の希望を抱いてしまう。

 謎の振動に、別の魔物が集まってくる気配までする。


 踏んだり蹴ったりとはまさにこのことだ。



 マリスゴースト

 Lv142

 職業「背後霊」

 技能「ふゆう」「冷気」「奪力」


 その技能俺にくれよ。

 違うそうじゃない。


 確かにゴーストって浮遊してるものだけどさ⋯⋯ 。

 少なくとも地震の影響は全然受けていないようで、青白い幽霊は俺たちに向かって空中を滑りながらゆっくりと向かってくる。


「たすけて⋯⋯ 。」


 社歌の声が震えているが、不幸なことに俺も同じ気持ちだ。


 こちらは地震で動けないんだぞ。レベルが上の相手にデバフ付きでどう戦えと言うんだ。


 尋常ならざる冷気があたりに満ちる。

 これと浮遊だけなら問題ないが、奪力という技能があるんだよな。


 どう考えても攻撃性能が高そうな技能ですよね。


 捕まったら無理だ。


 でも、こいつバッタの群れ以上に物理攻撃が効かなそうな性能してるぞ。

 聖なる力とかじゃなきゃダメそう。


 ⋯⋯ 。待てよ。確か、社歌の作り出す人形って、仏っぽい感じだったよな。

 聖なる判定あるかも?


 物は試しだ。


「社歌、あいつに対抗できる仏っぽい人形を作ってくれ。レベルは150くらい欲しい。」


「だいじょうぶなの?」


「心配するな。これができなかったら二人とも終わりだ。」


「あんしんできない?!」


 揺れる地面の中、社歌はウィンドウを操作する。

 あのゴリラ、そろそろ飽きてくれないかな⋯⋯ 。


「できたよ!」


 ドール・ストーン

 Lv148

 職業「衛兵」

 技能「堅固」「滅魔」


 如来ポーズをとっている石仏が俺たちの前に現れた。注文よりレベルは低いが、良い技能を持っている。


 マリスゴーストのあゆみは遅い。

 間に合ったぞ。


 ストーンさんの実力を見せてやる。


 俺は戦わないのかって?

 いやそこは適材適所だから⋯⋯ 。




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