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Lv666の褐色美少女を愛でたい  作者: 石化
第二章 西へ

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第六十六話 ダンジョンは続くよどこまでも

 

 ところで、なんで中華統一をかけた戦に日本のダンジョンマスターが駆り出されてるんですかね。

 ひょっとして日本も東アジアだからって中華認定されてる?

 乱暴だな。女神ならさもありなんと言うべきだろうか。


 そんなことを考えながらダンジョンを歩く。

 社歌が疲れていたので仕方なく背中に背負った。

 サトラがいないことによるLv減少によって、体力が減っているから俺もきつい。

 それでも、社歌は見た目通り幼女だからな⋯⋯ 。


 強制的に一心同体にさせられたからには面倒を見ないといけないだろう。

 どうせ、ダンジョンマスターが死んだら眷属も死ぬシステムが実装されてるよ。俺は詳しいんだ。


 もしかしたらそんなシステムなんてないのかもしれないが、危険は犯せない。



 さっきの蠍人間の気配はない。一応後ろにも斥候を出しつつ、前方の安全地帯を増やしていく。


 偵察人形で情報アドを稼ぐぞ。


 俺の技能は基本的に戦闘に特化しているから、全く新しい場所の探索になると、基礎技能で賄わなくてはならない。



 探索系に関してもそんなに悪くない基礎能力はあると思うが、めちゃくちゃ広いことが予想される今回のマップを全てマッピングするのは難しい。


 そこで、社歌の前に出てくるウィンドウの出番である。

 もともと自分のダンジョン全体を監視するのに使われていたと思しきそのウィンドウは、偵察人形が散らばった領域を自動的にマッピングしている。


 これ、いつもの探索でも欲しいな。めちゃくちゃ便利。


 何度でも見返せるし。



 とりあえず今の所、階段のたぐいは見つかっていない。

 ひたすら広い階層が広がっていると考えて良さそうだ。

 道は多数分岐している。

 戦闘の後とおぼしき血痕が存在する部屋もあった。


 すでにぶつかっている陣営もあるようだ。


 しかし、罠とかはあんまり作られていないようだ。


 引きこもりを選んだダンジョンマスターは少ないのかもしれない。

 武闘派揃いか。今まで聞いた通りの中国ダンジョンなら頷ける話だ。


 安心はできるが、逆に言うと、誰か一人でも会敵したらやばい。

 Lv200くらいのがゴロゴロいたもんな⋯⋯ 。


 サトラと合流できれば勝てるけど、今のままじゃ勝ち目が薄いと言う絶妙のレベル帯だ。


「少し休む。」


「えっ。みつかったらしんじゃうよ。」


「お前を背負ってるんだから疲れが溜まるんだよ。⋯⋯ 疲れた状態で戦うよりはましだ。」


「わかった⋯⋯ 。」


「そう不安そうにするな。ここを出るまでは守ってやる。」


 俺の服の端を掴む社歌の頭を撫でる。


 目を細めて、安心した様子だ。

 ナデナデにはセラピー効果があるのかもしれない。



 社歌のメンタルケアは重要だ。

 小さな子にいけないことをしている気持ちになってはいけない。

 これはただの精神看護。


 ちょっとだけ変な気持ちになりそうだったので、自分に言い聞かせて正気を取り戻した。


 技能「超回復」は疲労にも効くようで、じきに疲れが取れてきた。


 そろそろ先に進もう。


 マッピングもだいぶ進んできた。偵察人形はすでに何人かのダンジョンマスターの姿も捉えている。


 サトラの姿がどこにもないのが気がかりだが、やれることはまだまだある。


 とりあえず移動だ。


 俺たちは再び歩き出した。



 ぴちょんぴちょんと雫が落ちている。


 地下水脈でも通っているのだろうか。



「なにかくるんだけど?!」


 社歌がいきなり反応した。


「どれだ!」


「いまうつす!」


 画面には、黒い壁が通路を移動しているのが写っていた。いや、これは、壁じゃない。


 これは⋯⋯ 。


「バッタか?!」


 蝗害と呼ばれるものを知識としては知っていたが、現実に見たのは初めてだった。


 徐々に黒い雲が近づき、羽音が大きくなる。


 無機質な複眼が何個も何個も、こちらの人形を見つめる。


 何百万といるバッタが一斉に移動してくるさまには生理的な嫌悪感を抱かずにはいられない。


 ばきばきもしゃもしゃと人形が噛み砕かれる音がした。


 ⋯⋯ 。誰かのダンジョンから生まれた生物だろうけど、正直言ってどうしようもない。



「逃げよう。」


「にげてばっかりじゃない!」


「あれに勝てるのか?」


「むり。」


「だから逃げるぞ!」


「たすけてよお⋯⋯ !」


 社歌が涙目になっている。


 俺は彼女を抱えて駆け出した。


 物理攻撃全振りの俺では勝てない。サトラかレンさんに火魔法を唱えてもらわなければ。


 早く合流させてくれよ。



 駆けていたら蠍とゴリラが睨み合っている場所に飛び出した。



 グリッドドラムゴリラ

 Lv180

 職業「将軍」

 技能「ドラミング」「ドラムアタック」「ドラムアッパー」



 大毒黒蠍

 Lv185

 職業「暗殺者」

 技能「暗殺」「毒針」「硬化」「断裂」




 あっ。お邪魔しました。


 ごゆっくりどうぞー。



 流れるように横穴にフェードアウトする。


 今回の所作しょさは一部の隙もなかったと自負できる。


 その証拠に、ゴリラと蠍は体を静止させて動かない。


 俺の動きについていけていないようだ。



 走るぞ。逃げの一手だ。


 後ろから追いかけてくる物音がする。


 ゴリラか、蠍か。


 どちらにしろやり合いたくない。


 前方、分かれ道だ。


 ブーン


 ブーン


 横穴から化け物蜂が二匹飛び出てきた。


 クルーエルビー

 Lv140

 職業「兵隊」

 技能「毒針」「麻痺毒」




 腹の部分を紅葉刃で割く。


 技能「加速」があるから、とっさのことにも対応できる。




 もう一匹の蜂と相対している間に、足音が聞こえてきた。


 そちらに注意を向ける。


 ゴリラがまっすぐに走ってくる。

 後ろから蠍、そしてさらに後ろからバッタの群。


 ⋯⋯ オールスターズじゃん。


 逃げねば。


 だが、この蜂は手強い。後ろを見せてしまったらその隙にブスりと刺されるだろう 。


 社歌を守りながら戦える自信はない。

 俺は、決断を迫られていた。










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