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Lv666の褐色美少女を愛でたい  作者: 石化
第二章 西へ

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第五十一話 雷切

 空が青い。大空は広く俺の頭上に広がっている。

 そして、その半分を覆い隠すように、サトラが座っている。

 心配そうに俺の瞳を覗き込んでくる。


 空の青さより、彼女の青の瞳に吸い込まれそうになった。



 そろそろ回復したので、サトラの膝から頭をあげる。


 サトラがちょっと残念そうな顔をしている。

 多分俺も同じような顔をしていると思う。


 とはいえ、ずっと膝枕されていたのでは話は始まらない。


 とりあえず、ステータスを確認しよう。

 さっき何か技能を得た感覚があった。


 名前 直方仁

 Lv 115

 職業「異世界主人公(召喚予定なし)」

 技能「鑑定」「言語理解」「威圧耐性」「超回復」「加速」「精神力」「料理」”NEW"

 称号「異世界主人公」


 前回から11レベルも上がっている。レベリングはうまくいっているようだ。


 新しい技能は掌底あたりになる気がしていたけど、ずっと狙っていた「料理」だった。

 直前の行動に近いものが優先されると思っていた。

 まあ、料理はサトラが来てからずっと力を入れてることだし、それが評価されたんだろう。


 これでもっと美味しい食事が作れる。


 非常に嬉しい。サトラの喜ぶ顔が目に浮かぶようだ。




 サトラはダークホースの死骸を収納している。

 馬刺しとか作れそうだよな。今日の夕食は豪華にしよう。


『仁、こんなものを見つけた。』


 俺が近づいたのに気づいた彼女が、手に持っているものを見せてきた。

 後ろには開かれた宝箱っぽいものがある。ボスドロップか。なるほど。


 千鳥

 武器種 太刀

 スキル「雷切」「帯電」


 やばそう。というか、これ、史実でも実在するよね⋯⋯ ?

 なんなら今もどこかの博物館に置いてありそう。


『私は槍しか使わないから、仁が持ってて。』


「わかった。」


 サトラから太刀を受け取る。


 持った途端、脳内に電流が走った気がした。

 俺は、昔、これを持って戦場に立ったことがある。

 群がる兵を切り捨てて駆け抜けた。

 そんな確かな予感が脳裏を駆け巡っていた。


 太刀は驚くほどに手に馴染んだ。


 紅葉刃の代わりに装備して良さそうだ。


 あちらの紅変が役に立つこともあるだろうから、場合によって使い分けていきたい。


 とりあえず、千鳥を装備することにする。


 単純にリーチが広がるのは大きい。



 ●


 頂上は、ボス部屋と同じような扱いらしく、モンスターは湧いてこなかった。


 白砂の上で、海のように浮かぶ雲を見下ろす。


 とても贅沢な行為だ。下界に降りたくなくなる。


 とはいえ、これは西に行くための旅路だ。


 足踏みばかりしてもいられない。


 そろそろ傾き始めた太陽を見ながら、俺はサトラに出発を促した。


 ここからは降って北沢峠を目指す。


 ダンジョン化する前は、キャンプ場があった場所だ。


 ダンジョンに飲み込まれていない場所があれば、泊まるのに便利だろう。


 思っていた以上に早く登れたから、下るのも早く行けそうだ。


 ⋯⋯そう思っていた時もあった。



 甲斐駒ケ岳の下りは、とてつもなく急だった。


 岩が何個も重なっている。花崗岩なので白くて美しいのは良い。


 でも、そこを下るのは話が違う。


 頂上部を過ぎてからは普通にワイバーンが旋回していて気が抜けなかった。


 急な山岳に適応したらしきマウントアンテロープという大きな角を持つ鹿のモンスターが突進してくることもあった。二人のうちどちらかは確実にフリーになっていないと対応できない。

 必然的に岩場は一人ずつ下るしかなかった。


 速度は遅くなるが安全性には変えられない。


 降って、登り返して駒津峰。

 ここには蠍のモンスターがいた。

 ひょっとして、山頂って一つずつボスモンスター的な相手がいるんだろうか。


 ルート設定をミスったのかもしれない。

 いや、俺のレベル上げという観点から見れば良いことだ。

 今更戻ることはできないんだし、最良の策だったと信じておこう。


 ちなみに蠍はその硬い甲殻ごと、サトラが槍で貫いた。

 Lv200にも達していない雑魚ではそれが関の山だった。


 ほんとサトラ強いよな。

 序盤、中盤、終盤、隙がないというか。

 身体が躍動していると思う。


 その姿がとても美しい。

 なんか戦闘を見るごとに惚れ直している気がするな。

 それで本望だ。



 なおもたっぷりモンスターが襲ってきたので全て返り討ちにした。


 千鳥は、時々帯電して、ダメージを増加させた。

 スキル「帯電」は常設型のようだ。

 雷切の方は、まだ試してないからわからないけど、こちらも多分雷に関係する。



 ギリギリかと思ったが、暗くなる前に北沢峠に到着した。


 7年前までバス乗り場だったらしき無人の建物が哀れを誘う。


 その建物はもうくるはずのないバスを待っているみたいだった。


 何もできることはない。


 俺たちは、昔のテント場に泊まることにした。


 昨日のようにモンスターが嫌う匂いのスプレーを撒く。

 もともとキャンプ場だっただけあって、平らで良い環境だ。


 水場も残っている。


 毒の可能性があるな⋯⋯ 。


 サトラが毒かどうか見分けることができるらしい。


 彼女のゴーサインが出たので、飲んでみた。


 めちゃくちゃ冷たくて、美味しい。

 俺もサトラも夢中で喉を潤した。


 これならいい料理が作れそうだ。



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