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Lv666の褐色美少女を愛でたい  作者: 石化
第二章 西へ

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第四十九話 諏訪湖迂回南ルート

 フォッサマグナダンジョン地帯最前線。


 東の前線基地は、甲府だ。

 もともとこの地も危なかったが、押し返して人類領域として確保したらしい。


 諏訪湖の大穴は甲府の北西に位置している。


 八ヶ岳、南アルプス、奥秩父山塊、富士山。甲府盆地を取り巻く山々は険しい。


 そこから、西へ進む道としては、やはり甲州街道を通って中山道が一般的だ。

 諏訪湖のほとりを迂回し、塩尻から木曽路に入り、名古屋へ。

 江戸時代から続く由緒正しき道である。

 中山道自体は群馬から長野、名古屋へと道が続いている。

 現在では街道など影も形もない場所もあるが、江戸時代においては、東海道と並ぶ大動脈だった。


 だが、危険はある。諏訪湖の大穴だ。

 あの穴は、下が見えないことで有名である。

 すなわち、何かの拍子に落ちたら、命の保証はできないということだ。

 諏訪湖の周りはまさにフォッサマグナダンジョン地帯の真っ只中。

 モンスターも普通に出てくる。

 戦闘で不意を突かれて足を滑らせた場合、リカバリーが効かない。

 危険だと判断できる。


 諏訪湖を迂回する場合、ルートは二つだ。一つは八ヶ岳、霧ヶ峰を通る北回りルート。

 もう一つは険しい南アルプスを越える南回りルートである。


 北回りは南より地形が緩やかで、大多数の人々はこちらを選ぶ。

 自衛隊が展開しているのもこちらだ。


 逆に南はほとんど手つかずということである。

 よっぽどの物好きか、自分の腕に自信があるものしか通らない、難関ルートだ。


 どちらか悩んで、俺は南を選択することにした。


 自衛隊がサトラのことを見つけたら、アメリカと同じように手に入れようとするかもしれない。

 そんな危険は犯せない。


 南が手付かずってことは、モンスターもたっぷりいるってことだ。

 なら、俺のレベル上げもできるだろう。


 食料品も色々買い込んで、サトラの収納に入れておいた。

 聞いてみたところによると、収納中の中身は時間が止まっているらしい。

 その上、今まで満杯になったことはない。

 結構な量のものを収納してきたのに溢れる気配がないっていうのは、多分四次元ポケットじみた能力なんだろう。チートやんけ。羨ましい。パーティメンバーとしては心強いの一言だ。


 無駄な重量で体力を削るザック類を持たなくていい。

 モンスターとの戦闘においてこれほど便利なことはない。


 勝ったな。ガハハ。



 というわけで、甲府駅に降り立った俺たちは、ギリギリまでバスに乗って南アルプスに近づいた。

 バスの降り口には防衛線があり、ここが今尚戦っている最前線であることを実感した。


 まず最初の目的地は、前方に聳える山、甲斐駒ケ岳だ。

 ダンジョン化しても、地形には大きな変更は見られない。

 諏訪湖や浜名湖といった例外は存在するが、少なくとも山は昔のままだ。

 目指すべき目標として、申し分のない場所である。


 下から見えるし、あとどれくらいで着くのかだいたい予測できるだろう。

 ちょっと不安なのは、登山しながらダンジョン攻略になるから、体力的にどうなるかだ。


 一応、「異世界主人公(召喚予定なし)」の効果は発動しているみたいなので、二倍になったレベルを頼りに登っていこうと思う。


 ●


 黒戸尾根。日本三大急登の一角であり、甲斐駒ケ岳へ続く尾根である。

 俺たちはその登り口まで来ていた。


 ここまでの道のりは、崩落しかけた道路やら、壊れかけたお堂やらでだいぶ恐ろしい雰囲気だった。

 ダンジョン化ののちにこう変化してしまったのだろう。

 いつものゴブリンが出てくると逆に安心するまであった。


 狭い道で両側の崖の上から矢を射掛けられるという頭脳プレイをされたのが唯一のピンチだった。

 サトラが、炎魔法で燃やしてそのまま両側を攻撃してことなきを得た。

 他はだいたいサトラの槍と俺の紅葉刃が屠った。

 敵モンスターのレベルは、東京のダンジョンほど高くはない。

 だいたい60から70の間だ。


 すでに杉ダンジョンを経験し、「異世界主人公(召喚予定なし)」の能力も発動している俺にとっては雑魚といって差し支えない相手だった。

 もちろんサトラは言うまでもない。


 歯ごたえがなさすぎて、逆にこれで大丈夫なのか心配になる。


 俺、レベル上げできてるよね⋯⋯ ?


 エンカウント率は悪くないので大丈夫なはず。


 ゴブリンの他にもホーンラビットとか、カーバンクルとか、ブラッドベアとか、森の動物が魔物化したと思しき相手が襲ってきた。


 ブラッドベアの体格は脅威だったが、所詮はレベル70台。

 サトラが本気を出すまでもなく俺が殺した。


 そして、黒戸尾根入り口に着いたのがついさっきだ。

 割と盛りだくさんの行程だったし、今日はここら辺で休もうか。

 日も沈みかけていることだし。



 キャンプの準備をしておく。


 モンスターが嫌うというスプレーを周りに巻いておけば安心だ。


 ちゃっちゃとテントを立てて、キャンプ飯の用意をする。

 スパゲッティだ。麺を茹でて、インスタントのソースを入れるだけで完成する。

 お手軽な美味しさが魅力である。


 ついでにいつもの肉の丸焼きをサトラが作ってくれた。

 今日はウサギ肉だ。


 はふはふと頬張って、満足そうな笑顔になっている。

 可愛い。


 こうしてフォッサマグナダンジョン地帯の1日目は順調に終えることができた。




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