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Lv666の褐色美少女を愛でたい  作者: 石化
第一章 東京

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第四十六話 フォッサマグナダンジョン地帯

 俺の地元は福岡である。

 福岡といっても市街地の方ではなく、北九州の近くの直方という街だ。

 なぜか俺の苗字と同じだが、別に領主の一族だったとかそういうことはないはずだ。

 割と大きな家だったけど、田舎によくある感じだったし⋯⋯ 。


 つまるところクソ田舎である。治安もまあまあアレだ。


 それでも地元なので普通に愛着はある。


 真ん中を遠賀川が流れ、田園が広がる風景には人並みに郷愁を覚える。


 ただ、問題が一つあって、飛行機じゃないと帰れないってことだ。


 日本最大のダンジョン地帯として名高いフォッサマグナ地帯により、日本は東と西で別れてしまった。

 新潟の下半分から長野、静岡にかけては、ダンジョン化というより異界化が進行し、通行不可になっている。

 もともとそこにいた人々は、ダンジョン化していない地域に避難するか、故郷を守るために戦い続けるかの二択を選ばされた。

 自衛隊も出動したが、そこそこ強いレベルのモンスターが無限湧きしてくる上に、どこが心臓部かもわからない。範囲が広すぎた。


 徐々にダンジョンから有用なものが湧いてくるということが知られ始めると、そこはただの自衛隊お小遣い稼ぎの場と化した。

 とはいえ、日本のダンジョン最前線はそこであることは間違いない。

 西と東から、なんとか戦線を押し上げようとしているがあまり成果は上がっていないのが現状だった。


 物流は飛行機以外途絶している。道路も線路も途中で途切れているから仕方がない。

 不便すぎたので大阪が便宜的に西日本の首都として、東京が担っていた司法や政治の一部を移譲されている。

 西日本と東日本。この緩やかな双子国家が、今の日本だ。


 別に国籍が別れているわけじゃないので、飛行機は割と自由に飛んでいる。



 ●


 家に帰って、お風呂に入って、今日の疲れを洗い流した。

 全力で戦闘していたこともあって、疲労はかなりのものだ。


 当然のような顔をしてサトラが一緒に入っているけど、もう抵抗しても無駄かもしれない。

 倫理観を柔肌を視姦する喜びが優った。⋯⋯ なんとかあそこが大きくならないように努力するので精一杯だ。


 これからこの家に戻ることはあまりないだろうし、最後くらい、別にいいかなと思う。

 疲れていて頭が回っていないのかもしれない。


 風呂から上がると、愛さんからメールが届いていた。


 メールアドレスを教えた覚えはないんだけど⋯⋯。

 怖すぎる。


 メールの中身は、行くべき場所とガラス弁償費用についてだった。


 弁償費用は10万円だ。思っていたより高くない。⋯⋯ 金銭感覚が麻痺し始めている気がするな。


 行くべき場所に関しては、空港名だけ書かれていた。

 行く日取りが決まったらこのアドレスに連絡を入れてくださいと書いてある。

 こちらの準備の時間を加味しているんだろう。


 俺もレベル上げしたい。とてつもなく嫌な予感がする。準備をするに越したことはない。


 サトラまでとは言わないけど、異世界主人公の効果も合わせてLv500くらいにならないかな⋯⋯ ?


 レベル上げの方法でも聞いておくか。



 っと。もう一つメールが届いている。


 これは、レンさんからだ。回復したのか。良かった。


『今日は悪かったね。こっちも事情があったから。それより、直方仁、君、やっぱり強かったじゃん。私の目に狂いはなかった。恨みとかはないから安心していいよー。今の所、うちの上層部で審議が行われてるっぽいし。でも、私のお腹をちゅうちゅうしていたのは忘れないからね。責任とって欲しいな。』


 英語もすらすら読めるんだな⋯⋯ 。

 それはどうでも良い。良くはないけどどうでも良くて。

 ⋯⋯ 、あの時、レンさん、意識あったのか?!


 責任とって欲しいと言われても⋯⋯ 。なんなんですか。レンさんを娶れば良いんですか?

 そういうことじゃないな。絶対違う。衝撃的すぎて思考がバグってた。



 俺にはサトラがいるんだし、娶るならサトラが良いです。


 とりあえず、そっち方面じゃない方向性で行こう。贈り物とかしたら許してくれないかな⋯⋯ 。


 レンさんが好きそうなものといえばダンジョン攻略用品だ。


 でも、レンさんは普通のやつならだいたい持ってそうなんだけど。

 ハイポーションとかどうせ軍の備蓄品があるでしょ。


 となると、紅葉刃くらいしか無くなる。


 流石にこれはダメだと思う。レンさんを傷つけた凶器だし。



 何か良い感じの香水とかで妥協して欲しいんだけど。

 一縷の望みをかけて行きたい。



 ●


 とある病院。

 ここにレン=ワールドとリン=ワールドは運び込まれていた。


 先ほどまで姉の方が、機嫌良さそうに何やらメールを打っていたが、今は回復のために眠りこけている。


 その横顔を見ながら、リンは今日の戦いのことを思い返していた。



 トライヘキサの方は、事前に知らされていたスペック通りだった。

 使ってくる技も異界化をすることで動きが弱くなるという情報も。

 異界化を成し遂げた時点で、任務はほとんど完了していたと言っても良い。


 だが、彼女は敗れた。

 トライヘキサと一緒にいた平凡な少年によって。


 確実に日本政府のエージェントだろう。

 動きが遅く、こちらの通行許可も簡単に出すような間抜けな政府だと侮っていたが、なかなかどうして歯ごたえのある相手もいる。

 異界化までの動きが一般人相応だったのも、こちらの目を欺くためだろう。


 彼女は、その姿を思い浮かべる。今度会ったら逃さない。確実に仕留めてやろうと考えながら。


 外見だけでいえば、清楚な美女が微笑みを浮かべて楽しげにしている。ただそれだけの景色だった。









次こそ一章幕です。

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