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Lv666の褐色美少女を愛でたい  作者: 石化
第一章 東京

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第二十八話 戦闘終了と上層階

 戦闘は終了した。


 大きなこのフロアには、ゴーレムの残骸が転がっている。


 大きく吹っ飛ばされたフォレストオリハルコンゴーレムの頭部と、ことごとく破壊されて砂になったと思しき胴体が戦いの激しさを物語っている。


 もしかしたら一瞬で勝負がついていた可能性については、考えないようにしよう。

 サトラの援護早かったな⋯⋯。


 首を横に振ってその思考を追い出した。


 激戦だった。間違いない。



 いつの間にかボスゴーレムの後ろに扉があった。開いている。

 ボスを倒すことで道が開けるタイプの階層だったようだ。


 螺旋階段・・・・のような構造物が見えた。


 そっちに上がるのは後にしよう。


 それより確かボスを倒したらボスドロップがあるんだよね。

 確か。多分。


 今は疲れて動けないけど、回復したら漁ろう。

「超回復」もあるし、そんなに時間はかからないだろうから。


 サトラが寄ってきて俺を後ろから抱きしめた。

 俺より小さいはずの彼女の体が、今はとても大きく感じられた。


 体に力が入れば恥ずかしくて逃げ出したくなるはずだけど、もう、それを考える気力がない。


 俺は後ろに体重を預ける。疲れた⋯⋯。



 予想していた通り、程なく俺は動けるようになった。

 ちょっとだけ眠った気もするけど、そんなに長い時間は経っていないはず。


『もう少し休んでてもいいのに。』


 彼女は唇を尖らせた。

 そうしたいのは山々だけど、迷宮を攻略するのなら早いほうがいい。

 何ヶ月も出れなかったら、失踪扱いされてしまう。

 親は西日本だから連絡が行くのにしばらくかかると思うけど、心配はかけないに越したことはない。


「いけるから大丈夫。」


 俺は安心させるように言った。


 立ち上がる。


 ゴーレムの頭部の残骸はまだそこに残っていた。


 オリハルコンって名前にあったから、伝説級の金属で作られたゴーレムなんだろう。

 余裕があれば持って帰りたいところだ。

 お金になりそうだし。


「サトラ、収納に余裕はある? できればあれ持って帰りたいんだけど。」


『大丈夫だと思う。』


 彼女が手を触れると、ゴーレムの残骸は消えた。

 ⋯⋯収納ってすごいな。

 生きてるものも収納できたら無敵なのでは。

 それ以前にすでにサトラの戦闘力は無敵である可能性は高いけど。


 消えたゴーレムがあった場所には宝箱があった。


 開けてみる。


 中には赤いポーションが入っていた。


 部位欠損も治しうるポーションは高い値で売れる。

 これからの迷宮攻略にも役立つだろう。


 幸運だ。やっぱり現金よりこういうものがいいよな。

 ダンジョンならではのお宝だ。


 鑑定結果はシンプルである。


 ハイポーション

 品質 高


 普通のポーションより高く売れそうだ。

 欲を言うならもっと武器とかが欲しかったところだが、まあいいだろう。

 サトラに収納してもらうことにした。


 こんなものだろうか。


 それとレベルを確認しておこう。少しは上がったと思うが。


 名前 直方仁

 Lv 104

 職業「異世界主人公(召喚予定なし)」

 技能「鑑定」「言語理解」「威圧耐性」「超回復」「加速」”NEW"

 称号「異世界主人公」


 ⋯⋯よくLv 212と渡り合えてたな俺。

 多分最後の技能が作用したんだろう。

 いつもの何倍か早く動けた。

 確かLv100で技能が手に入ると言う話は聞いたことがあるのでそれだと思う。


 ワンチャン職業補正の可能性もあるけど。

 なんとは言っても主人公だしな⋯⋯。


 サトラの方も確認したけどLvは666のままだった。

 相手が弱すぎるからかそれとも、もうあれ以上上がらないのか。

 このダンジョンに入ってから彼女が倒した敵の数を考えると、後者が正しい気がする。

 後者ならいい。

 そしたら俺も追いつけるから。

 彼女は遥か高みにいて、俺は守られてばかりだけど、いつか、彼女と背中合わせで戦えるような存在になりたい。


 まだサトラは俺を異性と意識していないだろうから、時間はまだまだかかるだろうけど、それでもいつか、想いを伝える。


 そのためにも、強くなろう。


『どうしたの? 直方。早く行こう。』


 扉の前で振り返って彼女は言った。


 とりあえず、苗字じゃなくて名前で呼んでもらえるようにしよう。

 俺はそんな目標を立てて、サトラの方へ歩き出した。


 ●


 扉の中は螺旋階段があったはずだった。

 しかし、いつの間にか消えていた。


 そこにあるのは丸い、ただの部屋。

 上を見れば、天井がなくて、どこまでも高く見上げられる。

 空は見えないから、まだダンジョンが続くのは間違いない。


 しかし、螺旋階段はどこに行ったんだろう。


 ボスを倒した時には確かにあったんだけどな⋯⋯。

 ダンジョンだから何があっても不思議はないとはいえ、不気味だ。


 いきなり地面が揺れた。


 がこん。謎の音がした。


 次の瞬間、重力が多めにかかっていることに気づく。


 この感触は、エレベーターだ。早いエレベーターに乗った時に感じるものによく似ている。


 上に、昇っていると言うことか。


 しかしどうして。

 さっきまでの螺旋階段ではなくエレベーターができるんだ。

 ダンジョンが意思を持って、自分の形を変えるなんてことがありうるのか。


 しばらく続いた上昇はいきなり止まった。


 さっきまで見えなかった天井が、今はある。ここが終点らしい。


 扉が開いた。光が溢れる。


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