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Lv666の褐色美少女を愛でたい  作者: 石化
第四章 アメリカ+

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第百五十四話 家へ


 結局押し切られて、レンさんとリンさんが監視役を交代することになってしまった。


 とてつもなく後ろ髪を引かれる様子のレンさんはとても可哀相だった。

 しかし、俺たちにリンさんを止めることができる権限はない。

 必然的に、姉妹同士の議論になった。

 そしてレンさんは、負けた。


 うん。非はどう見てもレンさんの方にあるし、仕方がなかったんじゃないかな⋯⋯。知らんけど。


 ともかくリンさんのつてで日本まで軍用飛行機を飛ばしてくれることになった。太平洋の海上がほとんど通行できない現状、とてもありがたい。


 原子力潜水艦とかなら、太平洋も越えられるのだろうか。


 海上が封鎖されたと聞いてはいるけど、どのレベルで通行できないのかはよくわかっていない。


 タンカーとかが無理なのはわかるけど、戦闘艦ならいけないこともないんじゃないだろうか。やっぱり艦こ○なんだよなあ。

 見知らぬ敵と戦って橋頭堡を築いていってほしい。

 ただの願望だけど。


 それはそれとして、飛行機の重要性について考えようか。


 日本にひきこもってダンジョンに潜ってを繰り返していけばいいと思っていたけど、いつの間にか海外にとても強いつながりができてしまった。


 海外へ自由に移動できる飛行機は、かなり欲しい。


 しかし、飛行機は当然のことながら所有するハードルが高い。


 輸出入輸送の大部分を飛行機がまかなっている現状、自由になる飛行機を動かせるのは、軍と、一部の大企業くらいのものだろう。

 うーん。個人で動かしている人を一人知っているぞ。

 ⋯⋯ほんと愛さんは何者なんだろうね。

 そろそろ本格的に調べるべきかもしれない。


 ナルデなら知っているかなと思って聞いてみたが、あれは知らない方がいいということだった。そんなことある?

 情報を手に入れることが危険みたいな相手なのかな⋯⋯。


 だいぶ恩は売ってるはずだから、よっぽどのことがない限りは敵対関係にはならないと信じたい。

 戻ったら挨拶にでも行くかね。


 そして、ナルデもついてくることになった。


『私は君たちの旅路を見届ける必要があるからね。』


 そんなことをうそぶいていた。

 彼女は暴走さえしなければ、とても優秀な情報屋だから、ついてきてくれるのはとてもありがたい。


 レンさんが置いていかれた子犬みたいな顔をしている。


「早く片付けて、合流しよう。」


『うん。そうだね!』


 俺の言葉に目を輝かせて頷いた。

 不覚にもかわいいと思ってしまった。

 こんなのだから職業補正が2.5倍になるんだよ。


 あれ、レンさんがいないってことは補正2倍に戻るのか。



 今の俺のレベルは、ネクロノミコンダンジョンを経験したこともあり、Lv431だ。


 まあ、二倍でも、Lv862。かなり十分な数値と言える気がしてきた。

 なんだったらレンさんもいたら、431*2.5で1077?

 ひょっとして神を超えていたのか。

 まじで?

 普通に正面から倒せる⋯⋯?


 いやわからん。流石に夜に吠えるものを単独で討伐できる気がしない。

 もしかしたら雷切の一撃がサトラ以上のバカ力になっている可能性はあるが、試していないからなんとも言えない。というかダンジョン外でもLv431って愛さんクラスだよな⋯⋯。いつの間にそんなことになってしまったんだ。


 強者のオーラとか出ているのかもしれない。日常に戻れるだろうか。


 俺の日常⋯⋯。

 大学行って、ダンジョン行って。

 それを繰り返す代わり映えのしない日々。


 そこに戻るか。戻れるのか?

 帰ってから考えよう。


 リンさんとナルデはどこに泊めればいいんだろうか。


 うーん。答えの出ない問題は後回し。


 今は帰ったら何をやりたいかを考えよう。


 代々木ダンジョンでも攻略してみるか。

 それとも杉ダンジョンでレベリングする⋯?

 あそこ、クロノスダンジョンを除けば一番強いダンジョンだったもんな。


 俺の職業ならレベル限界を超越できる説を実証するにはより強いレベリングが不可欠に違いない。もっともっと上を目指すぞ。


 そんなこんなで日取りも決まり、俺たちはお世話になったリンレンファミリーに別れを告げた。


 また、アメリカに来る機会があればもう一度寄りたい。


 それくらいには居心地の良いお家だった。


 謎のダンジョンが出現したこともあったけど、あれは事故みたいなものだろう。


 ナルデが事前に察知できなかった時点で、あれを回避する方法はなかった。

 リンさんみたいに離れていればワンチャンあったのかな⋯⋯。


 過ぎたことを言っても仕方ないか。

 レベルも上がったことだし、得るものは多いダンジョンだった。

 しかしアメリカに来て神様的な存在とこれほど会うことになるとは思わなかった。

 多分夜に吠えるものはそうだし、フォーマルハウトの炎も炎とはいえ同じような力を感じた。そして、ダゴン。三人だ。クロノスのように力を落としているわけでもない本物の神。


 Lv999というのも、ただ、レベル測りきれていないだけなのではないかと思えるほどの圧倒的な実力差を感じた。


 あれをいつか、倒せるだろうか。


 不安だ。


 ナルデの持つ羅針盤を見る。


 これが、サトラが今の状態になった元凶の居場所を指し示す唯一の道しるべだ。


 大事にしなくちゃならないし、覚悟と用意が整ったら、行かなくてはならない。


 羅針盤は揺れながらも、南西の方角を指し示していた。



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