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Lv666の褐色美少女を愛でたい  作者: 石化
第四章 アメリカ+

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第百五十三話 ネクロノミコンの振り返り

 

『で、結局どう言うことだったのか整理をしないかい?』


 そう言ったナルデに俺たちは賛成した。

 あまりに多くのことが起こったから、まとめておきたいと言うことだ。


 まず、本の世界に吸い込まれる。


 本の世界は、農村部、都市部、海中神殿部に分かれていた。


 それぞれ別の位置に転送され、記憶さえも曖昧だった。


 仲間に会った途端に記憶は戻ってきたから、合流するまで続く形の制限だったのだと思われる。


 割と悪辣だ。

 ナルデが一人で先行したのは、孤立無援だと思わされたからと言うのは絶対にある。


 そうでなくても、俺も一人だったらLvは低いままだしな⋯⋯。

 危ないところだった。インスマス水妖だけならなんとでもなったと思うが、レンさんが襲われていた相手が来たら為すすべがなかった可能性が高い。


 それからはまず、俺とサトラが合流。


 ついで俺たちとレンさんが合流。


 そこで悪臭を放つLv400越えの化け物と戦闘。


 勝利した。


 そして、ナルデを探して海中神殿へ。

 入り口は海の上だったけど、途中そこそこ下ったから、海中神殿というのは正しい呼称だろう。

 神殿では開かない大扉を前にガーゴイルを操る水との戦闘。

 この場所をナルデは、上部にあった穴から先に進んだらしい。

 そんなのあったっけ。


 ちょっと目の付け所が違うね。


 それからは、ナルデの成果物を存分に利用させてもらった。


 ダゴンのもとにたどり着いて、ナルデと合流。


 触手を切り払ったら、ダゴンが津波を起こして、それを切り抜けて、認められて、謎の羅針盤を渡されて帰ってきた。


 こんなところだろう。


『今思い返しても怖かった⋯⋯。』


『レベルが開くと交流することに恐怖を覚える現象だね。私もそうなるとは。』


 二人があんまり喋らなかったのはそう言う理由らしい。

 そういえば、一番最初の頃、サトラと話すのが怖かったような、そうでもないような。

 サトラは、無口なので、必然俺が交渉役になっていた。

 技能「言語伝達」先輩も多分役に立っていたはず。

 神様と交渉する俺は偉いね。

 うん。そう言うことにしておこう。


 交渉の下手さ加減に関しては、触れないでください。


 今思うともっと金銀財宝を持って帰れる可能性もあったかもしれない。


 曲がりなりにもダンジョンなんだから。

 羅針盤を見るに現実世界にもちゃんと持ち込めてるし。


 返す返すも惜しいことをした。


 で、問題はこれだ。


 この羅針盤だ。


 とりあえず、装飾のたぐいは、かなり見事なもので、骨董品としてかなりの値段がつきそうだ。


 曰く付きの羅針盤

 効果⋯⋯宝物の場所を示す。


 などと偽って持ち込みに行けばかなりの値段で売れそう。

 宝物=神はあんまり間違っていない気がするから、嘘を言っているわけでもないし。


 とはいえ、ここにいるのは、ダゴンよりも格上であることが示唆されている神。

 ダゴンも全力でぶつかって勝てるかどうか怪しかったのに、その上ですよ。


 勝てるかこんなもの。


 しかし、俺たち以外で勝てる奴がいるかと言うと、誰も勝てないだろうな⋯⋯。


 でも、行きたくないな⋯⋯。


 サトラの過去。

 ナルデとアテナ様が教えてくれたその過去で、ダゴンの言う神が、ミクロネシアの人々を虐殺したことはわかっている。

 俺の脳裏にもその醜悪な姿がぼんやりと浮かび上がる。


 間違いなく討つべき神ではある。


 そして、サトラの過去の一番最初の因縁もそこにある。


 だから、俺は、いつかはそいつを討ちたいと願う。


 今では、ないけれど。


 行く先のようとして知らなかった相手の確実な居場所がわかるものを手に入れた。それだけで今は良しとしよう。


「サトラ、これを預かっていてくれ。」


『あんまり持ちたくはないよ?なんでか知らないけど怒りたくなってくるから。』


 彼女自身は覚えていないとはいえ、身近だった人々全員の仇の居場所だからな⋯⋯。

 あんまり無理させるのはダメかもしれない。


 でも、俺は間違いなくどこかでなくすからな⋯⋯。


 自分のそう言うところは全然信用していない。

 ある意味信用していると言ってもいいのかもしれない。


『なら私が持とう。なに、解析してもう一つくらい作って見せるさ。』


『ナルデは技術者系統の技能なくない?』


『じゃあ言い方を変えよう。解析だけさせてくれ!これほど興味深いものはない。』


 鼻息を荒くしてナルデは身を乗り出してきた。

 のけぞってしまう。


「⋯⋯絶対になくすなよ。」


 勢いに押されて、渡すことになってしまった。


 良かったんだろうか。


「で、これからのことなんだが⋯⋯。」


『日本に行きましょう!』


「へ?」


 リンさんが、やる気に満ちた雰囲気でそこにいた。


 聞いていたのか⋯⋯?!


 まあ、リビングでやっていたけどさ。


『一応、聞いていい?どうして?』


『行かなきゃ行けない気がするんです。』


『軍はにはどう言うの?』


『トライヘキサの監視です。』


『二人目なんだけど。』


『いやいや姉さんばかりずるいですよ。楽しそうな経験ばかりして。』


 レンさんは目を逸らす。


 楽しいかどうかは人によると思うが、退屈しなかったのは確かだ。


『今度は私の番ですから。』

 うーんこの姉妹。


『なので姉さんは軍に戻ってください。姉さんの仕事もたまってますよ。』


『それはリンがやってくれる約束だったじゃん。』


『私じゃ無理なのもあります。』


『うううう。』


 ずっと軍務をサボっていたのはレンさんの方なので、何もいえない様子である。


『それでは行きましょうか。久しぶりの日本へ!』


 リンさんのテンションが、高い⋯⋯。

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