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Lv666の褐色美少女を愛でたい  作者: 石化
第四章 アメリカ+

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第百四十八話 罠

 

 サウナ状態の部屋を脱出した後だ。

 どうにも蒸れて、居心地が悪い。

 俺はそんなに大したものは着てないから全然大丈夫だけど、きっちりとした軍服のレンさんとか、鎧を纏ったサトラとかは、苦しそうだ。

 レンさんの石化は、しばらくしたら、皮が剥けるように、石になった部分がバリバリと剥がれ落ちた。表面だけが固まるタイプだったようだ。

 良かった。石化を治す手段なんて持ってないからな。

 俺の「超回復」とサトラの「血槍姫」はどちらも自分の回復にしか効果がないし。


 次の部屋は、吹き抜けた広い部屋だった。

 一見したところ危険はないようで、絨毯めいたものまで転がっていた。

 その上寝転びたいかと言われると、そこまでではないけれどさっきの部屋を経験した後なら、天国かと言いたくなるような部屋だ。


『着替える。』

 サトラは、収納に自分の服を入れている。

 それを使うのだろう。

 ただ、俺のことを気にせずに着替え始めるのだけは勘弁して欲しい。


「あ。ああ。向こうを向いているよ。」


『私も着替えようっと。あっ、別に直方は私の方を見ててもいいよ。』


「英語には嫁入り前の娘がみたいな言葉、ないの?」


 日本には肌を晒したら、それだけで結婚しないといけないみたいな話あるぞ。

 創作限定の話かもしれないけど。


『直方となら別にいいけど⋯⋯?』


 レンさんがしっとりとした声で言う。

 からかい気味ではない。

 えっ、本気?



 思わず振り返ると、ちょうど二人とも裸身をあらわにしているところだった。

 二人とも程よく筋肉がついて、美を体現した体である。

 普段見ることなどできるはずもない、乳首でさえもくっきりとその姿を覗かせていた。桜色だった。


『すけべだね。』


 いや、レンさんのせいだからな!自制できなかった俺も悪いけどさ。


『見たいの?』


 サトラ。見たいか見たくないかで言ったらすごく見たいけど、鉄の自制心で自制していたんだよ。そう言うことを言わないようにしてください。

 全くもう。


 二人とも嫌がるそぶりを見せなかったので、なんとなくタイミングを見失い、俺は、二人の生着替えをずっと見ていた。

 欲望に逆らうことができなかった⋯⋯。


 俺も着替えを貰えば、一緒に着替えると言う大義名分ができて、ガン見男の不名誉を返上できるのではと気づいたのは事後だった。


 よくよく考えると、どっちにしろ同じ場所で着替えている時点でガン見不可避なので意味ないな。


 それはそれとして、俺も汗がひどかったので、サトラに別の服を出してもらった。

 サトラの「収納」には俺の服も入っているのである。

 受け入れられていると言うことだ。嬉しいね。


 俺もそこから着替えていたんだけど、サトラはじっと見てるし、レンさんもチラチラ見てるから、とてもやりにくかった。パーテーションとか必要なのでは。


 ガン見していた俺が言っても説得力は皆無か⋯⋯。


 ●


 着替えて一息入れる。


 不気味な神殿とは思えないほどに、この場所は快適だ。

 まず、謎の絨毯。


 少し先に進んでみるとこの部屋がとても広いことがしれた。

 そして、柔らかそうなソファが、何個も置いてあるのがわかった。


 側には暖かくで美味しそうな料理が小さな机に置かれている。


 ダンジョンであることを忘れさせるような心地よい空間が広がっている。


 料理を見ているとお腹がなってくる。

 そういえばこの本のダンジョンに来てから、何も食べていない。

 そろそろ栄養補給をしなくてはいけないかもしれない。


『食べて、いいよね?』


『いいに決まってるよ。食べよう!』


 食いしん坊のサトラと、食べるのは好きなレンさんが連れ立ってそちらに向かった。


 俺も、食べたい。とても食べたいのだが、何かが、警鐘を鳴らしている。


 これに似た場面、どこかになかったっけ。


 考え込む俺の足元に、紙片が落ちているのが見えた。


 拾い上げてみる。

 これは、ナルデの筆跡だ。


『料理は危険。部屋を抜けるには、給仕を捕まえること。』


 彼女のメモ書きだろう。


 そして、同時に頭の中を走り抜ける、豚になった彼女の父と母の映像。


 まずい。


「二人とも、食べるな!」


 いつもよりも大きな声が出た。


 すでに食べようとしていた二人は口に運ぼうとした姿勢で固まった。


『どうしたの、仁。』


『そんなに焦るなんて、珍しいね。』


「食事は罠だ。よくないことが起こるぞ。」


 豚もしくは魚人にされたらどうしていいかわからなくなる。


『⋯⋯うん。仁がそんなに言うのなら。』


 サトラは残念そうに、ゆっくりと、持っていたパンを皿に戻した。


『大丈夫じゃないの?』


 レンさんは呑気に、そのまま飲み込もうとしている。


「やめろ!」


 足に力を込めて飛び出した。

 ダンジョン内で発揮できる、サトラをも超えた高速の移動。


 それを用いて、パンだけを狙って弾き飛ばす。



『びっくりしたあ。そんなにやばいの?』


 レンさんは呑気にそう言った。


 跳ね飛ばしたときに結構な風圧を感じたと思うんだけど、そう言えるのは大物だな。


 飛んだ速度で、視認できた。


 海で見た魚人が、綺麗に着飾った状態で料理を追加している。


 戦闘体勢にならないと見えないくらいのスピードだ。

 レベルは、300ほど。


 すっかり気を抜いていたから全然気づかなかった。


 そいつに狙いを定めて踏み込む。


 捕まえた。


 途端に、絨毯も食事もソファも全て消え去った。


 元の禍々しい神殿の内部だ。


『ほんとだ。』


『幻だったの?!』


 サトラとレンさんも、騙されたことに気づいて戦闘体勢をとる。


 給仕人の格好をしたインスマス水妖が八体ほど。奥には開かれた扉がある。


 うまくすれば、倒さなくても突破できそうだが、俺たちなら、正面から突破できる。


 いやらしいギミックだったが、こうなったら真っ向勝負だ。

 蹂躙させてもらおう。

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