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Lv666の褐色美少女を愛でたい  作者: 石化
第四章 アメリカ+

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第百四十七話 ガーゴイル

 魚人を思わせる石像が動き出す。

 エラ張った首筋が空気を取り込んでパクパクと動く。


 鑑定を発動する。


 ルインガーゴイル

 Lv246

 職業「番人」

 技能「石化」「岩石魔法」

 称号なし


 他の三体もレベルが少し違うだけで似たり寄ったりのステータスだ。石化にだけは気をつけよう。


「石化。それに岩石魔法を使ってくるみたいだ。気をつけろ!」


 俺は今わかった情報を伝えつつ、紅葉刃を構えた。

 だが、前に行くのは考えものだ。

 土でできたゴーレムには効いたけど、流石に石という属性に「紅変」が通るとは思えない。


 俺が積極的に仕掛けるのは愚策だろう。


『私が片付ける。』


 とはいえ、サトラがいる時点で心配することは何もなかったかもしれない。


『やっ!』


 一突きでガーゴイルを粉砕していた。



 さすが人類最強。


 サトラに勝つには、硬さが足りなかったな。


『私もやる!』


 レンさんの脚に炎が纏われた。


『炎脚!』


 とてつもなく硬い音が響く。


『いったーい!』



 硬いやんけ。


 サトラが強すぎるだけだったみたいですね。


 ガーゴイルの動きは、石とは思えない素早さだったが、元の材質の重さは如何いかんともしがたかったらしく、俺たちより半歩遅い。


『石化。』


 ガーゴイルの口が動いた。


 ジリジリと、レンさんの肌が白くなっていく。


「レンさん!」


『大丈夫!なんとかするから。』


 レンさんは気丈に笑うと、そのまま炎を纏った蹴りを叩き込んだ。


 ガーゴイルは苦悶の声を上げる。

 岩の部分は大して傷ついていないように見えるが、どうにも、炎が効いているらしい。薄くまとった水を剥がされてそれが辛いみたいだ。


 ガーゴイルが本体ということではないのか⋯⋯?


 飛んできた岩を余裕で捌きながら、そう考えた。

 水が本体。

 あり得るな。



 砕いた石像は流石に起き上がってこないようだが、レンさんによってかなりのダメージを受けたはずの石像は、これまでとなんら変わりのない動きで、戦闘を続行しようとしている。


 ただ、鑑定では、きちんとモンスター判定が出ていた。


 基本的に鑑定のことを信じていいと思うが、ここは自分の勘を重視しよう。

 その水に向かって鑑定だ。⋯⋯結局鑑定に頼っていることは指摘しないでほしい。


 マリオネッタ・ウォーター

 Lv312

 職業「人形使い」

 技能「物理無効」「操作」「水魔法」

 称号「ガーゴイルの主」


 勘が当たったな⋯⋯。


 しかし、足元の水は時間経過とともに増えているぞ。

 このままにしておくと、この人形使いの水に飲まれてしまう。

 どう考えてもよくない。


 物理が無効なら、やっぱり魔法が一番いいだろう。


「サトラ、レンさん。この足元の水を攻撃しないとダメみたいだ。火魔法でなんとかできる?」


『やってみる。』


『私もそれが戦闘スタイルだからね!』


 打てば響くような返事が返ってくる。心強い。


 しかし、このフロア、徹底的に俺をメタってきているな。


 物理が無効になると俺ではちょっと厳しい。千鳥を持ってこれていたのなら、話は違っていたと思うんだけど。

 まあ、鑑定がすべての場所で通じるチートだから、大丈夫でしょう。


 俺の役割がなくなることはあり得ない。

 なんとは言っても職業は主人公だからな。



 サトラとレンさんが、火魔法を展開する。


 サトラが壊したガーゴイルは二体。


 残り二体から距離を取りつつ、サトラとレンさんの火魔法が発動する。


 部屋はそこそこ大きいとはいえ、空に出現するほどの業火が発生すると、そこは灼熱に変わる。


 熱い。


 でも仕方がない。こうでもしないと、倒せる気がしない。


 水と火は、相反するものだが、その一方は本体であるマリオネッタ・ウォーターである。水魔法で相殺しようにも、二人分の火魔法だ。出力が違う。

 マリオネッタ・ウォーターは徐々に削られていく。


 ガーゴイルたちは、マリオネッタが操る余裕がなくなったからだろう。動かなくなった。鑑定してもただの石像状態だ。

 どういう形態なのか、興味深いところではあるが、考察している余裕はない。熱すぎる。

 マリオネッタ・ウォーターが蒸発するせいで、サウナじみた気候になってきた。

 汗がすごい。サウナは裸だから大丈夫なのであって、服を着た状態でやるようなものではないんだよ。


 とはいえ、俺には何もできない。


 応援することくらいしかできない。応援ならば絶対レンさんの方が強いよ。技能「鼓舞」、俺も欲しい。


 主人公なんだから、魔法の一つや二つ、そろそろ覚えてもいいと思うんだけどな。物理特化型かな?


 ただ、マリオネッタ・ウォーターの方からこちらに有効打がないようだ。

 水魔法も、すぐに蒸発してしまう。

 無駄な足掻きだけど、それがどんどんこの部屋の環境を悪化させているので、地味に厳しい。


 お前Lv300越えだろもうちょい頑張れよ。


 いや頑張らなくていいです。いい加減くたばりやがれください。


 この部屋満杯になるはずだった水は全て蒸発した。

 蒸発した水は少しくらい出て行ったかもしれないが、ほとんどがこの部屋にとどまっている。

 サウナ状態は継続だ。


 いや、正面の扉が重々しく開いた。

 これでこの門の門番を全員倒したということだろう。


 助かった。


 俺たちはその蒸し風呂から命からがら逃げ出した。



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