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Lv666の褐色美少女を愛でたい  作者: 石化
第四章 アメリカ+

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第百三十五話 ヨセミテ2

 

 サトラが抱きついて離れなかったり、レンさんがなおもからかってきたり、リンレンパパが申し訳なさそうにしている。

 そんな洞窟前だ。


 対応したいところだけど、すぐ近くに崖があるので、まずダンジョンに入りたい。

 崖のそばに近寄りたくない。


 その主張は通って簡易的なゲートを潜ってダンジョンの中に入ることになった。

 ダンジョンの中の方が安心できるんだけどこれは何。


 モンスターより落下死の方が怖いからな⋯⋯。



 とりあえず、最初の広場は整理されている。

 入り口がそこそこの難易度ということもあって、入ってくる冒険者はそれほどいないが、このあたりは、最終防衛線でもある。

 二、三の冒険者がたむろしているのが確認できる。


 そろそろ落ち着いてきた。

 なんとは言っても落ちないのが良い。

 いやー、見事に落下した。

 俺はレインボーロードを落ちることで定評がある男だぞ。現実で落ちないわけがなかった。絶対にもっと慎重になった方が良かった。先行する三人があまりに簡単に突破したものだからそういうものかと思ってしまった。


 完全に失敗した。


 レンさんには感謝しても仕切れない。


 しかし、あの時なんというか、挙動がおかしかったような気がする。

 本来あるべきものがなかったというか、そんな感じだった。


 気のせいかもしれないけど、ひょっとして、リンさんの職業「反英雄」の力なんだろうか。

 知りたい。でも、基本的に職業の能力なんて隠すのが普通だしな。

 俺の異世界主人公(召喚予定なし)にしたところで、誰かに説明したくはない力だ。

 ⋯⋯。

 でも、知りたいな。

 こうなったら、パーティメンバーとして、知る必要があるということを盾に迫ってみるか。

 能力開示はしていた方がいいだろうしな。


 それとも、少し前に作った貸しをこの形で返してもらうか。

 正直さっきのぶんで帳消しにしてもいいんだけど、向こうも言ってこないし、それで行こうか。


 サトラが手を離さないので仕方なくそのままりんさんに話しかける。


「リンさん。リンさんの職業の能力ってなんなの?なんかさっきおかしかったような気がしたけど。」


『それならあなたの能力も教えるのが筋では?』


「ここで貸しを返してもらうってことで。」


『でも、さっき私は命を救いましたよ。それでチャラだと思います。それに軍事機密ですから。』


 レンさんはあんまりこだわりなく教えてくれたんだけどな⋯⋯。


「じゃあ、俺の能力も教えるから。」


『それはぜひ知りたいですね。あの頃は一見ひ弱だったあなたが、いつの間にかトライヘキサと比肩する力をつけている理由がわかるということですね?』


 思っていた以上に食いついた。


 それと、レンさんは俺の能力を秘密にしてくれていたようだ。

 リンさんにも伝わっていないのなら、誰にも話していないのだろう。


 ありがたい。


『まず、私の能力を話してあげましょう。私の職業「反英雄」は、ある一つの力を一定の範囲において下げることができます。攻撃力でも、体力でも、防御力でも。先ほど減らしたのは、重力ですね。』


 思っていた以上に能動的だった。

 レンさんの力が受動的というか、パッシブなものだったのに対して、こちらは意識しないと使えないみたいだ。


 しかし、それを差し引いても面白い力だ。


 力と名のつくものなら下げられる。

 重力はわかりやすく強力だし、危ないときに、双方の攻撃力を下げるのは確実に有効だろう。固い相手に防御力を下げて、諸刃の剣狙いってのも、悪くはない。

 下げることしかできないというのはマイナスだが、使い所さえわきまえていれば、役に立つ場面は多そうだ。


『あんまり考えないでください。それで、あなたの力は、どういうものなのですか?』


「「異世界主人公(召喚予定なし)」。ヒロインと認識する相手と一緒に異世界にいるとき、レベルが二倍扱いになる力だ。」


『⋯⋯? ちょっとよくわからなかったのでもう一度言ってもらってもいいですか?』


「何度も言わせるな恥ずかしいぞ。だから、一定の条件下で、レベルが二倍になるの。」


『異世界。異界。なるほど。あの時、それまでの一般人同様の力から、私たちに迫る力を発揮したのは、力を隠していたわけではなく、「異世界主人公(召喚予定なし)」の能力だったわけですか。』


 そう。最初にリンさんと会った時、もとい襲われた時、彼女は異界化を使った。

 それは、最大レベルが、リンさんと同じになるという異世界。そこで俺の条件が満たされ、戦闘力を爆上げすることができた。

 サトラのレベルが下がったのはあの時が最初で最後だから、サトラが一番危なかったのはあの時と言っても過言では⋯⋯。

 流石に夜に吠えるもの戦が一番危なかったか。


「そういうこと。」


『なら、日本政府のエージェントではないと?』


「違うね。ただの一般人だね。」


『なんで一般人がうちの上層部に圧力をかけられるのか甚だ疑問です。』


「それは俺が知りたいよ。」


 ほんと何者なんだよ愛さんは。

 上層部に圧力をかけていたの?交渉の結果とかそういうわけでもなく?

 うーん怖い。


『とりあえず、有意義でした。ありがとうございます。これで貸し借りなしですね。』


「あ、はい。」


 なんか勢いで貸し借りを無しにされたぞ。命を救われたのは確かだからこっちも強くは言えないけどさあ。


 まあ、いいか。

 貸し借りの関係は不健全だ。

 それなしで付き合えるものなら付き合いたい。


 俺はそう思う。



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