第百二十九話 ステータス更新
レンさんとナルデは森から何事もなく戻ってきた。
ホッとする。
二人のステは上がっているのかな。
経験値はパーティ単位で入るという話を聞くから、多分上がって入るんだろうな。どんな感じだろう。
名前 ナルデ
Lv365
職業「情報屋」
技能「変装」「銃撃」「借視」「探求」
称号「知恵の女神の加護」「全てを知ろうと足掻くもの」「追憶者」
名前 レン ワールド
Lv 314
職業「英雄」
技能「限界突破」「鼓舞」「カリスマ」「炎魔法」「鑑識眼」「精神力」
称号「女神の加護を受けしもの」「世界を導くもの」「ダンジョン踏破者」「神殺し」
二人とも上がってるけど、Lv50ちょいみたいだ。戦いでどれだけの働きをしたのかということが反映されているんだろう。
俺は活躍したんだから、Lv100上がっていても、まあ許されるよね?
あとレンさんに「精神力」が追加されている。
一度邪神と対峙して乗り越えたら手に入るんだろうか。多分そうなんだろう。
ナルデはアテナ様が入ってたからそうはならなかったみたいだ。過保護も良し悪しである。
いや、アテナ様が来てなかったら、終わってたので滅多なことは言えないけれど。
『あっ、直方、回復したんだ。良かった。』
『負担をかけたね、少年。もう少し私が戦力になれば良かったんだが⋯⋯。』
「ナルデがあの情報を教えてくれなかったら負けてたから、卑下することはないよ。」
『でもアテナ様だからな⋯⋯。クロノスを倒した後は出てこないと言われていたのにお力に頼ってしまった。』
神が前言を撤回してまで出張ってくる相手だったんだよな⋯⋯。
改めてよく勝てた。
このレベルアップも当然と言えるだろう。
アメリカ軍での仕事が終わったらしいリンさんも合流したので彼女のレベルも確認してみる。
リン=ワールド
Lv 273
職業「反英雄」
技能「限界突破」「潜伏」「近接戦闘」「風魔法」「異界化」「血族召喚」「精神力」
称号「女神(異)の加護を受けしもの」「暗殺者」
リンさんは80くらい上がっているけど、これは元のレベルが低かったからなんじゃないかな⋯⋯。レンさんと同じくらいのレベルに戻ってきている。「精神力」も獲得したようだ。ナルデだけ仲間はずれである。
まあ、彼女はいざとなったらアテナ様に変わるんだろうし、大丈夫だろう。
そして、大量レベルアップ。寄生かそうじゃないかと言えば間違いなく寄生に入るんだろうけど、俺も長年サトラに寄生させてもらった身の上だから、とやかく言えない。居合わせたんだから仕方ないね。
発狂しなかっただけでも価値があると言ってもいいだろう。
『目が覚めたのですね。お疲れ様です。』
リンさんは一礼した。
一番最初の話も聞かずに襲いかかってきた狂犬っぷりはなんだったんだと言いたくなるほどに礼儀正しい。
『とりあえず、褒賞を用意させました。そちらの国で換金はできないでしょうから、ポーションという形になりますが、よろしいですか?』
ポーションは一本で100万なんて値段もザラにつく。
確かにもうドルの両替なんて途絶えて久しいからな⋯⋯。
「それで頼みます。」
『はい。それではこちらを。上級ポーションも含めた総額100万ドルの報酬です。受け取ってください。』
リンさんの合図で後ろのトラックの扉が開いた。
トラック満載にポーションが積まれているけど、これ全部もらっていいの?
というか100万ドルって1億円くらいするよね。
「大丈夫なんです⋯⋯?」
『心配はありません。わが国はダンジョンができてからさらに潤っていますから。』
アメリカはもともと、自分の国でほとんどのものを生産することができた。貿易縮小による影響はあっただろうが、間違いなく日本よりは小さい。それに加えてダンジョンの恵みまで受け取れるという。
うーん勝ち組。
日本まで来る飛行機もほとんどアメリカのものだしな⋯⋯。
愛さんは例外。
そういうことなら遠慮なくもらおう。
まあ、サトラに全て収納してもらうんですけどね。
「ナルデとレンさんは⋯⋯?」
『私は、一本だけもらうよ。そのくらいがちょうどいい。』
『私は二本かな?』
『姉さんは別のがありますから我慢してください。』
「なんだよもう。冗談だってば。」
ぷくりと顔を膨らませて、不満をあらわにするレンさんと、ちょっとワタワタし始めるリンさん。
本当に良い関係だなと思う。
『これで用事は終わりだね。じゃあ、うちに行こう!』
レンさんは腕を突き上げる。
とても楽しそうだ。
レンさんはいつも明るいから、救われるな⋯⋯。
「レンさんとリンさんの実家ってどのあたりなんですか?」
『西海岸だよ。カリフォルニア!』
西国無双は働くな。やったぜ。
しかし遠いな⋯⋯。アメリカ大陸横断ってめちゃくちゃ距離あるでしょ。
まあ、みんなで行けば問題ないか。
『もちろんリンもくるよ!』
『なんで勝手に決めるのよ姉さん⋯⋯。』
『リンだって、たまには休みを取ったほうがいいよ。』
『⋯⋯わかったわ。』
しぶしぶと言った調子で言っていたけど彼女の口元は確かにほころんでいた。




