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Lv666の褐色美少女を愛でたい  作者: 石化
第三章 ギリシャ

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第百十話 サトラの出自

『直接見たわけじゃないから、あくまで憶測よ。』


 アテナは予防線を張る。


「その頃、カヤノヒメ様達と戦ってましたもんねあなた方。」


『愛、いじるのはやめなさい。』


 愛さんは微笑んで受け流した。

 強者かな?


『話を戻すわ。』


『その子の力は異常よ。尋常の方法で手に入るようなものじゃない。』


 俺は頷く。Lv666。クロノスは弱体化していたとはいえ、神にも届くレベルだ。


『だから、私は、こう結論づけるわ。』


 アテナは、ここで、言葉を切った。

 これ以上言うのをためらっているようなそぶりだ。


 それでも。


「⋯⋯ 。続きをお願いします。」


 促した。

 どんなことでも、受け止めてみせる。


『いいのね。』


 アテナは息を吸い込んだ。


『彼女の強さは、そのためにミクロネシア全域の人を犠牲にしたからよ。彼らを生贄に、強くなった。いいえ、強化されたと言うのが正確でしょうね。』


 息が止まった。


『彼女も元々はそこで暮らしていた。楽しく、ね。でも、親兄弟に、友達、今まで関わった人々。その全員が殺されて、それがよりにもよって自分の強さに変換された。正気を失うのが当然だし、思い出したくないに決まっている。』


 知恵の神の言葉は、推論に過ぎないとわかっていたが、そのあまりに生々しさと説得力が俺の心臓を掴んで離さない。


「誰が、それをやったんだ⋯⋯。」


 かろうじて絞り出したのはその言葉。


『あの辺りの神性の中で、別格の力を持っているものがいるわ。馴染みのない神性だから、動きなんて読めたもんじゃない。なんで、そんなことをしたかったのか。⋯⋯ 勘でいいなら答えるわ。』


「それでもいい。」


 そんなことをした理由を。

 そんな意味のわからないことをするに至ったわけを。


微睡まどろみたかった。』



「へ?」


『まだ眠っていたかった。だから全てを任せられる存在を作った。私はそう考えるわ。』


 ちょっと意味がわからない。

 ⋯⋯ 神なんだったらそういうこともあり得るのか?

 それでもあまりにも身勝手すぎるだろ。


 サトラ⋯⋯。


 彼女の方に目を向ける。


 レンさんが気を遣ったらしく、アテナの声が聞こえないあたりで二人でおしゃべりしている。

 ほとんど無表情だけど、少しにこりとしようとしているのがわかる。


 ありがとうレンさん。

 サトラにこの話を聞かせるのは、絶対にまずかった。

 気遣いのできる女は頼りになる。


 こちらが見ていることに気づいて小さく手を振って笑うレンさんに俺も手を振り返した。



『それで、どうするんだい?』


 あ。ナルデに戻ったな。


「どうするって。⋯⋯問題を解決する方法があるんですか?」


『その神性と直接交渉するか、打ち滅ぼすかすればいけるはずだよ?』


「いやめちゃくちゃ強いんでしょ?」


 だって一瞬でミクロネシアの島々の人々の命を奪い去った神だぞ。

 名前と実績の両方がその恐ろしいまでの強さを暗示している。


 なんならサトラよりも強いのは確定しているからな。

 彼女を作った存在が、彼女よりも弱いなんてことはないだろう。


 絶望的では?


『交渉すれば⋯⋯ 、と言いたいところだけど、話が通じるかも不明というよりないね。』


「やっぱりダメじゃないですか。」


『でも、可能性はゼロじゃない。』


「確かに。」


『まあ、ゆっくり考えればいいさ。私もできることがあれば協力するから。』


 ナルデは、俺の頭を撫でた。


 小さい体を感じさせない包容力だ。


「ありがとうございます。」


 彼女は人類の中ではレンさんを超える実力者だ。

 杉一派と愛さんを除いた場合、一番頼りになると言っても過言ではない。


 彼女が協力してくれるというのなら心強い。


「あの子たちと連絡が取れないので、私はアテネへ向かいます。皆さんはどうします?」


 愛さんは関係者がギリシャの中に囚われているって言ってたな。

 あの子達っていうのは、そういうことだろう。


『アテネはいい街だぞ。私が案内するから来ないかね?』


 ナルデの誘いに、俺は頷いた。


 とりあえず一旦休息をとるのにアテネに行くのは悪くない。


 それに。


「俺たちも探しますよ。」


 愛さんに言った。


 彼女の事情が主だったとはいえ、今回のダンジョンで俺は大幅にレベルアップすることができた。


 サトラの隣で戦えるようになるという目標に近づいた。


 それでなくとも、米軍との調停をやってくれた彼女にはお世話になっていると言ってもいい。


「人手は多い方がいいでしょう。」


「⋯⋯ ありがとうございます。」


 愛さんは少し驚いたような表情を見せたが、すぐに深々と頭を下げた。


 うん。話は決まったな。アテナに行こう。


 話に合流したレンさんとサトラも賛成した。



 愛さんの仲間か、どんな人たちなんだろうか。



 楽しみだ。


 一つあれなのは、これで東に行ったら、西国無双がリセットされそうってことだな⋯⋯ 。

 俺がクロノスに肉薄できていたの、日本中国ギリシャと西国無双ポイントが溜まっていたからである可能性は非常に高い。

 いや、北へ向かう扱いならセーフでしょう。


 アテネの位置はほぼ北だと信じよう。





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[一言] ミクロネシアに、アザ様居るのか!SAN値チェックに耐性効くのか?
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