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Lv666の褐色美少女を愛でたい  作者: 石化
第三章 ギリシャ

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第百一話 情報の整理

あけましておめでとうございます

 

「何はともあれ、クロノスの居場所はわかりました。クレタ島の、ここです。」


 愛さんは地図を広げ、地中海の島の一つ指差した。


『ああ。私が掴んだ情報とも一致する。奇妙なほどに誰も帰ってこなくて寂れたダンジョンがあるという話だった。』



 クレタ島。地中海南部に浮かぶ8336㎢の巨大な島だ。


 ギリシャ中心部から離れていたため、時間停止の異変の影響がなかったギリシャの最後の希望だ。


 もともとクレタ地方の首都だったイラクリオンには、ギリシャ臨時政府が置かれ、外交に内政にてんてこ舞いだというニュースを見たことがある。


 そこに、時間停止の元凶であるクロノスが存在しているという。


「神相手に勝算はあるんですか?」


 とりあえず、聞かなくてはいけないのはそこだろう。

 勝てないのならば元も子もない。

 話が大きくなり過ぎている。


「クロノスは一度、主人様と、私の仲間三人と、日本の神様の一柱で倒したと聞いています。そのあと表に出てこないのは弱体化しているからだと考えています。」


 倒したっていうのはさっきも聞いたな。一人神様がいたとはいえ、それについていけるだけの実力はあったってことだよな。



「おそらく警戒されるので、同じ人員で掛かるのは悪手のはずです。」


 まあ、一旦倒された相手がダンジョンに入ってきたら焦るよなあ。


 愛さんの仲間も愛さんと同じレベルがあったとしても、サトラよりは弱いだろうし、仕方ないかな。


「基本的にこのメンバーでかかります。また、クロノスは時間を強制的に停止させる空間を擬似的に作ることで、擬似的な刃物を作るため、注意するようにということです。」


『補足をしよう。その時間操作能力には、ある杖が必要だ。おそらく弱体化のためだろう。聞いた限りでは、前は何も所持していなかったらしいからな。』


 ちょっと頭がパンクしそうなのでもう少し整理して頂けませんかね?


 時間を操るっていうのが額面通りなら勝てる気がしないんだけど。


 ナルデ情報の杖とかいう奴を壊せばなんとかなると信じたいところだ。



「そうですね。とりあえずここにいる五人で威力偵察をした後、人員が必要そうならば、増援を呼ぶという形にしようと考えています。サトラさんもいますし。」


 愛さんはサトラに信頼のこもった眼差しを向けた。


 うん。わかる。でも、もう少し俺とレンさんにもその信頼を向けてくれてもいいんじゃないかな。


 仕方ないとわかっているけど、ちょっと辛い気持ちになる。


 そういえば、レンさんはついていけてるんだろうか。

 レンさん、面白そうだからって付いてきただけだし、もしかしたら、気後れしているかもしれない。

 それも仕方がないだろう。


 俺だっていきなり神と戦えと言われて、混乱しているし。


「レンさん、大丈夫?」


『何が? とってもワクワクするよね。』


 だめだこの人戦闘狂だった。


 とっても楽しそうに笑っている。

 いやその表情はとっても綺麗だけどさ⋯⋯ 。


 ひょっとしてビビっているのって俺だけか?


 なんだかとってもかっこ悪いことをしている気がしてきた。


『そういえば、サトラの過去について、クロノスなら何か知っているかもしれない。』


 ナルデが、ふと思いついたように言った。


 ちょっと待て。それは聞き捨てならないぞ。


「ほんとか?!」


『近い近い。勢いがすごいよ少年。』


「おっと悪い。」


 ついやってしまった。


『とりあえず、クロノスが何か知っているかもしれないというのは本当だ。ギリシャ神話体系は、全員合わせて全知全能だからね。不本意だが、あいつが欠けていては、わからない事象もある。』


 多神教だからそういうこともあるんだろう。本来全知全能の神がやっていることを、様々な神様が、別れて司っている。

 自分が日本出身だからかもしれないけど、そういう神話観は好感が持てる。


 というかつまり、サトラの話そうとしなかった過去がわかるのか?

 話そうとしなかったというより、思い出そうとすると、苦しい思いをさせてしまうから、思い出させないようにしていたというのが正確だな。


 でも、他人の口からなら、もしかしたら、思い出す痛みを感じることなんてないのかもしれない。


 自分のエゴに過ぎないけれど、サトラのことなら、なんだって知っていたい。

 そう思う。


 なら、やるべきことは一つだ。


 クロノスをぶっ飛ばして、サトラの過去を吐かせる。



「よし、早く行こう。」


『仁、大丈夫なの?』


「ああ。やる気たっぷりだ。」


『ほうほう少年なかなかえらいなあ。お姉さんがヨシヨシしてやろう。』


 ナルデが俺の前でぴょんぴょん飛び始めたので、察して屈んだ。

 頭を優しく撫でられる。ちっちゃい掌だ。⋯⋯⋯ 安らぐな。




『仁がやるなら、私も頑張る。』


 サトラも手を握って、やる気十分だ。



「脱落者はいないようで、安心しました。もちろん、成功した暁には報酬を用意しています。」


 愛さんの言葉でさらにテンションが上がった。


 やっぱり正当な評価ってのも欲しいよね。というか正しくは現金。もちろん、貴重な武器とかでも大歓迎。



「それでは、船を用意させています。行きましょう。」


「イスタンブールから飛行機で行けばよかったのでは?」


「用意しようとしていましたよ。無理だったのはあなたたちのせいですからね。」


「⋯⋯ すみませんでした。」



 ちょっと目立ったのがここまで響くなんて。


 まあ、船旅も面白そうだからいいか。


 ⋯⋯ ところで、海って、モンスターがたくさん出るんじゃなかったっけ?


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