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第101話 大学生VS高校生(体だけ) Ⅱ

「四条達の事情は分かりました。それで、俺達を呼んだ理由は何なんですか?」


 完全に固まってしまった由姫をかばうように、俺は前に出た。


「あぁ。こいつらから毎月金を回収していたんだけど、そろそろ限界らしくてな。代わりのカモになりそうな奴を聞いたんだよ。そしたら、学校に優等生の社長令嬢がいるってな」


 なるほど、由姫を次のカモにするために呼んだのか。


「だ、だけど、それは脅迫するネタがあってこそでしょ! 私、やましい事なんて何もしてない……」


「そうみてぇだな。こいつらにしばらく監視して貰ったけど、弱みになりそうなものは何も見つけられなかった。だから……」


 レイジは胸ポケットから一枚の写真を取り出し、それを由姫に渡した。


「な、なにこれ……」


 その写真を見て、由姫は狼狽えた。


「最近の画像加工技術ってすげぇよな」


 そこに映っていたのは、煙草を吸う俺と由姫の写真だった。


 それがいつ撮られたものか、すぐに分かった。


 一昨日、帰る前に自販機に寄った時のものだ。飲み物が煙草に加工されている。


 そういや、四条達は写真部だったな……。

 あの日、俺が聞いたシャッター音は、この写真を撮った時のものだったのか。


「当たり前だが、それを破いても無駄だぞ。加工した写真のデータは俺のPCの中だからな。もし誰かにチクってみろ。これを学校内にばらまいてやる」


「ば、馬鹿言わないで、こんな写真、すぐ加工だってバレるわよ!」


「ま、きちんと調査をすれば、バレるだろうな。だが、それまでの間、学校中……下手したら学外までお前の非行の噂は流れるだろうさ。ただの生徒ならともかく、模範生である生徒会役員の不祥事だからなぁ」


「っ……」


 なるほど、痛いところを突いてきやがる。


 もし、この写真がばら撒かれれば、アイツらの言う通り、由姫は非難されるだろう。真面目で潔癖な彼女のスキャンダルとなれば、なおさらだ。


 そして、誤解が解けたとしても、不良グループと関係性があったという事実は残り続ける。


 進路には影響が無くとも、来年の生徒会選挙には確実に影響が出る。


 黙り込んだ俺達の様子を見て、レイジは由姫の肩をぽんと叩くと


「来月から、毎月五万持ってこい。金持ちなんだろ?」


「っ………………」


 そして、今度は俺の方を見ると


「お前は……コイツの彼氏か? なら、三万だ。彼女を守りたいんならな」


 と言った。


「鈴原くん……有栖川さん……。本当にごめん……」


 四条達は体を小さくして、ひたすら謝罪の言葉を述べ続ける。

 レイジはそんな彼らをちらりと見ると


「綱田、四条、吉江。お前らは来月からは二万だ」


「え。ちょ、ちょっと待ってください! 代わりを連れてきたら、僕たちは解放してくれる約束じゃ……」


「今までは三万だったんだ。一万減らしてやるだけでも感謝しろ」


「そ、そんな……」


「そうだな……。他にもカモを連れてきてくれるなら、更に減額してやるぜ? 他にも金持ちの奴がいるだろ」


「っ………………………………」


 レイジは呆然とする四条達の背中を軽く蹴ると


「ほら。わかったらさっさと帰れ。最初の期限は二週間だ。遅れたらどうなるか、言わなくても分かるな」


 と低い声で脅すように言った。


「変な事は考えるなよ? 誰かにチクったら、お前らだけじゃねぇ。家族や友人もただじゃ済まさねぇからな」

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