彼女の初めての出会い1
お立ち寄り下さりありがとうございます。今回、切るところがなく、非常に短くなっています。申し訳ございません。
「僕は、シャーリーと初めて出会った日を覚えているんだ」
目元を緩ませ、しかし頬を染めて横を向きながら、彼は言う。
まるで、私は覚えていないだろうと言わんばかりに。
――そんなことはあり得ないのに
それは、私が久々の休みで学園から家に戻ってきていた時のことだった。
実家の空気を味わい、のんびりと羽を伸ばしていると、父と兄が興奮冷めやらぬ風情で帰宅した。二人とも頬は紅潮し、目は爛々と輝いている。
「くぅぅぅ、なぜ、剣技大会に年齢制限があるのだ!」
歳をとった人を出して、怪我をさせたら問題だからでしょう。
「かぁぁぁぁぁ、どうして近衛が参加できるのは入ってから3年以内なのだ!!」
大会は新人発掘の意味があるからでしょう。
勿論、声には出さず心の中で答えながら、雄たけびを上げる二人をみた。
二人はまだ悶え続け、ついには親子で庭に出て手合わせを始めた。
よほど強い相手、ここまで父と兄が手合わせを望む程の強い相手が大会に出たようだ。
――そこまでの剣の使い手が参加した大会なら、私も観に行きたかった。
そんな思いを抱かせた剣の使い手が、成人前の彼だったのだ。
フォンド公爵の遠縁で剣の立つ少年、国一番とも噂される剣の使い手のハルベリー侯爵のお気に入り――そのように評された彼の剣は強いだけでなく、見るものに溜息を吐かせるほど美しい動きだったそうだ。
父と兄の表現は確かだった。確かに今でも私はたまに彼の動きに見惚れることがある。
――そう、だから私は貴方の存在を、貴方と出会う前から知っていた。
貴方にいつか出会い、そして手合わせしてもらいたいと願っていた。
お読み下さりありがとうございました。いつもは11時投稿としていますが、今回、非常に短かったため別の時間に投稿しました。次からは11時投稿の予定です。たまに投稿を失敗いたしますので、「予定」と付け加えなくてはいけないところが、お恥ずかしい限りです。




