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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
アーリシア大英雄への

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第48話 アーリシアの戦争への足音

新章、読んでいただきありがとうございます。

ゆっくりと楽しんでいってください。

あらすじです。


子供ができて順風な日々のディオスに、とある使者が

その者達は、ディオスに助けを求めて駆け付け。

そして、王宮に呼ばれる。

そこに、待ち受けていた話は…

 ディオスは、楽しげな日々を屋敷で送っていた。

 自分の子供を宿した妻達と一緒にトレーニングをして、午後になって魔導石を作って、夜、三人が眠れる大きなベッドに、クレティアとクリシュナが座って、ディオスは二人のお腹に額を当てる。

 お腹にいる子供のシンギラリティの反応が揺らぐ。それは、ディオスに反応しているようだった。

 まだ、小さな内から、ディオスを呼んでいる赤ん坊達に、

 くーーーー かわいいなぁ…

 ディオスはデレデレだ。

 

 それをクレティアとクリシュナは見て、呆れる。

 絶対に親バカになると…心配になる。


 赤ん坊が出来てから、毎日が楽しかった。

 日々、お腹の中で成長する赤ん坊達、ゆっくりとシンギラリティの反応も強くなる。

 それは、順調な成長を示しているのをディオスは分かり

 ああ…早く、会いたいなぁ…でも、でも…ちゃんと育って欲しいなぁ…。

 悶えている夫ディオスに、クレティアとクリシュナは「はぁ…」と溜息を漏らすも、その顔は少し嬉しそうだ。


 そうして二ヶ月が経った。その日、シューティア教の総本山がある。

 レタリア共和王国、の中央部にあるトーマ教皇府では、法王が、シューティア教暗部であるサルダレスからの報告を聞いて、絶望する。

「そんな…ヴァシロウスが倒され、これからアーリシアが平和になる筈だったのに…」


 報告したサルダレスの者は、震えている。

「法王様…。これは一大事です。なりふりを構っている場合ではありません」


「では、どうする? 何か方法でもあるのか?」


「もう一度…ヴァシロウスを倒した英雄の力を…」





 ディオスは、屋敷の地下研究室で、魔導石を作っていた。

 三つ同時に作れるようになった装置を調整した後、懐から懐中時計を取り出して、時間を確認する。

「三時か…」

 頼まれていた火の魔導石の割り当てである六つを作り終えているので、他の研究をしようか…。その準備をしている。

 エレベータが降りてきた。


「旦那様…」

 レベッカだった。


「ああ…レベッカさん。どうしたんですか?」


「お客様が…ユリシーグという司祭の方と、アイナという修道女の二人が…」


「はぁ?」

 ディオスは驚きの顔を見せる。

 ええ…二人がここに?



 ディオスは上がって、ユリシーグとアイナのいる客間へ行く。

「ああ…待たせたね」


 ソファーにいたユリシーグは立ち上がり

「ディオス!」

 ユリシーグはディオスの肩をつかみ、絶望した顔を向け

「助けてくれ…」


「はぁ?」とディオスは驚いて唸った。



 ディオスは二人からとんでもない事を聞いた。

「え…フランドイルが…戦争を始める?」


 ユリシーグは肯き


 アイナが

「ディオスさん。本当の事です。我々のサルダレスのネットワークの情報で、フランドイルがヴァシロウスに使われていた最新の兵器達を大量に回収して購入し、軍備を揃えている事が分かったんです」


 ディオスは口を手に当て

「そんな、バカな…」

 信じられずにいると、ドアがノックされる。


「旦那様…」とレベッカが入り「ソフィア様よりご連絡です。今すぐ、王宮に来るようにと…」


 アイナが

「ディオスさん。我々の関係する事です」



 ディオスはユリシーグとアイナを連れて王宮に来ると、直ぐに、王の執務室へ通された。

「失礼します」


 ディオスがドアを開けると、そこには、ソフィアとカメリア、ゼリティア、ナトゥムラ、スーギィ、マフィーリアの6人がいた。


 ソフィアは、ディオスの後ろにいるユリシーグとアイナを見て

「悪いけど…関係者以外」


 アイナが出て

「私達は、教会の秘匿組織サルダレスの者です。フランドイルについて…ディオス様のご協力を仰ぎに来ました」


 ソフィアとゼリティアは視線を交わした後、ゼリティアが

「分かった。汝達も来るとよい…」


 ディオスはユリシーグとアイナと共に、執務室へ入る。


 その空気は重かった。


 ゼリティアが、持っていた資料を、ソフィアが座る執務デスクに置く。

「やられた…。オルディナイトが総力を結集させて、ヴァシロウス専用に作った魔導操車専用飛行ユニットが、フランドイルへ流れている」


 カメリアは眼鏡を上げ

「バルストランの諜報機関アルペジャでも、同様の調査結果が多数来ております」


 ディオスが

「いいや、ちょっと待て…もしかして、兵器の更新だったんじゃ」


 ゼリティアがディオスを恐ろしい顔で見つめ

「去年に大多数の魔導操車の更新を終えておるのに?」


 スーギィが

「オレに繋がりがあるフランドイルの僧爵達からも、フランドイルが密かに武装を強化していると…」


 ディオスは頭を振って

「それだけで、戦争になるのか?」


 マフィーリアが

「バルストランの西にある隣国、フランドリル王国の知り合いから聞いた話だと…、フランドイル王国から賛同を求められたそうだ…」


 ソフィアは頭を抱え

「確か…フランドイルとフランドリルは…フランドリルの国債を多くフランドイルは保有しているわよね…」


 マフィーリアはサングラスの眉間を寄せ

「フランドイルに総本部を置いているヴァルハラ財団の影響が強い所でもある」


 ディオスは頭の中で恐ろしい算段が組み立て上がり始める。

「じゃあ…フランドイルとフランドリルが…合同軍を作ったら…」


 そこへ、ユリシーグが

「我々、サルダレスが掴んでいる情報では…、フランドイル軍が主導の合同軍は…バルストランの南にあるガリシャマイト連合王国へ攻めるそうだ…」


 ナトゥムラが

「バルストランの北から西へ南まで包囲されて、バルストランはアーリシアから切り離される」


 マフィーリアが

「前門にはフランドイルという虎、後門にはリーレシアがあるも…ロマリア帝国の龍がいる」


 ディオスは親指の爪を噛んで

「何のために、そんな包囲網をするんだ?」


 全員が鋭い視線をディオスに向ける。

 ナトゥムラがディオスを指さし

「お前の為にだよ」


 ディオスは、自分で自分を指さし

「え…オレの所為で…」


 ユリシーグが「ははははは…」と諦めに似た残酷な笑いをして

「なんて事だ。ヴィルヘルムは…お前を手に入れる為に、このバルストランを包囲するんだよ」


 ディオスは顔を引き攣らせ

「はぁ? 何を言っているんだ…オレはタダの一介の平民の魔導士だぞ!」


 その言葉に誰しもが首を横に振った。


 ゼリティアが鋭く告げる。

「ディオス…お主は、ヴァシロウスを圧倒した。あのアーリシアを四度も破滅させた大災厄を退けたのだぞ。誰しもお主がタダの魔導士なぞと思っておらん。お前は、一国を破滅させる程の大魔導士だと、アーリシアの誰しもが思っているぞ」


 ディオスは青ざめて顔を引き攣らせた。


 カメリアが

「ソフィア陛下…先手を打って出ますか?」

 それは、先んじてフランドイルを攻めて、抑えるという事だ。


 ソフィアがフッと皮肉に笑い

「やってみなさいよ。攻められたと大義を得たヴィルヘルムは、他の援助をしている国々を巻き込んで、バルストランに攻め入るわ」

 全ての歯車が最悪な方向へ回り出した。


 ディオスは何としても回避する方法を考える。

 

 ロマリアに協力を仰ぐか?

 いやダメだ。アーリシア全体がバルストランにアーリシアを混乱させる疑い有りとして攻められる。

 

 じゃあ、半分に分かれてるアーリシアの、バルストランに繋がる国々と協力して…。

 いや、そうなれば、アーリシアを分断する大戦争が勃発する。


 ふざけんなよーーーーーーー 

 たった一人を、オレを手に入れる為に、国を巻き込むのかよ!

 ディオスは怒りで頭のネジが切れそうになる。


 そう、もうディオスはタダの魔導士では、通らないレベルまで来てしまった。

 ディオスは一国を破滅させる兵器、いわば、絶大な力を持ったこの魔法世界で、もっとも機動力と使い勝手がある、最強の戦略兵器の大魔導士になったのだ。

 奇しくもヴァシロウスという大災厄を倒した事によって証明されたのだ。


 ディオスの脳裏に過ぎったのは、クレティアとクリシュナにそして、産まれてくる子供達だ。妻達と子供達の為にも戦争だけは回避しなければならない。

 そして、一番の方法が…

「陛下…ヴィルヘルムは、自分が目的なんでしょう。だったら」

 自分が犠牲になればいい。


 ソフィアは鋭くディオスを見て

「迂闊よ、アンタを手に入れたヴィルヘルムが次にする事はなんだと思う?」


 ゼリティアが、ハッキリと告げる。

「お主を手にした瞬間、ヴィルヘルムはアーリシア制覇を始めるじゃろう」


 ディオスは顔を怒りで歪め

「クソッタレ――――――――」

 叫んだディオスに、誰しも思っている言葉だった。


 はははははははははーーーーーーーーーー

 ヴィルヘルムの勝ち誇る哄笑が聞こえてくる。


 ゼリティアが「打開策が…見当たらん」と呟く。

 その言葉に誰しもが、沈黙という同意で答えた。


 アイナが

「おそらく、我々の情報では、あと一週間後に全てが整うそうです」


 もう…時間がない。迫るアーリシアの戦争のカウントダウン。


 ディオスは必死で考える。

 どうする? どうすれば…? は…。

「陛下…フランドイル軍は、フランドリル軍と合同での軍を形成して、ガリシャマイト連合王国へ攻めるのでしょう?」


 ソフィアはカメリアとゼリティアを見る。二人は、頷く。その通りだと…。


 そうでなければ、バルストランの包囲網は完成しない。


 ディオスの目が鋭くなる。

 まるで、殺気の篭もる魔物のような顔つきで

「その合同軍が、何らかの天災で…潰れれば…どうなります」


 ゼリティアは驚愕する顔を向け

「お主…何をするつもりだ…」


 ディオスは笑う、それは全員を畏怖させる王者…魔導の王、魔王の笑いだ。

「フランドイル軍と、フランドリル軍の、合同部隊を…天災の魔法で壊滅させる」

 

 絶対に守る。オレの子供達の未来を…。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

次話もあります。よろしくお願いします。

ありがとうございました。


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