鉄拳の女王 第8話 それでも!
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ヒイロは最悪な事を覚悟で動いた。
ヒイロが口上を叫ぶ
「おととい来やがれ! ブタ野郎! このヒイロ・グレンテルが! お前のような悪漢を何度でも叩き潰してやる!」
ゾルディウスが怒りを向けて
「キサマ!!!!!!!!!!」
ヒイロが「帰れ!」と叫び、ゾルディウスの前の床にエネルギーの拳撃をぶつける。
強烈な爆風と衝撃にゾルディウスが転がる。
「ギヤアアアアアアアアあああ」
ゾルディウスは無様な叫びを上げて転がり続けて、そこを金と黒の髪の男が支えてキャッチする。
「大丈夫ですか? ゾルディウス様」
ゾルディウスが金と黒の髪の男に
「おおお! ハルガ! 助かったぞ!」
ヒイロが一歩前に出る。
「ひぃ!」とブタのように怯えるゾルディウス。
金と黒の髪の男、ハルガはフッと笑み次に
「ゾルディウス様、ここは一端…」
ゾルディウスが何度も肯き
「て、撤退だ!」
と、ハルガはゾルディウスを立たせて守るフリをしながらその場から去った。
あまりの現状にリーサが驚き、リューオン王子とその王達は驚きで固まっていた。
リーサがヒイロに駆けつけて
「ヒイロ! なぜ、こんな事を!」
と、ヒイロの両腕を掴む。
ヒイロがリーサの頬に触れて優しい慈愛の笑みで
「リーサ、いいの。ツラかったでしょう」
それを聞いて、リーサの緊張の糸が切れて涙して
「でも、でも、これをしなければ…民が…国が」
ヒイロが黙っている王家達を睨み
「お前達は、情けない!」
王家達は困惑を向けて、リューオン王子が鋭い顔だ。
ヒイロは声を張る。
「自分達が助かりたいから、リーサを犠牲にして、それでも王と名乗れるのか! これを…初代のスカーレット女王が知ったら、情けない!と罵倒したはずよ」
リューオン王子が
「貴女は部外者だから言えるのだ。聖帝ディオスの娘よ」
王達がリューオン王子に視線を集中させる。
ヒイロは胸を張り
「そうね。でも、もう…部外者じゃあないわ!」
と、固く握った拳を掲げて
「私は、この責任を取る! ゾルディウスと戦うわ!」
リューオン王子が頭を振り
「勝手にしてくれ。ゾルディウスは対ハイパーグレート、超越存在の力を奪う兵器や、奪った力を自身の兵器へ転用する技術と、それを支える圧倒的な物量を持っている。勝てるはずがない」
ヒイロが声を張る。
「それでも! それでも! 戦うわ! 無駄死と言われるかもしれない。でも、正しさを捨てた生き方なんて、奪うだけの獣と同じよ!」
ヒイロは誇り高い、だが…現実は無情だ。
力なき者には、淘汰、滅亡しか待っていない。
◇◇◇◇◇
ソルディウスは、自らの艦隊と共に撤退して、時空艦隊の旗艦で
「クソ! クソ! あの小娘! 許せない! 絶対に生まれた事を後悔させてやる!」
隣にいるハルガが
「ゾルディウス様、どうなさいますか?」
ゾルディウスが怒声を張って
「艦隊を! アメリス惑星連合国家へ向けろ! ワシに恥を掻かせた罰を味合わせてやる!」
ハルガが淡々と
「しかし、ゾルディウス様を殴った。女はアメリス惑星連合国家の者ではありません」
ゾルディウスがハルガを見て
「では、誰の…」
ハルガが冷静に
「聖帝ディオスの娘にございます」
ゾルディウスが青ざめて
「今、何と…聖帝ディオスの…」
ハルガは肯き
「はい、その聖帝ディオスの娘でございます」
「え?」とゾルディウスは青ざめる。
聖帝ディオスの話は、ゾルディウスの耳に届いている。
単騎で時空を滅ぼす程の力を持つ聖帝ディオス、そんな聖帝ディオスには、太古から続く黄金創世民に総長と、機神人類の始祖に始祖の子、その他の多くの名の知れた超越存在達が連合を組む組織のトップとしても君臨しているのを知っている。
ディオス自身は、君臨というより面倒事を解決する担当にされているので、迷惑だが。
話を戻すに、その聖帝ディオスの長子は、多くの力ある超越存在を育成する者で、次々と力を持つ超越存在達との繋がりを構築している。
もし、聖帝ディオスが本気になれば、ゾルディウスという小物なぞ、半日で終わる。
ゾルディウスがハルガに
「まさか…リーサ女王の連中は…聖帝ディオスと手を…」
ハルガは首を横に振り
「いいえ、そうではないようです。今回の事は小旅行中に起こした稚拙な暴走…という所でしょう」
ゾルディウスが青ざめて
「もし、手を出して…」
ハルガは淡々と
「それはバレていないようです。もみ消すなら、早い方が…」
ゾルディウスが座っている場所の肘置きを叩き
「よし、直ぐに連絡しろ! ワシを殴った小娘を引き渡すなら今回の事を不問するとな!」
ハルガは
「だったら、ちょうど良いモノの実験に使いましょう」
ゾルディウスが
「なんだ? 新たな兵器か?」
ハルガは
「こちらです」
ハルガは、ゾルディウスを連れて旗艦の下部格納庫に置かれた構造物の前に案内する。
旗艦は三千メートルもある巨大な時空間で、下部の格納庫は、二百メートルの宇宙戦艦が数隻も入る程に巨大だ。
その巨大格納庫に置かれた宇宙戦艦サイズのミサイル。
その前にハルガは、ゾルディウスを連れてきて
「珍しいモノを手に入れました」
ゾルディウスがハルガに
「珍しいモノ?」
ハルガは淡々と
「五百年前、カレイド時空連邦を治めていた覇遵が作り出した九つの超座は、ご存じで?」
ゾルディウスは肯き
「ああ…耳が痛いほどに歴史で習ったわ」
ハルガは、宇宙戦艦サイズのミサイルに触れて
「その超座の一つ、スカーレット時空の初代スカーレット女王が持っていた超座、閃輝丞王の超座を入手しました。それを…時空爆弾として活用したのが、コレです」
ゾルディウスが
「おおおお! 超座を使った時空爆弾! それは凄い! 失われた最強の力の復活か!」
ハルガは肯き
「はい。そして、何より…この時空爆弾は、何度でも再利用が可能なのです」
ゾルディウスが両手を叩き合わせて
「なるほど! これに、あの小娘を使って実験するのだな!」
ハルガは
「これは、初代スカーレット女王の超座を使ったモノ、それに適合する者はいないでしょう。万が一、億が一、いや…それ以上に不可能でしょう」
ゾルディウスが嘲笑を浮かべて
「よろしい! これで、あの小娘を地獄に送ってやるわ! そして、ワシに逆らえば…どうなるか! 思い知らせてやるわい!」
大笑いするゾルディウスにお辞儀してハルガは去って行くと、そこへ青年が…ラハンが近づき
「よろしいのですか? 覇遵様」
と、小さく告げる。
ハルガである覇遵は、フンと鼻で笑い小言で
「野心に取り憑かれたバカほど、扱いやすいモノはない」
全てはハルガである覇遵が思い描いた通りに動いている。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
アナタに幸せが訪れますように…
次回、鉄拳




