幽玄の王 第100話 覇遵の復活
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覇遵の復活が始まる。
覇遵の復活が始まる。
アムザクは両手から世界を再創造する力を伸ばしながら
「ここに九つの超座は、そろった」
レイとぶつかるミカボシ、スクナ、アテルイとハジュンの四人が光る。
次に、レイとシロッコにジンの三人が光る。
そして、ウルとダイアードの二人が光る。
ディオスが
「まさか…彼が、ダイアードが超座の…」
千華が
「へぇ…欲まみれの万夫の一人が…ね…」
ウルが
「ユノの超座だよ。ユノが亡き後、それを…彼に与えたのさ」
千華がウルに
「アンタ、一番…欲まみれの凡人を嫌いだったヤツの力を、欲まみれの凡人に譲渡するなんて、その性格の悪さは…変わってない」
ウルが笑み
「望んだから与えたまで、それによる結果までは保証はしない。いや、そこからは自己責任さ」
九つの超座が共鳴する。
九つの光の波が広がり、それが聖櫃とシロッコとジンを繋げる聖なる三位一体を周回する。
アムザクが仮面の瞳を細くさせて
「さて、生まれる卵の殻を破るのは、子の力だよ」
レイが
「シロ兄、ジン兄!!!!!!!!!!」
と、四人を無視して二人へ向かう。
シロッコとジンの二人は微笑みながら光へ昇華される。
シロッコが
「なぁ…オレ達の事なんて忘れて、幸せになれ…カケル…いや、レイ…」
ジンが
「そうだぞ。オレ達が、この世界の怨念達を請け負うから。光を歩め」
聖櫃から強烈な光が伸びる。
それは、漆黒の鳥の結晶を歪めて聖櫃へ呑み込む。
漆黒の鳥の結晶の内部にあった七色の世界がコーレル時空へ広がる。
翼を広げるように七色の世界が、コーレル時空へ広がり、コーレル時空が変貌する。
それは、立体だったモノを別次元から力を加えて平らにするようだった。
それにディオスは憶えがある。
「極天顕現」
宇宙の全てを作り替える力、極天顕現。
それが始まった。
その極天顕現によって、コーレル時空に隠された呪いが出現した。
それは漆黒の霧の塊、幾つもの絶望した魂達が積層した超級呪神であり、罪喰いの大神…サタンヴァルデットになる寸前の存在だった。
聖櫃から手が伸びる。
それが、超級呪神であるサタンヴァルデットになる寸前のそれを握る。
そして、聖櫃の下でシロッコとジンが光となり新たな人型を構築する。
その光の人型が聖櫃に入る。
レイ達九人の中にあった超座が、聖櫃へ向かい吸収される。
聖櫃から莫大なエネルギーが噴出して、戦いの場が乱される。
「うあああああああ! シロ兄、ジン兄!」
と、レイが叫び台座に転がる。
そして、レイは発動しようとした…全ての神格達を繋げた力を放とうとする。
「テュミールシェアラー! いけぇぇぇぇぇぇ!」
と、光の道標を託した光の槍を投擲しようと、だが…
「おっと、それは…ダメだよ」
とアムザクが来て、レイの胸部に衝撃を与える。
「うぐ!」
と、レイの王鎧ギアを貫通してレイに届いた。
それは、絶望の怒りの闇だった。
莫大な人達の悲しみと怒りの絶望がレイの中に流れると、それにレイが呑み込まれそうになった。
それを防ぐ為に、テュミールシェアラーをレイへ向けたグルファクシ
「大丈夫か!」
それによって、レイは助かった。
レイは怯えて
「これは…こんな、こんな…だって、こんな事、有り得ない。だって」
自分が想像も出来ない絶望の数々をレイは見てしまった。
怯えるレイの目の前にアムザクが仮面の瞳を笑みで細め
「その有り得ない、存在するはずが無い、こんな不幸なんてあるはずが無い…そういう無知無能が…この世界に絶望を広げる。不幸に有り得ないは存在しない、幸福に有り得ないは存在する」
アムザクが嘲笑うように
「お前は、本当に幸せな人間だったんだなぁ…。幸せな人間が一人いるだけで、その百倍の人間が不幸なんだよ。それが真理」
アムザクは、復活に使われる絶望した魂達の念を僅かだが、レイに送って怯ませた。
ディオスが来てアムザクへ攻撃するも、それをアムザクが避ける。
ディオスが
「しっかりしろ! キミは、何の為にここに来た!」
レイはハッとして
「そうだ。ボクは二人を、シロ兄とジン兄を」
その二人は…もう…
聖櫃に亀裂が入り砕けて爆発すると、その爆発が中心に向かって戻り、再構築を始める。
再構築を始めたそこから身を引き裂かれる程のエネルギーの波動が全員に襲撃する。
その場に全員が踏み止まるので精一杯だ。
強烈で鮮烈なエネルギーを放ちながら、それは再創造される。
人の形を取り、それは存在として再び、再誕する。
仏の袈裟を纏い、額に輝く第三眼を持ち、髪は黄金と黒が混じる双極、身体は痩せ型ではない、ガッチリとした筋肉質で巨木のようだ。
それは台座に着地する。
「ふぅ…」
と、息を吐いただけで、世界の空気が重くなった。
それはレイ達を捉える。
鋭い眼光、全てを正道で解くような威厳に満ちて、まるで…戦う仏、明王、天のような威厳を放っている。
それは口にする
「天上天下唯我独尊、我は我、お前はお前。だが、世界は、神…天部も人も、畜生も、餓鬼も、修羅も、地獄も同じ、衆生皆同なり」
千華が懐かしいやら色んな感情の顔で
「覇遵…」
覇遵が千華を見て微笑み
「お前は、相変わらず、我に囚われるとは…愚かなり」
と、告げた瞬間、消えた。
「え?」と全体が思った瞬間、ディオスとティリオが同じ場所にいた。
「え?」とディオスとティリオが困惑する。
お互いに違う場所にいたはずなのに、二人の間には、覇遵がいた。
覇遵が二人の腕を掴み
「暫し、話がしたいので…座って貰いたい」
三メートルの多腕の創世神機デウスマギウス、単騎で宇宙を再創造する力がある装甲が、操縦者ごと、床に叩き付けられた。
ディオスとティリオは全身に叩き付けられた衝撃を味わう。
覇遵は次に、レイの元へ来る。
それは瞬間移動だ。
一瞬で目の前に現れた覇遵にレイは、驚愕する。
覇遵が笑み
「なるほど…成功だった訳か…なぁ…カケル。今は…レイだったか…」
覇遵の後ろにウルとダイアードが来て、ウルが跪き、ダイアードも続く。
ウルが
「お目覚め、おめでとうございます。覇遵様」
ここまで読んで頂きありがとうございます。
アナタに幸せが訪れますように…
次回 裏切りの弾丸




