幽玄の王 第96話 古き王の城
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誘拐されたレイとルリが来た場所は…
レイは、ルリと共に砂浜にいた。
「ここは?」とレイは周囲を見渡す。
記憶を探る。家があるマンションに来て、マキナ部隊に…そして、あの四人に…
ルリがレイの背中に触れて
「あそこに建物があります」
と、砂浜の向こうにある建物を示す。
それは、少し古びていて城のようだった。
レイがそれを見つめて
「どこか…分かるかも」
と、告げた後ろに
「あれは…二百年前のコーレル時空の王の城だ」
と、教えたのは誘拐した一人のハジュンだ。
レイとルリは驚き、レイはルリを守るように背に入れる。
ルリは少しハッとする。
ルリはXX級のソルジャーで強い。だから…レイの行動が驚きで…ちょっと、嬉しかった。
レイは、ルリを守るように背にしてハジュンを睨む。
ハジュンは平然と
「しばしの間、ここにいて貰うぞ。まあ、逃げたければ…」
と、城を見る。
「あそこに行けば、手がかりがあるかもな」
と、告げると自ら生じた空間転移に消えた。
レイは息を抜き、ルリに
「あの…大丈夫ですか?」
ルリが
「ああ…いえ、その…」
レイは首を傾げながら
「どこか…傷を…」
ルリが微笑み
「大丈夫です」
レイは、再び周囲を見渡して
「さて、どうしたモノか…」
と、端末を取り出してネットワーク、超空間ネットワークに繋げようとしてもエラーとなる。
「だよね…」
現地が何処か…と調べられない。
「言われた通りにあそこを」
と、レイは古城を見つめていると、空から小型の宇宙戦艦が降りて来る。
戦闘機型の宇宙戦艦がレイとルリの前に着地すると、前面のハッチが開いて
「よう!」と千華と紫苑が出て来た。
複座の席で、前面で操縦していた紫苑が
「本当に送られたデータ通りにいた」
レイが疑問の顔で
「あの…どうして…ここに?」
千華がレイに近づき
「一端、帰ろうとしたけど…トンデモナイ事になってね。帰れなくなったのよ」
紫苑も近づき
「今、コーレル時空が大変な事になっています」
レイとルリは視線を交わして驚きを向ける。
千華が
「説明してあげるわ」
と、端末の映像を見せる。
そこには、あの百億光年サイズの漆黒の鳥の結晶が映っている。
レイとルリは、千華からの説明を聞いて青ざめた。
ルリが驚愕で
「そんな不可能です。宇宙全体に広がる超空間ネットワークの掌握なんて」
千華がフッと笑み
「それが出来ちゃうヤツ等なんだよね…」
レイが
「じゃあ、遠方へ移動する為の超空間ネットワークを使った空間転移は?」
紫苑が
「全く使えません。なので、私達の戦闘宇宙艦バトロイドの超光速航行でここまで来ました」
千華が
「変な連絡っていうか…ミカボシが通信に入り混んで、ここに向かえば面白いモノを見られるぞってね」
レイが自分を指さして
「面白いモノってボク達の事ですか…」
千華が
「なんか…ヒント、貰ってない?」
レイとルリは視線を合わせて、レイが後ろにある古城を示して
「あそこに行けば…何か…分かるらしいです」
千華がニヤニヤと笑み
「覇遵らしいわ。相手に教えて…どう思うか…と」
紫苑が
「他にヒントは? この惑星…突然、現れたんです。多分、超空間ネットワークに封印されていたのを…解除して」
ルリが思い返して
「そういえば…二百年前の王の城と…」
千華が胸を張り
「よし! 行こうぜ!」
紫苑が
「罠かもしれませんよ」
千華が首を横に振り否定して
「いいや、違うね。アイツのハルガの性格から考えるに、教えて置きたいんだよ。カケルの…レイにさ」
と、レイを見つめる。
レイは難しい顔をして
「まあ、調べないと前に進めませんよね。お二人が乗ってきた宇宙艦で、ボク達を…」
紫苑が
「残念ですが。私達のバトロイドは、私達以外…乗れませんから」
千華が
「善は急げ、行くよ!」
ここまで読んで頂きありがとうございます。
アナタに幸せが訪れますように…
次回 王の記憶




