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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
全ての時

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幽玄の王 第88話 カレイドとの協力 その二

次話を読んでいただきありがとうございます。

カレイドの千華とレイは…


 レイが休憩で水分のパックを飲んでいると

「よう!」

と、明るく人懐っこい千華が近づいてきた。


 レイの人としての知覚では、明るい少女、妹のスイと同じくらいの娘にしか見えないが、人路皇王の知覚は、その内側にある膨大で強大な存在エリザスを示す。

 すごく、どう…判断すれば良いのか…複雑な顔をする。


 千華が笑顔で

「千華ちゃんでいいって、太古のババァの話なんて終わった過去なんだって!」


「んん…はぁ…」

と、レイは複雑な感じだ。


 千華の隣にいる紫苑が

「すいません。いきなり距離感を間違えてしまって、警戒するのも仕方ないと思います。ごめんなさい」

と、紫苑は謝る。


 その感じにレイは安心して

「いいえ、気にしないで…」

 人路皇王の超知覚が、紫苑がエリザスと覇遵の子供だと知らせる。

「ええ…キミは…」


 紫苑はレイの反応に首を傾げると、千華が

「やっぱ、バレるか…。そう、ハルガ…覇遵とエリザスだったアタシの遺伝子を受け継いだ子なのよ」

と、千華が紫苑の頬をつつく。


 レイは困惑を向ける。


 千華が溜息を漏らして

「ちょっと、話をしない? 少しでいいから」


 千華とレイは、一団から離れた場所で会話する。


 大きな岩をイスにして千華が

「歴史ってどこまで知ってる?」


 レイが視線を泳がせて

「カレイド連邦が崩壊して…そこから…」


 千華が

「覇遵が消えた理由は、聞いている?」


 レイは首を横に振り

「いいえ」


 千華は空を見上げて

「覇遵は、アイツは…新たなシステム、聖櫃を作る為に…自ら実験台になったわ。それで…消えた。もしかしたら…アタシを憎んでいたのかも知れないわ」


 レイが眉間を寄せて

「どうして…ですか?」


 千華が悲しい笑みで

「アンタを、人路皇王のカケルを殺したから」


 レイは複雑な顔をする。

 やはり、インドラ時空帝国のクロードとアルードに襲わせた事は…

「覇遵の帝国を守る為ですか?」


 千華がフッと笑み

「建前はね。でも、本音は違う。私がエリザスの時、分かっていたのよ。覇遵がハルガが…カケルに対して、特別な感情を持っていたのを…ね。だから…」


 レイが言い辛そうに

「嫉妬…ですか?」


 千華が「正解」とレイを指さして

「アタシはね。エリザスの時もそうだったけど、ハルガの事を愛して…いや、大好きなんだと思う。今のアタシは…エリザスだった時にやれなかった事をやる為に復活したようなもんなのよ」


 レイが

「また、カレイド連邦のような…」


 千華が「違う」と答えて

「アタシは、ハルガのお母さんになるのよ」


 レイが驚きの顔で

「お母さん?」


 千華が

「アタシは、エリザスの本音はね。覇遵の…ハルガの母親、連れ添いに、伴侶になりかたったのよ。要するにお嫁さんってヤツかな…」


 益々、レイは不可解という顔で

「じゃあ、なんでカレイド連邦の時に女王なんて…やったんですか?」


 千華が皮肉な笑みで

「そうする事が、ハルガの伴侶である証だと勝手に勘違いしていたからよ」


 レイが残念な顔で

「勘違いで、強大な時空連邦の女王って…」


 千華が笑みで

「まあ、女王様も楽しかったわよ。でも、でも、やっぱり…ハルガの隣に…ハルガの帰って来る隣に、お母さんに、お嫁さんに成りたかった。だから、今回は…そうするつもり」


 レイが悲しい顔で

「でも、もう…覇遵さんは、いないのでは?」


 千華が真っ直ぐと見つめて

「アイツの、ハルガの魂は、聖櫃にあるわ。生物として死しても、存在や、次元、法則、エネルギーとして、聖櫃に存在している。それは、聖帝の子息ティリオから聞いて知ったわ。だから、今度こそ、今度こそ、アイツを…ハルガを人に戻して…アタシがやりたい事をする」


 レイが溜息を漏らして

「その話をする…という事は、協力を?」


 千華がレイを指さして

「正解! アタシに協力して欲しい。報酬は用意するわ」


 レイが腕を組み

「どこまで、協力できるかは…難しいですよ」


 千華が

「それでも、アンタは、間違いなく人路皇王のカケルの生まれ変わり。覇遵が絶対に…接触してくると思うわ」


 レイが難しい顔で

「その根拠は?」


 千華が

「もし、覇遵が復活を望むなら、絶対にアンタと接触するはず。アンタは覇遵の影なのよ」


 レイが自分を指さして

「自分が、あの覇遵の影? ですか?」


 千華が

「アンタの真逆が覇遵なの。人でありながら、人間性もなく人を保っているのが覇遵なら、アンタは人間性を保って人である真っ当な人間、だから、覇遵は…アンタを…人路皇王のカケルを後継に指名しようとしていた。自分がやった光の逆の光だから」


 レイが困惑して

「本当に? 信じられません」


 千華が

「信じられなくても、そういう事実であるのは間違いないから。アンタが人路皇王として覚醒した。それを覇遵は感じたい、見届けたいと思う。自分とは違うから、自分ではないから、覇遵は…自分と違う者に強く惹かれるから。復活を望むくらいね」


 レイが首を傾げて

「まあ、はぁ…」

 何とも言えない。


 千華が

「大丈夫よ。時が来たら、アタシ達が勝手にやるから、心配しないでよ。大丈夫、大丈夫よ」

と、千華が励ましなんだから分からないエールを送る。


 レイは溜息を再び漏らして

「分かりました。その時が来たら来たで、協力し合いましょう」


 千華がイスの岩から立ち、手を伸ばして

「じゃあ、約束」

と、握手を向ける。


 レイも手を伸ばして千華の手を握り

「ええ…約束で」


 千華がレイの後ろへ

「だって、協力してくれるって!」


「え?」とレイは後ろを向くとディオスが顔を見せた。

「でぃ、ディオスさん?」


 ディオスが近づき

「まあ、交渉が難航したら…出ようと思っていたが…」


 レイがディオスに

「ディオスさんも関係するんですか?」


 ディオスが難しい顔で

「時空間に影響を与える大きな動きだし、それに…キミも会っただろうけど、あの四人、ミカボシ、スクナ、アテルイ、ハジュンの四人は、我々が追跡している重要人物だ。それが関係しているだろうし」 


 レイが

「ディオスさんが協力してくれるなら…信頼してOKしたのに…」


 千華が

「おう、アタシは信用度がないんかい!」


 レイが微妙な顔で

「今、会ったばかりだし」


 千華がレイを指さして

「前世からの知り合いだぞ!」


 レイがフンと鼻息を荒くして

「それは、自分が産まれる前の事なので、無意味です」


 千華が

「言うねぇ…前世ん時は言いなりだったのに…」


 レイが

「前世と自分は、全くの無関係なので…」


 千華が「ハァ!」と声を荒げる。


 そのやり取りにディオスが笑ってしまう。

 ともあれ、レイと千華の協力は約束された。


 

ここまで読んで頂きありがとうございます。

アナタに幸せが訪れますように…

次回、許し

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