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マシューと《七つの秘宝》  作者: ブラック・ペッパー
第3章 その兜は勇気をもたらす
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第13話 大人の力を借りて

 読んでくださりありがとうございます。情報を集めるなら行く場所はひとつ。書庫ですね。


――

書庫

――


 エルヴィスの提案で4人は書庫へ訪れていた。目的はもちろん修羅の国の情報を集めることである。だがそれを調べるためにどんな本を読めば良いか、マシューは中々当たりがつけられずにいた。


「ところでエルヴィスは調べる文献に当てはあるのか?」


「うーん、……そうだな。騎士団の活動記録とか他国との抗争の歴史を調べるとそれなりに情報が手に入るんじゃないかな? 帝国内の情報ならかなり詳しく分かるはずだけど、修羅の国は他国になるからね」


 やはりエルヴィスは書庫で情報を手に入れる方法をよく知っているようだ。既にある程度の目星はつけているらしい。そしてレイモンドもまたある程度の当たりをつけていたようだ。ニヤリと笑って口を開いた。


「なるほどな。それじゃあエルヴィスとエレナはその方法で文献を探してくれ。俺たちはまた違う方法で文献を探すことにするよ」


「ん? 何か別の方法があるのか?」


「もちろん。使えるものは何でも使わないとな」


 レイモンドは自信満々にそう答えた。その返答でマシューはレイモンドの考えた別の方法を理解したのだ。それは思い出したと表現する方が近いのかもしれない。


「……それじゃあ合流する場所を決めようか。集まるなら閲覧室が良いんだが、場所は分かるかい?」


「閲覧室って言うとエルヴィスがいた場所か?」


「あぁ、その場所だよ。それじゃあ何本か探せたから閲覧室で合流しよう」


 こうして4人はそれぞれ2人組に分かれたのである。エルヴィスたちは修羅の国についての文献を探し、マシューたちは文献……ではなく、とある人物を探していた。


「……おや、マシューくんに息子じゃないか」


 眼鏡をかけて白衣に身を包んだ人物がマシューとレイモンドに気付いて振り返った。そう、2人が探していた人物とはエルヴィスの父親であるリチャードである。書庫を仕事場とする彼に聞けば修羅の国についての文献も簡単に探せるだろう。


だが、広い書庫で目当ての本を探すのが難しいように、特定の人物を探すことも難しいのだ。そういえば前回もこんな感じだったと膝に手をついて息を整えながらマシューは思い出していた。


「……文献を探すのも難しいけど、人探しも結構キツいぜ……」


「以前にも言ったが、広いのは当たり前だ。なにせ帝都の首都だからな。……さて、文献を探しているんだな。どんな文献か言ってみなさい」


「修羅の国に関する情報が書いてあるものだよ」


「修羅の国……か。危険な場所だが、それはもちろん知った上でさらに調べようとしているのだな。ならば僕はそれに協力するまでさ。……レイモンド、そこにあるカゴを取って来なさい」


「何個?」


「とりあえず1個で良い。足らなくなればまた取れば良いんだからな」


 そう言うとさっさとリチャードはどこかへ歩き始めた。やはり書庫で仕事をしているだけあって文献に心当たりがあるらしい。慌ててレイモンドはカゴを手に取るとマシューと一緒にリチャードの後を追ったのである。


 そしてリチャードはある本棚の前で足を止めた。その本棚には各地の地図やモンスターの図鑑などが置かれていた。なるほど修羅の国への情報を集めるとなればまずその辺りの情報からになるらしい。リチャードは慣れた手つきで本棚に脚立をかけて上の段へ上がると何冊か本を取り出して降りてきたのだ


「……修羅の国は獅子の国とも呼ばれ表の世界と裏の世界が混在する場所とされている。ちなみに聞くが、行き方については知っているのか?」


「一応ある程度は」


「……なるほど、それなら一応これも読んでおけ」


 そう言うとリチャードは再び脚立を上がり一冊の本を取ると降りて来たのだ。その手にある本には『上級補助魔法について』と表紙に記されていた。


「その本には上級補助魔法について現在分かっていることが書いてある。……上級魔法ともなると使い手が少なくなる分まだまだ分からないことが多い。だが、それは分からなくても良いと言う意味では無い。……恐らくお前の言うある程度の方法とやらは上級補助魔法を使うだろう。なら読んでおけ。損はしないはずだ」


「分かった。読んでみるよ」


「よし、それじゃあ別の本棚に行こうか」


 リチャードが満足そうに微笑んでいたためマシューはてっきりこれで終わりだと勘違いしていたのだ。だがリチャードはそう言って別の本棚へ向かって歩き始めた。急いでカゴの中に渡された本たちを入れ、リチャードの後を追ったのである。


 そして2個のカゴが満たされた頃ようやくリチャードは2人に終わりを告げた。カゴいっぱいに満たされた本の数々はそれらを手に持つ2人に確かな重みをもたらしていた。


「さて、僕が思う大体の本はそれで全部だ。実のところを言えばあと3冊ほど想定していたんだが、あいにく誰かが読んでいるみたいでな。……まあ、それだけあればほぼほぼ把握出来る。全部隅々まで目を通せとは言わないが、それなりに読み込んでおくと良い。きっと役に立つはずだ」


 そう言ってリチャードは再び仕事へと戻って行った。2人はリチャードに感謝するとともにカゴいっぱいに満たされた本を手に取ってエルヴィスたちの待つ閲覧室へ向かったのである。



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