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マシューと《七つの秘宝》  作者: ブラック・ペッパー
第2章 知恵の果実は近くもあり遠くもある
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第36話 その先は何も無い

 読んでくださりありがとうございます。正しい道はたった1つです。

 

「……どうやら選んだ道は外れのようだな」


「……そうだね」


 2人とも目に見えてテンションが下がっていた。2人はこうして出会うまで見落としが無いよう細心の注意を払って進んでいたのだ。つまりレイモンドが歩いて来た道はレイモンドが、エルヴィスが歩いて来た道はエルヴィスが、その道に何も無かったことを証明しているのだ。


「……この先どう進んだとしても黄金の林檎にたどり着く可能性は低いだろうね」


「一応続く道はあるんだ。……そこの可能性を潰さない内は諦める訳にはいかないな」


 レイモンドは左横に視線を向けた。まっすぐ進むことの出来る道がそこには広がっていた。ついさっき2人が出会った場所は3つの道が結集する場所である。言い換えればそこから3つに道が分かれているのであり、レイモンドもエルヴィスも通っていない道が残されているのだ。


 この道が黄金の林檎へたどり着く道である可能性は低い。この迷宮は最初に4つの分かれ道があった。その中で黄金の林檎にたどり着く道はたった1つに違いない。まさか4つとも正解の道であることは無いはずである。ならば合流した時点で既に正しい道の可能性は無いに等しいのだ。


 だが、だからと言って進まない訳にもいかない。現在進行形で他の2人が頑張ってくれている以上は勝手に諦める訳にはいかないのだ。レイモンドは1つ息を吐いてその道を進もうと一歩踏み出そうとした。だがそれを遮るようにエルヴィスが声をかけて来たのだ。


「……ちょっと待ってくれ」


「……? 何を待つんだ? 今マシューとエレナが黄金の林檎を手に入れるために頑張っているんだろう? なら俺たちはせめて少しでも可能性を潰しておくべきなんじゃないか?」


「落ち着け。……君の言うことは確かにその通りだがもしかするとその道に可能性はもう既に無いかもしれないんだよ。だからその道に進むのはもう少し待つべきだよ」


 レイモンドはエルヴィスの言っている意味が全く分からなかった。例えどれほど可能性が低いとしても可能性が残されているならば進む価値があるはずだとレイモンドは考えていたのだ。しかしエルヴィスはなぜかそこに価値を見出さなかった。理解出来ないもどかしさからか少しレイモンドは感情が高ぶっていた。


「待って何があるって言うんだ! ……あんたが先へ進まなくても俺は先へ行かせてもらおう!」


 少しばかり感情を荒げながらレイモンドはまだ進んでいない道へ一歩踏み出した。


 そのたった一歩だけの歩みでレイモンドはエルヴィスの言っている意味を理解したのだ。なるほど、この道が黄金の林檎に続く可能性よりもこちらの方が可能性がずっと高い。ため息をつきながらレイモンドは困惑の表情を浮かべたエレナを出迎えたのである。


「……これで全ての可能性は潰れた訳だな。確かにあんたの言う通りだったよ。声を荒くして申し訳ない」


「いや、あの場面で声を荒げるのも分かる。……僕の言い方が悪かったよ。申し訳無い」


 すっかり意気消沈してしまったレイモンドは先程の行動をエルヴィスに頭を下げた。エルヴィスはそのことを全く気にしてないようだ。そしてその上で自分に非があるのだとレイモンドに頭を下げたのである。


 当人たちからすれば理解出来る行動なのだが、来たばかりのエレナは全く理解出来ず困惑しきっている。そもそもエレナはなぜ2人がここにいるのかを理解していないのだ。2人が顔を上げたタイミングでエレナが口を開いた。


「……ええと、何があったの?」


「……ちょっとな」


「あぁ、取り立てて気にする必要は無い。些細なことだよ」


「ふぅん、……とりあえず解決はしたんだよね? なら気にする必要は無いか。聞いても多分分からないしね。それでええと、……つまりここは行き止まりってこと?」


「そう判断して良いと思う。全員進んで来た道に間違いが無いかの自信はあるだろう?」


「あるね」


「……一応」


「ならこの3人が進んだ道は全て正しくなかったってことだよ。黄金の林檎にたどり着くことなくこうして何も無い場所に結集しているんだからね」


「……なら可能性があるのはマシューだけってことか」


 レイモンドのその呟きにエルヴィスは頷きエレナは納得の表情を浮かべた。最初の分かれ道の中に1つ正しい道があるとすればそれは間違い無くマシューが選んだ道である。可能性が全て潰れた3人はマシューが黄金の林檎にたどり着くことを祈ることしか出来なかった。




 ……3人がマシューのことを祈り始めたちょうどその頃。マシューは目の前の光景に首を傾げていた。


「……これはつまり行き止まりってことか?」


 マシューの目の前の通路は周囲の壁同様天井まで届くほど高く灰色の壁で阻まれていた。その光景からこの先が行き止まりであると判断して何ら問題ないだろう。その上でマシューは首を傾げていたのであった。

 


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