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マシューと《七つの秘宝》  作者: ブラック・ペッパー
第1章 風吹き荒れる平原の中で
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第16話 馴染みの宿屋

 読んでくださりありがとうございます。ニコラの馴染みの宿屋ですからきっと良いところなんでしょうね。


 マシューは下を向きながら現在の手持ちのお金を思い返していた。金貨が5枚あるため宿屋の支払いには余裕がありそうだがこのお金は武器や防具などにも使うお金である。とは言え安心して眠れる保証を買うなら多少高くてもお金を出しても良いとも思える。


 これから説明される納品でどれだけのお金が手に入るか分からないが宿屋を夜遅くから探し始めることを考えるとニコラの馴染みの宿屋に行くと言うのが無難だろう。


 そう考えをまとめたマシューは顔を上げた。ニコラは先程同様穏やかに微笑んでおり、レイモンドは何が紙のようなものを熱心に見つめていた。覗きこむとどうやらギルドからどこかの建物へ向かうための地図のようだ。流れから考えるにそれは間違いなく宿屋までの地図である。


「おい、レイモンド。……君の持ってるそれはなんだい?」


「ん? ニコラの馴染みの宿屋への地図だけど?」


「当然みたいな顔で言うなよ。俺はどうしようか考えた上で決断したと言うのに!」


「どう考えても絶対地図を書いてもらった方が良いだろうがよ。それなら考えるだけ無駄だね。……ニコラの馴染みの宿屋だからきっと素敵な場所なんだろうな。すっごい楽しみだ」


 マシューはそれ以上抗議をするのをやめた。そもそも出した決断が同じなのだから考えたか考えてないかはどうだって良いことではあるのだ。マシューがそう自分に言い聞かせていたその時ようやく受付の女性が3人のもとへ戻って来た。


「お待たせいたしました。計算が終わりましたので今回の討伐報酬をお渡しします。まずニコラさんは金貨2枚と銀貨7枚になります。そしてマシューさんには銀貨を4枚になります。確認をお願いします」


 受付の女性はそう言うとマシューに銀貨を4枚差し出した。確かに手のひらの上には銀貨が4枚ある。お金を入れる収納袋はレイモンドが持っているためマシューは確認したそれをそのままレイモンドに手渡した。


 納品したものから考えると恐らくエイプウォリアーを1体討伐すれば銀貨4枚が手に入ると言うことだ。2人はエイプウォリアーの討伐にやや苦労していたのだ。エイプウォリアー1体では単純計算で2泊分しかお金が貰えないとなると宿屋へのお金を稼ぐのも難しい。マシューは銀貨を収納袋に丁寧に仕舞っているレイモンドを見ながらそう考えていた。


「冒険者ギルドでは納品された討伐の証をもとにこうして報酬をお支払いしております。あちらにボードがあるのが見えますか?」


 そう言って受付の女性は右手を奥へ差し出した。手の先に視線を送るとなるほど大きなボードが壁際に見えた。そこには大小様々の紙に書かれたモンスターの絵が所狭しと貼り出されていたのである。


「あのボードには現在冒険者ギルドに寄せられている依頼の対象モンスターが描かれた紙が貼られております。紙には対象のモンスター、主な分布、納品するモンスターの素材などが書かれていますのでそれに従って納品していただけましたらさらに報酬をお支払い出来ます」


「ただ、依頼が無くても納品は可能だ。その場合報酬は安くなるが、その分討伐の証はモンスターの一部なら何でも良いことになる。僕のおすすめは耳だな。比較的持ち運びやすくしやすい部位で収納袋をそこまで圧迫しないからね。自分たちの懐事情や収納袋の空きを考慮して上手くお金を稼ぐと良い」


 ニコラがさらに補足して説明を付け加えた。今回納品したエイプウォリアーは依頼の無い場合になるのだろう。依頼がある場合どれだけ報酬の額が上がるかは分からないがやってみる価値はあるだろう。


「また同じ討伐の証を納品される場合ですが、一度に受け付ける数を制限させていただきます。具体的に言えば5個を超える数の納品は制限の対象となります。ですので無闇に同じモンスターを討伐されるのはおやめ下さい」


 どうやら同じモンスターを何度も討伐するのを止めろということのようだ。報酬が豪華なモンスターを乱獲することで生態系に狂いが生まれるのを防ぐためなのだろう。


 一応収納袋に入れておけば日時をずらして納品というのも可能ではあるがそこまでして同じモンスターの討伐の証の納品にこだわるよりはモンスターを変えた方が遥かに効率的だろう。


「説明は以上になります。これまでの説明に質問等ございますか?」


「特に何も」


「俺も特には」


「それでは説明はこれで以上とさせていただきます。頑張ってくださいませ!」


 こうしてマシューとレイモンドは冒険者としての最初の一歩を踏み出したのであった。







 マシューとレイモンドが冒険者ギルドを出たちょうどその頃、神聖の騎士団の駐屯所では……。


「……副団長、お呼びですか」


「あぁ、ポールか。君にとある任務を任せたい」


「……と言いますと?」


「騎士では無く冒険者として、しばらくとある冒険者を追ってもらいたい。そのための冒険者登録ももう済ませてある。もちろん名前を変えてな。……どうだこの任務、受けるか?」


 机の上にはパウロとして登録されている真新しい青銅色のギルドカードと似顔絵が2枚置かれていた。それぞれの似顔絵の下には名前が書かれている。名前と顔が分かっているなら追うのは簡単だろう。


「……かしこまりました。その任務喜んで受けさせてもらいます」


「……良い報告が聞けるのを期待している」


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