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マシューと《七つの秘宝》  作者: ブラック・ペッパー
第6章 その正義は誰がために
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第5話 正しい選択

 読んでくださりありがとうございます。どうやらマシューたちは帝都に向かうようです。


 帝都へ行く。それは至極簡単なことのように聞こえるが、マシューたちにとっては危険な場所である。何しろ聖騎士たちがマシューたちを捕らえるために警備しているからである。


「……だが、普通の方法で君たちは帝都に行くことは出来ない。厳重な警備が敷かれているからね」


「あぁ、だけどポールなら普通じゃ無い方法も知っているんじゃないのか?」


「……帝都には正面からの入り口の他に騎士団が通るための勝手口が一カ所開けられている。恐らくだがその場所には警備の手が及んでいないだろう。少なくとも正面から帝都に入るよりは安全な方法のはずだ」


 ポールのその提案に4人は全員頷いた。どうやらこれで安全に帝都へ行くことが出来そうである。


「……ところで、君たちには帝都の中にどこか拠点に出来る場所はあるのか? 天空の竜笛はそう簡単には見つからないだろう。なるべく目立たない場所で全員が集まれる場所があると良いのだが……」


「それなら大丈夫。僕の住んでいた家なら拠点として充分な広さがある。帝都の中に入ったらそこへ向かえば良いさ」


 エルヴィスの言葉を聞きながらマシューはエルヴィスの家を思い出していた。確かにあの家ならば当面の拠点には問題無さそうである。問題があるとすれば広さではなく別の問題だろう。


「……君の家か。それはやめた方がいい」


「……え⁈ それは……どうして?」


「君の家と言うと、帝都の外れにあるあの家だろう? 騎士団ではあの家に君が住んでいることは知られた話。恐らくだが、マシューたちが帝都の中にいると分かれば恐らく真っ先に調べられる建物になるだろう。故にやめた方がいい。秘密の拠点としてあまりにも知られていすぎる」


 それを聞くエルヴィスの顔は徐々に渋いものになっていた。無理もない。いくらエルヴィスが追放された身であろうとも、自分が住んでいた家が聖騎士たちの間で知られた場所であると言われていい気分はしないだろう。


「……やめておくかい?」


「そうだね。……やめておこう」


「拠点。……拠点かぁ」


 活動拠点はマシューもエルヴィスの家が適格だと思っており他に何も考えていなかったのだ。すぐに浮かぶ場所だとマシューたちが宿泊していた緋熊亭があるが、これも恐らく知られた場所だろう。長く使う活動拠点としては残念ながら不適格である。


「誰か君たちを匿ってくれるような人は思い浮かばないか?」


「……残念ながら何人か浮かぶことは浮かぶんだが、警備の間を縫ってその人に会うことが難しいだろう」


 マシューの頭にはいくつか自分たちの味方である人物が浮かんでいた。だがどの人もいつも家にいるような人ではなく、下手に探すと警備に見つかる危険性が高まる。それ故に残念だが諦めた方が得策なのだ。


「……仕方ない。私の家に匿うことにしよう」


「ポールの家?」


「あぁ。まさか聖騎士に指名手配される人が聖騎士の家を拠点にしているとはすぐに考えないはずだ。少なくとも今出て来たどの案よりも適格だろう」


 確かに聖騎士であるポールの家を拠点にするのは中々思い浮かばないかもしれない。4人は顔を見合わせて納得するように頷いた。


「お願いします」


「よし、それなら拠点は私の家にするとしよう。拠点も決まったことだ。すぐに案内するとしよう。ついてきたまえ」


 そう言うとポールは威勢よく翻って中央に置かれていた魔水晶に触れ、そして姿を消した。どうやらこれは【転移ゲート】の魔水晶のようだ。4人もそれに続くため急いで魔水晶に駆け寄った。その様子をソフィアはじっと見つめ微笑んでいた。


「正しい選択は出来そうかの?」


「……それは分からない」


「ふむ、それで良い。……選択とはその時点で正しいかどうかなど判断出来ぬものじゃ。じゃからこそ人間は正しくあるために迷うのじゃよ。……お主の選択が正しいものであることを私はここで祈ることにしよう」


「……ありがとう」


 ソフィアはじっとマシューの方を見ながら優しく微笑んでいた。自分の行動が正しいのかは分からない。だが何となく正しい選択が出来た。ソフィアの表情を見てマシューはそう思えたのだ。


 そして4人は顔を見合わせてほぼ同時に【転移ゲート】の魔水晶に触れた。重圧を感じていたマシューはもういない。こうして彼はまた前に進んだのであった。






 4人が【転移ゲート】によって転移されたのは紅玉の祠である。ここから外へ出て騎士団が使う勝手口から帝都へ入るのだ。失敗すれば全員捕えられてしまう。慎重に事を運ばねばならない。転移して来た4人を出迎えたポールは真剣な表情で口を開いた。


「ここからはかなり慎重に動く必要がある。足音さえ気付かせたくはない。故にエルヴィス、【遮音インスレイト】の発動を頼めるかな?」


「分かった。……【遮音インスレイト】」


「……よし、これでかなり動きやすくなっただろう。目的の勝手口に行くためには帝都の正門近くまで行く必要がある。故に障害物に隠れながら慎重に進む。それをまず理解しておいてくれ」


「……了解」


「それでは帝都へ向かうとしよう。ついてきたまえ」



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