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マシューと《七つの秘宝》  作者: ブラック・ペッパー
第5章 希望を巡る謀略
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第31話 撤退大作戦

 読んでくださりありがとうございます。撤退の時です。上手く撤退出来るでしょうか。


「さ、時間はそれほど無いんだ。早くしないと朝の支給が終わってしまう。それまでに全員がゲートタウンへ撤退しておかないと。順番に撤退していくとして、どこへ集まろうか」


「一番最初に案内された部屋で良いんじゃないか? あそこなら仮に僕たちがいても怪しまれることは無いだろう」


「よし、それじゃああの場所を集合地点にしよう。……マシュー、それで良いよね?」


「……ん? あぁ、それで良いと思うよ」

 

「どうした? 何か気になる点があるのか?」


「……何か、何か見落としている。……そんな気がするんだ」


 マシューは不安げにそう言った。自分を不安にさせるものが何なのかマシューには分からなかった。だが何か重要なことを見落としている。そんな気がしてならないのだ。そんなマシューにレイモンドは優しく微笑みかけた。


「そいつは気のせいだよ。ゲートタウンまでは安全に撤退出来るし、タイミングさえ間違えなければそれ以降も安全に撤退出来るはずだ」


「……」


「さっきも言ったが時間はそれほど無いんだ。マシューは納得してないかもしれないが、この方法でとりあえず撤退し始めよう」


 レイモンドの言う通り時間がそれほど無いのは確かである。4人は朝の食料の支給に紛れる形で1人ずつ移動しようとしているのだ。支給の時間が終わってしまえば紛れることは出来ない。全員で一度に移動出来ないことがさらに残り時間を狭めているのだ。


「……分かった。ひとまずその方法でゲートタウンまで撤退しよう」


 ようやくマシューも納得したように頷いたのだ。これで撤退の作戦は定まったのである。短い話し合いの末に撤退の準備はエレナ、エルヴィス、マシュー、レイモンドの順となった。


「それじゃあ行ってきます」


 エレナはそう言ってゆっくりと広場を横切って行った。その足取りはスムーズであり、誰が見ても撤退しようとしているようには見えない。その後ろ姿が見えなくなったことを確認して今度はエルヴィスが拠点から出発した。こうして短い時間で2人が撤退し始めたのである。


「……このテント、放置しておいた方が良さそうだな」


「なるほど。……食料を貰えば普通この場所に帰ってくるものな。ここが綺麗に片付いていれば不自然か」


「……まあ、わざわざ汚す必要もない。放置で良いだろう。……そろそろ俺の順番かい?」


 広場の方を見やるともうエルヴィスの後ろ姿は見えなくなっていた。これならもう出発しても問題無さそうである。


「……それじゃあ、また後でな」


「おう。……後でな」


 マシューは後ろを振り返ることなく歩き始めた。歩き方は少しぎこちない。歩き方を忘れてしまったかのようだ。前を行く2人はどうしてあんなにも平常心が保てるのだろう。いや、自分は気にしすぎなのかもしれない。見てはいないがきっとレイモンドはいつも通り歩いているはずだ。


 1人ぎこちなく歩く自分の姿が滑稽に思えたのだろう。マシューは人知れず笑っていた。笑いながらぎこちなく歩くマシューの姿は少し目立っていた。


 とはいえマシューたちを注視するような人でも無い限りそれを怪しむことは無いはずである。……もっとも最初からマシューたちを怪しんでいたならば話は変わってくるのだが。


「……おい、ジェイル。あいつらどこかへ向かい始めたぜ?」


「この時間なら食料を貰いに行くだけじゃないか?」


「だとして、……全員動くことなんてあるか? それも4人バラバラのタイミングでよ」


「……なるほど、それなら怪しい動きだな。……私は少し報告に行ってくる。ジャックは引き続き監視を続けてくれ」


「了解。……絶対あの腰抜けには何かあると思ってたんだ。その尻尾掴んでやるぜ」


 そう言ってジャックは意地の悪い笑みを浮かべ再び望遠鏡を覗き込んだ。ぎこちなく歩くマシューの顔にピントがしっかりと合っていた。






 ぎこちなく歩くマシューだったが特にこれと言って何か起こる訳でもなくすんなりと食料が支給される建物へたどり着いたのである。支給を貰おうと並んでいる聖騎士を横目にマシューはこっそりと階段を上り集合地点へたどり着いた。静かに扉を開けると無音の空間がそこには広がっていた。


「……一応【遮音インスレイト】を発動させてある。この場所は本来無人のはずだからね」


「なるほど、それで妙に静かだったんだな」


「そう言うことだよ」


 そう言ってエルヴィスは収納袋から出した魔力回復薬マナポーションを一気に飲み干した。エルヴィスは気軽に【遮音インスレイト】を連発させている。当然魔力は少なからず消費されているのだ。安全に回復出来る時にしておかないと後で困る故に、今魔力回復薬マナポーションを飲む判断は正しいと言えるだろう。


 エルヴィスが飲み干した瓶を置いたタイミングでマシューの後ろの扉が開いた。もちろんそこにいるのはレイモンドである。少し不安になった撤退だがどうやらここまでは順調のようだ。


「……これで全員ここまでは無事に撤退出来たな。そんな皆に良い知らせと残念な知らせがある」


 レイモンドはそう言いながら後ろ手で扉の鍵をかけた。それが何故かは分からなかったがそれよりもマシューはレイモンドの言った言葉の方が気になったのである。残念な知らせとは何だろうか。


「……ん? 良い知らせと残念な知らせ?」


「あぁ。良い知らせは今現在ゲートタウンの門には誰も見張りの聖騎士がいない。……そして残念な知らせはその見張りの聖騎士は何故か総出で俺たちを探しているらしい」


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