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マシューと《七つの秘宝》  作者: ブラック・ペッパー
第5章 希望を巡る謀略
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第9話 思い違いは本意ではない

 読んでくださりありがとうございます。紅玉の森を進むようです。


 先導するパウロはどんどんと森を進んでいった。いったいこの人は案内する気があるのだろうかと思いながら4人はその後に続いて森を進んだのである。道を知っていなければ到底歩けないペースだが4人は問題なく歩いていた。もちろんそれは以前にその道を通ったことがあるからである。紅玉の森へ入った一行はあっという間に紅玉の祠までたどり着いた。


「……ふむ、思ったより早く着きそうだ」


 祠を前にしてようやく4人に振り返ってパウロはこう言ったのである。どうやらもっと歩くペースが遅いと思われていたようだ。


「ここまでだったら何の問題も無くついていけるさ。以前通った道と同じだったからな」


「……なるほど、そういうことか。今通った道は神聖の騎士団が新興都市へ向かうために使う秘密の道だ。整備こそされていないがその代わりにモンスターが出てこないよう仕掛けが施されている。故に、モンスターの気配を探ることなく安全に移動が可能なのだ。……恐らくその道を通ろうとしたのはそこにいる彼だろう? なにせ君たちの中で神聖の騎士団に近しい人物は彼だけだ」


「あぁ、その通りだ」


「……そうだろうね。ちなみにこの紅玉の祠からさらに進むと新興都市へたどり着くんだが……、君たちはその道のりも知っているのかい?」


 パウロのその質問に3人は首を横に振り、エルヴィスだけがひとり頷いた。その反応は予想通りだったのだろう。パウロは特にこれといった反応を示さなかった。


「やはりそうか。ならばペースは下げた方が良さそうだ。今までと同様モンスターは出てこないが、その代わり道はそこそこに険しい。うっかり足を踏み外さないようついて来てくれ」


「つまりパウロの後にぴったりつけば良いってことだな」


 言い終わってすぐに歩き出そうと前を向いたパウロにレイモンドがそう声をかけた。それはパウロの言った言葉に同調するものであり、他3人も同じことを考えていた。だが歩き始めたパウロはぴたりと足を止めて再び後ろを振り向いたのである。


「……? 何かあったのか?」


 レイモンドがそう尋ねたがパウロはそれに答えようとはせずに、なぜだか少し首を傾げていた。


「……もしや君たちは私の名前を知ったから聖騎士だと気付いた訳じゃないのか?」


「? 何の話だい?」


「ええと、……つまりだ。君たちは私を新米の冒険者ではなく聖騎士だと見抜いたのだろう? それは正しく私は確かに冒険者ではなく聖騎士なんだが、それに気付いたのは偽名に気付いたからじゃないのか?」


「……いや、違う。エルヴィスがパウロは冒険者ではなく聖騎士だと言ったからだよ」


「……それだけか?」


「……あぁ、それだけだ」


 マシューたちにはパウロがなぜそれを気にしているのかが分からなかった。そもそもパウロにパウロが聖騎士だと言った時隠そうともしていなかったはずである。だが目の前のパウロはなぜか自分が聖騎士であると見抜いた理由を尋ね首を傾げていたのだ。


「……なるほどどうやら多少の思い違いがあるようだ」


「思い違い?」


「あぁ。私が勘違いしていただけとも言う。要らない不信感を買うのは本意では無い故に私が知っていることをまず話すとしよう。そうすれば思い違いは生まれないはずだ。まず……そうだな。先程も少し言ったが、パウロは冒険者に紛れるために作った偽名なんだよ。私の本当の名前はポール。神聖の騎士団が騎士の1人ポールだ。改めてよろしく頼む」


 そう言ってパウロ改めポールは頭を下げた。レイモンドは困惑のあまりかなり険しい表情を浮かべマシューはポールを見ながらじっと考え込んでいた。なぜポールは偽名を使ったのだろう? そしてなぜポールはそれを今明かしたのだろう? 黙ってそれを考え始めたマシューだったがその答えはうまくまとまらなかった。


「…………ええと、思い違いをしないように今明かしてくれたんだよな? ならそれについて俺が質問しても答えてもらえる……で良いのか?」


「もちろん」


「……それじゃあまず率直に。なぜ偽名を?」


「上官の指示さ」


 宣言通り質問の答えは即答で返ってきた。だがその答えは答えになっていないのだ。上官の指示だと言うのであれば上官であるアンガスがなぜそれを言ったかまで答えてほしいのである。しかしそれを聞けば自分は知らないとの答えが返ってくるだろう。それが分かったマシューは遠慮なく渋い表情を浮かべた。


「……一応聞くが上官はなぜそれを?」


「それは詳しくは知らない。聞く必要が無かったからね」


 やはり答えは予想通りであった。答えを聞いたマシューはすぐにその表情をさらに渋くしたのである。だが予想に反してポールの答えはまだ続いていたのだ。


「……詳しくは聞かなかったが、アンガス様はその方が都合が良いのだと言っておられたな。それ以上は知らないが、君たちなら都合が良い理由が分かるんじゃないかい?」


「……都合が良い?」


 マシューは思わずそう呟いた。都合が良いとはつまりポールが聖騎士ではなく冒険者であった方がマシューたちにとって良いという意味だろう。冒険者であることでマシューたちに良い印象を与えることは特にない。だが聖騎士であることがマシューたちに悪い印象を与えることはあるのだ。……しかしその事情をアンガスは知らないはずである。


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