第十一話 生活保護の影響
そういえば話を挟み込む余地がなくてほったらかしだったが、生活保護も今回の入院では大きく影響していた。
なにかというと実は生活保護だと、一ヶ月以上入院すると保護費が減額されるのである。
その額なんと五万円以上。
普通なら八万円にちょっと届かない程度いただける毎月の保護費が、入院期間30日を超えると二万円あまりまで減らされてしまう。
やけにしつこくスマホに電話してくるケースワーカーの電話に出ると、始まったのは早速その話だった。
さすがに寝耳に水だったので驚いたが、Googleなどで検索してみると確かにそういう話題も出てくる。
勘弁してよーと思いはした。
実際それで破綻することだってあるくらいは強烈な減らし方なのである。
入院すればお金はかからないでしょと言われても、水道光熱費は黙っていても一定額請求されるし、入院費だって馬鹿にならない。
ありがたいことに確かに医療費自体は全額免除なのだが、意外と実費が多いのだ病院というところは。
実は自分が入院した病院は特にそういう病院だったらしく、実費負担がとても多かった。
まずメジャーなところでは病衣のレンタル費がちょっと信じられないくらい高い。
なんと一日で五百円超。
しかし責めることはできない。
何故ならここは病院ではなく老人ホームなのだから。
老人は下の具合も悪いし、病衣交換の頻度も高い。
善爺などはトイレに行く度に病衣を汚しているのである。
そりゃあ五百円でも元は取れない。
さらにこの病院ではタオル使い放題ということで一日に三百円が自動徴収された。
これも老人相手としてはまあ妥当……いやどうだろうという話だった。
結局一日九百円あまりは取られることになる。当然保険適用外の実費で。
それが三十日を超えるとなんと三万円近くなる。
二万ちょっとの給付では完全に足が出るのである。
自分は生活保護者が一番入院してはいけない病院に長期入院してしまったことになる。
自分はすぐ病衣を捨てて自前の服を着たので被害は少なかったが、それでも退院時一万数千円は請求された。
光熱費と合わせれば完全に赤字である。
なんとか先月の余剰分でまかなうしかない。
不服ではあるがそれをケースワーカー相手にごねたところで、制度を決めたのはもっと上の話なので押し切れるわけもない。
自分は割とあっさり了承したが、彼女はそれに対して「よかった」と安堵していた。
ここでごねまくる奴がいっぱいいるんだろうなということは容易に想像できた。
そりゃぎりぎりの生活していたらほんとに終わっちゃうしな。
自分の涙ぐましい努力も知ってほしいので、このことも話しておこうと思う。
結構スレスレの話かもしれないが。
この病院、病衣サービスは過剰だが、実は洗濯機が設置されていない。
つまり自前のパジャマを着たい場合、家族の協力が不可欠なのである。
では家族がいない自分はいかにしてこの難局を乗り切ったか。
答えは自分で洗濯したのである。
下着を洗った自分は、それを部屋で干して再利用していた。
というかそれしかなかった……。
くたびれた一張羅を着ている自分に看護師は「病衣借りたら?」と提案していたが、もしそれに乗っていたらえらい目にあうところだった。
ただでもらった保護費だからといって好き放題使っていたら、あっという間に干上がってしまう。
普段の節制こそ生き残る唯一の術なのだ。
贅沢は敵である。
いや、贅沢のしどころを考えるべきなのだが本当は。
ここは渋りどころだったというだけである。
そしてぎりぎりの線で自分はそれを乗り越えることに成功した、今回は。
この後自分は分不相応な買い物と仄かな贅沢をすることになるのだが、それはまた次の報告を待ちたい。
今回は二章構成だが、答え合わせがほとんど後半に集中していて申し訳ない。
後編もお楽しみに……。




