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桜風吹にいだかれて【第肆章;歪み、歪んだ道標 毎日22:30更新中】  作者: 雨後 穹・改
幕間

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56/68

Chronologia:桜風吹にいだかれて ─八つの祈りの前奏曲─

『桜風吹にいだかれて』ここまでの時系列(第1〜3章/現実順)


【前年〜202X年 春】


12/03〜01/05

相川桜(あいかわさくら)幼馴染(おさななじみ)水瀬風吹(みなせふぶき)が相川桜に難病を告白。

年明けに入院・転居。相川桜と別れの朝を迎える。(Fragment:相川 桜Ⅱ~Ⅲ)


02/14 深夜

白石彩花(しらいしあやか)が廃映画館で不良3名(滝口海斗(かいと)大河内翔真(おおこうちしょうま)、加藤蓮次(れんじ))に暴行される。(第1章)


03/08

相川桜の幼馴染、水瀬風吹が逝去。通夜・葬儀・火葬。(Fragment:相川 桜Ⅳ~Ⅴ)


04/14 未明

藤田直哉(ふじたなおや)、母を殺害。

直後に叶匣の祈る者(プレイヤー)に選定される。

異能(のろい):《認識阻害》を得る。(第2章)


(日付不明・春)

白石彩花、自傷ののち「叶匣(かなえばこ)」の声を聞き祈る者(プレイヤー)に選定され異能(のろい):《穴》を得る。

帰宅した実母に触れ、母が消失。(第1章)


【5月】


05/05・12・19・26

富ノ森市内 桜ヶ丘の近隣一帯で、犯人を誰も目撃していない連続窃盗・暴行事件が発生。(第2章)


(5月上旬)

隣県の金融オフィスで6名が“サイコロ状”に切断死。

実行犯は佐伯充(さえきみつる)。(第1章)


05/16 昼

富ノ森市内のカフェ・リュミエールで佐伯充が圧潰死(あっかいし)

店内から視認できる交差点中央(約35m先)で大型トラックのフロント大破を確認。

当該車両と店舗との接触(こん)、一切認められず。

富ノ森(とみのもり)署刑事課の森崎達也(もりさきたつや)警部補が事件を担当。(Prelude)


【6月】


06/02 (月)夜

富ノ森市内のOL 山岡美咲、浴室で“見えない何者か”に襲われる。(第2章)


06/05〜06

富ノ森調査事務所に富ノ森市内の地主、吉村冴子(よしむらさえこ)が盗難された指輪の捜索を依頼。

相川桜と事務所長の瀬川俊二(せがわしゅんじ)が吉村邸ほかを調査。

透明人間の仕業(しわざ)としか思えない被害の数々。事件は月曜集中と判明。(第2章)


06/09(月)

駅前で“月曜の通り魔事件”発生。負傷27名・死者なし。

迷子の少女が重傷。桜が精神的ショックで昏倒し一時入院(第2章)


06/10

桜、入院から復帰。

捜査を再開。(第2章)


06/13〜15

容疑者が藤田直哉に絞られる。(第2章)


06/16(月)

雨上がりのロータリーで藤田直哉が相川桜を襲撃。

桜の幼馴染で故人、水瀬風吹にそっくりの女性が初めて介入、戦闘後、逃亡した藤田は、逃亡中に歩道橋から足を滑らせ重傷・入院。


水瀬風吹にそっくりの女性は、記憶を失っており、名前すら分からないため、桜が彼女に水瀬風吹という名で呼ぶことを提案すると、彼女はそれを快諾。

相川桜の家に以後居候することになる。(第2章)


06/29

白石彩花が大河内翔真を消失させる(最初の報復)。(第1章・回想)


【7月】


07/10 夜

加藤蓮司が廃映画館で消失。(第1章)


07/15~7/18

富ノ森調査事務所に加藤蓮司の身元捜索依頼が寄せられる。

相川桜が単独で加藤蓮司の足取りを追跡。

大河内翔真の失踪を突き止め、滝口海斗が唯一消息のある人物として浮上。

滝口との接触ののち、3人が同級生の白石彩花に性加害を加えていたことが判明。

白石と滝口双方の保護を目的に、相川桜は加害の現場だった廃映画館へ急行。(第1章)


07/18 夜

廃映画館で白石彩花と滝口が対峙し、滝口海斗が消失。

 同夜:彩花 vs 水瀬風吹の戦闘/廃墟崩落。

    水瀬風吹は一度消滅→再生。

 激しい戦闘の末、水瀬風吹が勝利するが、直後に白石が暴走。

 廃映画館の建物を崩壊せしめる。(第1章)


07/19

建物の崩落により白石彩花の死亡が確認される。(第1章)


07/28

相川桜・水瀬風吹・瀬川俊二の夏の一日。

調査事務所テナントビルの屋上でスイカ割り。(幕間)


【8月】


08/04

富ノ森市内 住宅街で連続衝突死(死者4名)。

“見えない力”の痕跡。(第3章)

水瀬風吹は事件当時外出中だった。


08/07

森崎達也警部補の目の前で、藤田直哉が病室で羊水による溺死。

本来なら本庁の案件である殺人事件の容疑者に、所轄刑事が単独接触を試み、しかも目の前で被疑者が死亡した責任を問われ、森崎刑事は謹慎処分を受ける。(第3章)


08/08

橋上で水瀬風吹が(みお)と名乗る少女と接触。

「父を探している」と語る。(第3章)


08/09 夜

水瀬風吹は相川家を家出。(第3章)


08/10 早朝

またしても富ノ森市内で連続衝突死事件。死者二名。

連続衝突死事件の死者合計は六名。(第3章)


08/10 昼

森崎刑事、青木葵(あおきあおい)(SNS発信者)に接触し溺死しかけるが、青木葵が異能(のろい)を解除し、一命をとりとめる。(第3章)


08/10 夜

青木の《胎中水(はらうちのみず)》で桜が溺死寸前。

相川桜の危機を感じ取り駆けつけた水瀬風吹が青木を襲撃し、相川桜にかけられた異能(のろい)を解くよう詰め寄る。

心理戦で隙をつかれ、青木の逃亡を許してしまう。(第3章)


その後、水瀬風吹が心肺蘇生と自身の白い靄で相川桜を蘇生。

蘇生後、何かが”繋がった”と感じた水瀬風吹は、澪に会った橋へ行く。

水瀬風吹は澪に、自身が()()()()()()()()()ことを告げられる。

茫然自失の水瀬風吹の背後からは聞き覚えのある足音が近づいて来ていた。(第3章)


【章と時系列の対応(早見)】


Prelude以前(事件録未描写):5月(消費者金融オフィスバラバラ殺人の犯人:佐伯充)


Prelude:5月(飲食店不審死事件の被害者:佐伯充 同事件の犯人:不明)


第2章:6月(月曜日の通り魔事件の犯人:藤田直哉)


第1章:7月(男子学生連続失踪の犯人:白石彩花/男子学生による暴行事件の被害者:白石彩花)


第3章:8月(住宅街連続衝突死事件の犯人:不明 病院内溺死事件の犯人:青木葵)


【主要人物の記録(第4章開幕時点)】


相川(あいかわ) (さくら)(21)

休学中の大学生。瀬川が所長を務める富ノ森調査事務所のアルバイト助手。

実家に一人暮らしで両親は転勤のため県外で暮らしている。

幼馴染の死をきっかけに叶匣の遊戯(ゲーム)祈る者(プレイヤー)となる。

自身の明確な異能(のろい)は不明。分かっている能力として、集中すれば距離があっても、もう一人の水瀬 風吹の位置を感じ取ることができる。

202X年8月時点で、富ノ森の実家にてもう一人の水瀬風吹と同居していたが、家出されてしまう。

8月10日夜、青木葵の呪いにより一時心肺停止も、駆けつけた水瀬風吹により蘇生。


水瀬(みなせ) 風吹(ふぶき)

相川桜の幼馴染。特発性肺線維症で死去。享年21歳。


もう一人の水瀬(みなせ) 風吹(ふぶき)(年齢不明)

死んだ水瀬風吹と同じ顔を持つ女性。肌の色や性格は全く違う。

超人的膂力(りょりょく)と受けた傷を即座に治癒する自己再生・自己回復能力を持つ。

明らかに超常の異能(のろい)を持っているのに、澪によると祈る者(プレイヤー)ではないらしい。

青木葵との戦闘後、相川桜を蘇生させ、彼の前から姿を消す。


瀬川(せがわ) 俊二(しゅんじ)(27)

富ノ森調査事務所の所長。冷静沈着な探偵。元刑事で森崎の元部下。

祈る者(プレイヤー)となって以降、見聞きしたものを決して忘れず、また触れた人・もの・場所から記憶を読み取ることができる。

現在も叶匣にまつわる事件を単独で追っている。


森崎(もりさき) 達也(たつや)(37)

富ノ森署刑事課警部補。

飲食店不審死事件、月曜日の通り魔事件、住宅街連続衝突死事件、病院内溺死事件を通して叶匣に最も近い一般人。

謹慎処分中に病院内溺死事件の被疑者として青木葵を追い、その異能(のろい)を受け昏倒。

青木が能力を解除したため、生存。


青木(あおき) (あおい)(30)

元主婦。元広告代理店勤務。元SNSインフルエンサー。

叶匣に選ばれた祈る者(プレイヤー)。異能《胎中水(はらうちのみず)》を持つ。

風吹との戦闘中に逃走。健在。


(みお)(年齢不明)

橋上で風吹と出会った謎の少女。

自身を祈る者(プレイヤー)ではないと言うが、叶匣の遊戯に明らかに詳しい。


【脱落した祈る者(プレイヤー)異能(のろい)記録】


♦佐伯充《空間切断/裂けゆく(さかい)(まなこ)

効果:対象範囲内の生物を9センチ角の立方体になるまでバラバラに切断する

仕様:佐伯が両手の親指と人差し指で長方形をつくり、その長方形を右目で覗き込んで見える範囲が対象。奥に広いが横には狭い。対象範囲内に入ると防御不可。

射程:視認範囲

弱点:視認できない相手には無効。

備考:佐伯は他の祈る者(プレイヤー)観測下における発動実例を残す前に死亡したため、能力の全容は未検証。

対象の存在を「視る」ことが発動条件であるため、遮蔽物・認識阻害能力との相性が悪いと推定される。


♦白石 彩花《穴/(うつ)ろなる心の穴》

効果:触れた対象に拳大の黒い穴を開け、数秒で穴が増殖し対象全体を消失させる。

仕様:対象とその所持物(服・スマホなど)ごと消える。無機物にも応用可能。明確な殺意が必要。一度発動した穴は制御不能。

射程:当初は手が触れた範囲のみだったが、廃映画館事件における覚醒後は視認範囲へと拡張。視線先に穴を生じさせる段階へ至った。

弱点:発動には対象の明確な認識が必要。視認できない相手には効果が及ばない。

備考:覚醒前は手で直接触れなければならないと射程が極めて狭かったが、廃映画館事件終盤において射程が視認範囲へ拡張。


♦藤田 直哉《認識阻害/()られざる者の(かお)

効果:視線が合わない限り、本人・衣類・所持品すべてが認識されない。理論上人を抱えれば抱えられた人も認識されなくなる。母親の死体はこの仕様で住宅街を堂々運んだ。

仕様:録画・監視カメラにも映らない。サーモ含むセンサー類も無効化。潜入・暗殺に理論上万能。

制約:なし。

射程:自分と自分が持ち上げたのみ

弱点:降雨時、体表に付着した雨滴まで認識阻害の対象となるため、“人型の空白”が発生してしまう。

備考:煙・粉塵などの散布によっても輪郭が可視化される可能性がある。

能力自体に顕著な制約はないが、使用者の思考の不安定性により運用精度が著しく低下していたとみられる。


♦◆♦◆♦◆♦◆♦


そして第肆章へ──。

白い靄が、再び世界を繋ぐ。

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