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「ちひろ&ルー②」

 ~~~現在~~~




 突如泣き出し、外へ出て行った渚。

 慌ててその後を追った兄貴。

 思ってもみなかった展開に、場は騒然となった。


「ちょっとちょっとちひろ、どういうことよ? あのふたり、つき合ってないって? ウソでしょ?」

「あんなにラブラブな感じだったのにありえなくない?」

「つうか、あんたはあんたで落ち着きすぎじゃない? 一緒に追わなくていいの?」


 傍からこちらの様子を窺っていた同級生3人が、シュババッとばかりにこちらに駆け寄って来た。

 心配してるというよりは野次馬根性、あたしから詳細を聞き出そうというのだろうが……。


「あたしが? 冗談。兄貴ひとりで十分でしょ」


 あたしは答える代わりに、ハイボールのグラスをぐいと傾けた。


「だってさあ……もし追いつけなかったりしたら……」

「高城って足早かったし……」

「ねえー?」


 顔を見合わせる3人。


「やっべ……俺らまずいこと言っちった?」


「いやいや、予想つかないっしょ。あんなベタベタしといて実はつき合ってませんとかさあ」


 事の発端となった質問をした吉田安井は、一緒になって青い顔をしている。


「あんたらは気にしなくていいよ、どうせなるようになるんだし」


 あたしは素っ気なく言った。

 別になるようにならなかったとしても、それはそれであたしにとってはラッキーだし?


「ちひろ」


 カシスオレンジのグラスを持ったルーが、あたしの隣に座った。


「勝率はどれぐらいあると見る?」


「さあね、兄貴次第っしょ」


 兄貴がどれだけ渚とヨリを戻したいか、それによって可能性は0にも100にもなる。


「でも、そうね。ひとつだけ言えるのは……兄貴はずっと後悔してた。渚と別れることを決めたあの日から、ずっと」


 食事が喉を通らない日もあった。

 夜中にうなされて起きることもあった。

 体重は目に見えて減少し、生気が衰え、見ているのが辛かった。


「別れないという選択はなかったのか?」


「なかったのよ、当時は。兄貴ってバカだから。渚と負けず劣らず。これが正しいんだ、相手のためになるんだ、そう信じたら突き進む以外の道を知らないんだよ」  


 兄貴が渚と別れることを決めたのは、キャンプファイアの夜。

 うちからかかってきた電話を聞いた瞬間のことだったそうだ。


 電話相手はママからだった。

 急きょパパのアメリカへの転勤が決まったんだって。

 行き先は海外で、借家も引き払うことに決めたんだって。

 パパラブなママは、単身赴任させるなんてことは当然だけど考えなかった。


 マンガやアニメだったら、子供たちだけ日本に置いていくなんて展開もあるかもしれない。

 だがこれは現実で、両親が娘や息子を日本に置いて行くなんてことはあり得ず、だから必然、あたしたちはアメリカへ渡ることとなった。

 中学とはそのままおさらば、日本の高校へも、大学へも通わないことに決まった。


 そして兄貴は──


「……」


 兄貴の決断が正しかったのかどうかはわからない。

 でも、兄貴はそれが正しいと信じてた。

 渚は当然あきらめられず……。


「……ま、どっちもバカってことだよね」


 あたしはぐいと、ハイボールの残りを呑み干し、お代わりを頼んだ。

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