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「ねえ、先輩」

「な、渚……今、なんて……っ?」


「えっと、落ち着け。落ち着けルー」


 動揺の極みにあるルーを、とにかく落ち着かせようと焦る俺。


「黙っててすまない。いつかは言おうと思ってたんだがなかなかそういうわけにもいかなくて……それもすまない」


 俺と渚ちゃんの関係をどう説明すればいいかわからず、あたふたしていると……。


「先輩、ここはわたしが」

 

 俺の代わりに、渚ちゃんが前に出た。


山田花やまだはなさん。黙っていてすいません。わたしと先輩は、もう半年も前からおつき合いさせていただいております」


「…………っ!」


 渚ちゃんの告白を聞いたルーは、ぷるぷると唇を震わせた。 

 目を白黒させて、何ごとかを言おうとしてやめて、言おうとしてまたやめて。

 やがてぶんぶんとかぶりを振ると、きびすを返して走り出した。

 その足取りは思ったよりも全然早く、すぐに人ごみの中に消えた。


「あー……」


 伸ばした手のやり場に困っていた俺の背中を、渚ちゃんがバシンと叩いた。


「追わないと……追わないとですよ! 先輩!」


「え? え? なんて? なんで?」


 追って、捕まえたとして、そこから何を伝えたらいいのかわからない。 

 ただただ戸惑っている俺に、渚ちゃんは噛みつくように言った。 


「山田花さんは、いま極度の混乱状態にあります! 好意を抱いてた先輩に恋人がいたことに驚き! 友達としてつき合っていたわたしたちに騙されていたことに絶望して! とても不安定な状態にあります!」


「え? なんで? なんでルーが、俺に彼女がいることでそんなに……」


「そんなの!」


 ガシリと俺の腕を捕まえると、渚ちゃんは言った。


「先輩のことが! 好きだからに決まってるじゃないですか!」


 強く美しく、自ら光を放つような瞳を俺に向けた。


「先輩のことが好きだから! あの人はショックを受けているんです! 先輩のことが好きだから! いつも出来ていることが出来なくて! 先輩のことが好きだから! 普段だったらわかることがわからなくて! 結果として今、非常に事故を起こしやすい状況にあります! ……だから! ねえ! 先輩!」


 距離の事なんて忘れたかのように、渚ちゃんは俺に顔を近づけた。


「今! しなきゃいけないことがわかりますか!? わかりますよね!? ねえ、先輩!?」


 わからないとは言わせない、ぐらいの勢いで渚ちゃんは俺に迫った。


 ……。

 …………。

 ………………。

 ……………………。


 ああ、そうだ。

 薄々ルーの気持ちには気づいてた。

 けれど認めるわけにはいかなかったんだ。


 だって俺には、渚ちゃんという恋人がいるから。

 他に見向きをする余地もないほど、好きな人がいるから。

 だけどそれを正面切って伝えるわけにもいかなくて。

 結果的にウソをつく形になった。

 ルーにも、そして自分自身にも。


 だからこじれた。

 こんな最悪なシチュエーションを引き起こすに至った。


 誰が悪いのって、それは俺だ。

 疑いようもない、俺の半端だ。


「渚ちゃん!」


「はい! 先輩!」


 俺の呼びかけに、渚ちゃんは間髪入れずに答えた。


「ルーを追いかけよう!」


「ええ、もちろん!」


「追いかけて! 捕まえて! そんでとにかく謝んなきゃ! 今まで黙ってて悪かったって! けど決して悪気があったわけじゃないんだって! 額を地面に擦りつけてなおも足りないなら、いっそぶん殴ってもらって!」 


 プランなんて一切ない。

 でもやらなきゃいけないことだけはわかってる。

 だから俺は、精一杯に叫んだ。


「行こう! 渚ちゃん! 二手に分かれて!」


 ルーに。

 俺たちの友達に、謝らなきゃ。

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